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地域資源活用チャンネル


成果事例 メディアでの紹介

月刊「商工会」

富山湾の恵みを活かした新商品の新たな挑戦

ビスク

ビスク

有限会社鈴香食品(富山県射水市)
住所:富山県射水市広上1180
電話:0766-52-5550
FAX:0766-52-5552
設立:昭和59年11月
代表者:阿原 勤
資本金:1,300万円
年商:166,478千円
従業員:12名
■地域資源活用PG/認定事業名
「天然ブリの加工品」とベニズワイガニ、甘エビ、シロエビを活用した「ビスク(甲殻類スープ)」の製造・販売
■地域資源活用PG/認定日:2009年7月10日

事業の概要

栄養成分や旨み成分を多く含む「天然ブリ」を素材とした鰤ハム、鰤ミンチ製品、鰤茶漬けなど、今までにない「天然ブリの加工食品」を開発した。また、機能性成分が豊富に含まれる富山湾のベニズワイガニ、甘エビ、シロエビを殻ごと使った本格派のビスクなど、海鮮ソースを開発した。今後は、商品改良に取り組むとともに、新規需要の開拓を図り、販路拡大を目指す。

富山湾は恵まれた水産資源の宝庫

鰤ハム

鰤ハム

富山湾の地形は特徴的だといわれる。海岸沿いに浅い部分がほとんどなく、急に海底に向かって落ち込む。湾の大部分は水深300メートルに及び、最も深い場所は1000メートルを超えるといわれている。谷と尾根の多い特徴的なこの海底の地形は「藍甕」と呼ばれている。

富山湾には日本海に生息する魚類の半分以上が生息しているといわれ、獲れる魚の種類が非常に多い。水深300メートルより深い部分には水温1~2℃ほどの冷たい日本海固有水(海洋深層水)があり、冷たい海に棲む魚が生息している。水深300メートルより浅い表層部には、暖流である対馬海流が湾内に入ってくるため、南の温暖な海の魚が同時に棲んでいる。また、富山湾には3000メートル級の立山連峰を源流とする7大河川が流れ込み、森からの栄養を海底に送り込むため、多くの魚が繁殖できる豊かな漁場になる条件が揃っていて、ブリやホタルイカを捕獲する定置網漁業が古くから発達した地である。

産地の恵みを全国へ

有限会社鈴香食品は、「富山湾の恵みを、素材の良さを残したまま、安心安全な商品をお届けすることが、産地に生きる者の使命」と心がけ、ブリやシロエビ、ホタルイカなど、富山湾で水揚げされる水産資源を加工し、寒ブリの味噌漬、塩ブリ、刺身用の甘エビ・シロエビ・ホタルイカなど、ギフト商品として全国に発送してきた。

順調な事業の伸びとともに、より多くのお客様に富山湾の味覚を堪能していただく体制を整えるべく、平成16年には、良質で豊富な水資源を求めて富山県の西部に位置する一級河川・庄川の河畔にある射水市広上にHACCPに準じた新工場を竣工した。

時代の変化と経営変革

商品の品質の高さに加えて多品種少量対応が評価され、百貨店やホテルなどでの取り扱いが順調に推移した。同時に、「産地の加工業者による直送」というだけで、消費者に受け入れられた時代だった。

しかし、デフレの時代を迎え、質よりも値段が優先されるようになっており、また、時代の変化とともに、お中元やお歳暮は減少してきた。多品種少量対応に伴う「在庫の積み増し」が経営を圧迫する中、新たな事業分野の開拓が急務の課題となっていた。

そして、もう一度創業の原点に立ち返り、「富山湾の恵みを多くの方に知っていただくにはどうすればよいか」と、新たなチャレンジが始まった。

「こだわり」にこそ勝機あり

ビスク

ビスク

新たな商品開発を始めるにあたり、これまでの「伝統的な食文化を踏襲した商品づくり」から、今までにない「こだわり商品の開発」に方針を定め、「天然ブリにこだわった加工商品」の開発、機能性成分が豊富に含まれる富山湾のベニズワイガニ、甘エビ、シロエビを殻ごと使った「本格派のビスク等海鮮ソース」の開発に着手した。

幾多の試作・改良を重ね、多くの失敗を乗り越え、商品開発を進めた。2009年初春、東京都内で開催された催事に出品し、多くの来場者に試食してもらった。「『こんな鰤ハムはじめて!』『こんな深いコクのあるスープ飲んだことない!』とたくさんの声をいただいたとき、やっと皆様に食べていただける商品ができたと感じました」と阿原勤社長は当時を振り返る。

どれだけ素晴らしい商品が仕上がっても、お客様に食べていただかない限りは事業化に繋がらない。同社にとって本当の課題はここからだった。これまではギフト市場にある卸問屋や小売店を通じて消費者に届けることができたが、今回の商品は従来市場とは異なる販路を開拓する必要があった。

そこで、財団法人富山県新世紀産業機構からの紹介を受け、地域資源活用促進法の事業認定に向けたチャレンジを始め、中小機構北陸とともに事業計画の策定に取り組むこととなった。阿原社長の次なる挑戦が始まった。

事業化に向けた課題の克服に挑戦

注入の様子

注入の様子

同社におけるブラッシュアップ当初の問題は、商品を誰に売るのか、いくらで売るのか、どうやって売るのかが考えられておらず、「良いものは売れる」という旧態依然とした販売戦略にあった。そこで、プロジェクトマネージャー(PM)が現場に足を運び、製造工程を確認し、商品を試食し、買ってくれる顧客を想定しながら、互いに意見を重ねていった。

「PMが真剣に迫ってくるんです。創業して初めて、自分の会社のことを真剣に考えた瞬間でした」と当時を振り返りながら阿原社長は言う。

その中で、有限会社鈴香食品を存続・発展させるために必要なキャッシュフローや収益性を考慮した販売計画の立案に至った。そして、この販売計画を実現するための行動計画の策定を積み重ね、販路拡大に関する具体的な事業計画が完成した。その後、09年7月に認定を受けることができた。

阿原社長は「認定は通過点であり、一つひとつの計画を実現することで、当社の収益の大きな柱に成長させます。うまくいかないこともあると思いますが、マネージャーに相談しながら挑戦します」と自信を持って話す。

事業化の達成に向けて

阿原 勤 代表取締役

阿原 勤 代表取締役

従来のギフト販路とは異なり、業務用販路(こだわりを持った飲食店)の開拓に挑む取り組みが始まった。同社は、中小機構が出展サポートを行う展示会や商談会、商品評価会に積極的に参加し、商品改良や販路開拓に取り組んでいる。従来の販路とはまったく異なる販路をゼロから開拓するため、前途多難な船出であることに間違いはない。だからこそよりどころは事業計画であり、事業計画と現実とのギャップを軌道修正し続けることである。

中小機構北陸としても、次なる成長の礎を築いてもらえるよう、新たな挑戦を始めたこの会社を支援し、目標の実現に向けてともに知恵を絞り、力を合わせていく所存である。そして、地方の中小企業の活力と地域の活性化に貢献できるモデルケースの一つになると期待しており、今後が楽しみである。

((独)中小機構北陸 チーフアドバイザー 高田忠直)

掲載:2011年2月号

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