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地域資源活用チャンネル


成果事例 メディアでの紹介

月刊「商工会」

ユニバーサルデザインから発想した「ハニカム構造」で新市場へ進出

ハチの巣状のハニカム構造

ハチの巣状のハニカム構造

株式会社清原(滋賀県守山市)
住所:滋賀県守山市古高町477-15
電話:077-582-2388
FAX:077-583-6480
設立:昭和54年1月1日
代表者:清原 健
資本金:1,250万円
年商:3億円
従業員:26名(パートタイマーを含む)
■地域資源活用PG/認定事業名
自社ブランド「和奏」の確立並びにハニカム構造を活用した服飾雑貨商品の開発・販売
■地域資源活用PG/認定日:平成21年7月1日

事業の概要

祝儀袋や小物類を包むときに用いる「袱紗」「のれん」などの製造販売が主事業で、主力商品の「袱紗」は生産量・種類とも国内でトップシェアである。既存事業に頼らない営業体制の構築や新しい事業の育成を目的に、自社オリジナルの和雑貨製品の開発に近年注力しており、本事業で取り組んでいる「ハニカム構造」による各種和雑貨製品開発もそのひとつである。

伝統産業のものづくりを機械設計者の発想で開発

産学官で生み出された商品(カード入れ)

産学官で生み出された商品(カード入れ)

日本人であれば“袱紗”や“のれん”から日本の伝統文化そのものをほとんどの人が感じると思う。その袱紗の生産量・種類とも日本一といわれる会社が「株式会社清原」である。

創業の地である滋賀県守山市の繊維工業、縫製加工業の歴史は古く、布帛・ニット縫製品として滋賀県の地域資源に指定されている。ここに本社を置き、日本古来の伝統美、丁寧な縫製、日本製品が持つ繊細さなどを大切に、高い縫製技術の継承を行いながらこの伝統産業を支えてきた、それが株式会社清原である。しかし、“袱紗”や“のれん”などの既存事業だけでは事業拡大にはつながらないと考えた社長・清原健氏は、実は根からの繊維職人ではない。縁があってこの業界に関わり、会社の責任者となったのである。

先代からの縫製加工技術や人脈づくりを学びながら、変化する社会背景・現象を理解し、自社の開発・製造環境などを把握して理論的に物事を考え、製品開発に反映していく元大手機械メーカーの設計者であった清原氏は、当社が持つ高い縫製技術を活かし、現在に通じる「Made in Japan」にこだわりながら、提供できる皆がほしがる商品は何かと、積極的に研修会や講演会に出席し、学び、日夜考え抜いてきた。

産学官連携での事業化

最近の好評な商品

最近の好評な商品

平成15年、滋賀県工業技術総合センター主催の「デザインフォーラムSHIGA」の「ユニバーサルデザイン研究会」に参加したのが、運が開けるはじめであった。ユニバーサルデザイン製品の意義に感動し、自社製品の特徴である「和」のテイストをベースに、誰もが心地良く使用できるユニバーサルデザインの製品づくりをスタートさせた。

身の回りには、分厚いカード入れから必要なカードを探すこと、たくさんの書類を整理すること、大きさの違う小物を取り出しやすく整理することなど製品開発のヒントは数多くあった。“万人向けで、見やすく、取り出しやすく、使いやすいカード入れ”のテーマを発見し、実現に向けて滋賀県立大学・印南教授を中心に共同で開発し、ハチの巣状であるハニカム構造を有するカード入れの商品化を成功させた。

しかし、市場投入を実現するまでには多くの障害があり、最も大きな障害はハニカム構造を成す布地の素材の選定であった。形を整えるために高い強度が必要で、様々な生地を検討した結果、不織布の中から最適な素材を発見。独自の縫製技術を活用し、六角形が崩れない強い接合力を得ることに成功した。

産学官連携で生み出された商品は、平成16年に滋賀銀行主催の産学官連携奨励賞「第1回しがぎん野の花賞」を受賞、平成17年には滋賀県から「第1回ユニバーサルデザイン賞」など多くの賞を受賞している優れものである。

「滋賀県独自の新商品を開発し、展開したい」という社長の想いと「滋賀県中小企業団体中央会」の勧めにより、「地域産業資源活用事業計画」認定申請をした。

地域産業資源活用事業計画認定をきっかけに、地域の誇りを全国に発信

平成21年7月「地域産業資源活用事業計画」の認定後は、当社の強みである産学官のネットワークと企画力・生産力を活かし、補助金を活用して、自社ブランド「和奏」の確立とハニカム構造を活用した服飾雑貨商品化を推進し、滋賀県守山市の繊維工業縫製加工技術を誇れる商品群を全国に発信するべく取り組み始めた。

海外でも受け入れられる革新的な要素を組み入れた商品群開発も視野に入れ、中小機構が新たにスタートさせた海外販路開拓支援などを大いに活用し、日本の伝統美を日本だけでなく世界に発信させる意気込みである。

フォローアップと今後の事業展開

清原 健 代表取締役

清原 健 代表取締役

第1期が終わり、私が当社を訪問した折、社長から「商品力向上・開発の指導」の依頼があった。ものづくりにこだわってきた社長の哲学である「商品が良ければ、あとはついてくる」。まさにその通りだと感じた。

「試行錯誤して試作品を作るが、どうもシックリとこない」。プロジェクトチームも同じ悩みを持っており、外部専門家の力を借りることになったが、中小機構の専門家集団には清原社長のチームが望む商品センスのあるぴったりの人がいなかった。その時、以前に中小機構に相談にこられた、日本の“織”を愛し、自ら製作・販売を行っている女性が頭に浮かび、作品展を訪問。“これだ”と感じ、中小機構に専門家登録を相談し、両者のマッチングまでこぎつけた。

マッチングでは、話がはずみ、両者とも意気投合した。だが、いざ仕事に入ると、両者に微妙なずれが起こり始めることもあり、指導日には私が同席し、意見交換に加わるなどして、優秀な個々のパワーが十分発揮できるよう支援している。

現在は、展示会やパブリシティを通じて商品が認知され始め、販売が伸びている。また、異業種メーカーとのコラボレーションも活発に進めてもいる。今後もアピールや露出を強め、販売の拡大を目指す。社長の熱い想いである“地元に直営店”を置くなど「地産地消」を意識したものづくりも考えている。

最後に、忘れてはならないのは、株式会社清原の経営の根源である家族パワーである。清原社長が創り出す部外協力体制構築力(滋賀県立大学、滋賀県工業技術総合センター、滋賀県中小企業団体中央会、中小機構近畿地域活性化支援局など)とともに、本事業の担当者であり受注から出荷まで担当する長男・清原大晶氏の生産面からの独創性に富んだ発想力や、長女・清原みどり氏の高い感性と大手百貨店勤務の豊かな経験力の三つのパワーで開発される革新的な要素を盛り込んだ「和」テイストの商品群は、市場で認められる商品に成長すると確信している。

この家族の和こそ、日本の社会をささえてきた礎であり、ここに会社の存続・発展につながる道を、私は見た気持ちがした。

((独)中小機構近畿 チーフアドバイザー 岸田すみ子)

掲載:2011年1月号

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