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地域資源活用チャンネル


成果事例 メディアでの紹介

月刊「商工会」

フルーツ王国福島から「若桃の甘露煮」の誕生

若桃の甘露煮

若桃の甘露煮

あぶくま食品株式会社(福島県伊達市)
住所:福島県伊達市保原町字4-14
電話:0245-575-1171
FAX:0245-575-1147
設立:昭和47年6月17日
代表者:鈴木正英
資本金:4,800万円
年商:12億円
従業員:70名
■地域資源活用PG/認定事業名
福島県産若桃を独自製法で加工した「グリーンピーチのコンポート」の開発及び市場開拓
■地域資源活用PG/認定日:平成20年10月17日

事業の概要

フルーツ王国といわれる福島県は、桃の生産量は全国第2位で約3万トンである(平成21年度:農林水産省統計)。あぶくま食品㈱は、従来収穫前に摘果し廃棄処分されていた若桃を加工食品(甘露煮)として商品化することに成功した。伊達市の地域資源である桃の活用範囲を拡大することで、付加価値の高い製品開発と地元生産農家への利益還元等で地域活性化に大きく貢献している。

漬物消費の減少から地域資源の活用へ

摘果作業

摘果作業

福島県北部中通りに位置する伊達市にあるあぶくま食品株式会社は、昭和47年の創業以来漬物ひとすじに歩んできた。素材を生かした味づくりと健康を考えた商品づくりを目指し、種子の選定から土づくり、原料栽培指導、塩蔵加工、熟成、包装、出荷に至る全工程を一貫体制とし、徹底した品質管理を通じて「食卓で心を結ぶお手伝い」の心で商品を提供している。平成18年には品質保証の国際規格ISO9001の認証を取得し、生産者の顔が見える製品提供を行っている。

しかし、日本人の食生活の変化に伴って漬物の消費量は減少し、平成17年に117億円だった福島県の漬物出荷額は20年には87億円まで減少していた。当社の売上高も減少する中で、新製品の開発が当社の重要な経営課題となっていた。

若桃の甘露煮の誕生

ケーキの具材にも

ケーキの具材にも

福島県は会津地方、中通り、浜通りの各地でそれぞれの気候、風土を生かした園芸作物が作付けされている。桃、なし、りんご、ぶどう、おうとう(さくらんぼ)等の生産が盛んであり、桃の生産高は全国第2位で、伊達市は県内で福島市に次ぐ生産量である。当社の保原町にある工場の周囲も桃畑に囲まれている。

社長の鈴木さんは、「桃の加工品として市場に出回っている飲料製品や缶詰とは違った加工品に着目し、新製品開発に着手した結果、これまでは収穫前に摘果、廃棄処分されていた地元産の若桃を使った種まで丸ごと食べられる甘露煮の開発に成功することができました」と語る。

摘果された若桃は通年での加工が可能。春夏秋冬いつでも若桃の風味と食感が楽しめる新しい桃の加工製品が完成したことで、地元の桃栽培農家からは若桃の利用拡大の成果が高く評価されている。当社の経営理念である(1)原料へのこだわり(2)製法へのこだわり(3)品質へのこだわりがみごとにこの若桃の甘露煮に凝縮されている。

生産者ごとの生産履歴(農薬散布履歴等)の記録はもとより、残留農薬検査の徹底による原料管理、果肉や種子部を均一な食感に仕上げる製造技術の確立(製法特許の取得)、お客が要望する原料サイズや食感に調整・仕上げる品質管理を徹底している。

新規市場開拓ならではの経験も

新製品の開発にあたり、当社の研究開発能力の向上、製造技術の確立、販路の開拓等には地域の研究機関や支援機関からの協力もその成果に貢献している。研究開発では地元の大学や研究機関との委託・共同研究を行い、地域産業資源活用事業計画の認定では中小機構東北等の支援機関の協力を受けながら全国に向けて情報発信を開始した。

漬物の販売ルートとは異なった新しい販売ルートの開拓では、商品部長の鈴木さんは「製品の開発には成功しましたが、売れる商品の開発という点では予想以上に厳しい難関にぶちあたりました」と語る。当社がこれまでに歩んできた漬物商品とは異なった販売先の開拓が待っていた。和・洋菓子の素材フルーツとして、お弁当や各種イベント用ケータリング用具材として、またパンの具材としてなど、新しい販売ルートの開拓は当社にとって新たな挑戦の第一歩であった。

地域産業資源活用事業計画認定企業になったことから、展示商談会への参加機会が増え、全国各地から集まった企業との情報交換を積極的に行った。その結果、若桃の甘露煮を採用してみたいという企業からの問い合わせが増え、採用されるケースがみられるようになった。ところが、当社の経営理念である原料・製法・品質へのこだわりを持った製品をより多くの方々に届けるためには、販売価格面での厳しい交渉にも直面し、新規市場開拓ならではの経験も重ねることになった。

このような製品開発を行って市場デビューした若桃の甘露煮は、平成21年度優良ふるさと食品中央コンクール新技術開発部門で農林水産省総合食料局長賞を受賞している。

若桃の商品化はまだまだ続く

鈴木正英代表取締役

鈴木正英代表取締役

若桃の甘露煮の完成に続いて、当社では地元の福島大学や福島県立医科大学と若桃活用の産学共同研究事業を進めている。「若桃のセラミド」をテーマとしたセラミドに関する共同研究、調味料に関する共同研究、加工食品への応用に関する共同研究、経口投与による皮ふバリア機能に及ぼす効果に関する共同研究である。

一般に、セラミドを補うことで、美肌、美白促進、肌荒れ予防、アトピー性皮膚炎の改善に効果があることが知られている。今回、セラミドの原料素材となる小麦胚芽と比較して若桃には約13倍も多くセラミドが含まれていることが確認された。この研究結果を福島大学との共同特許として出願を行っている。

地域資源である桃を使った若桃の甘露煮でスタートしたあぶくま食品株式会社は、「お客様にとって価値のあるものを創造し、お客様に満足して頂ける商品とサービスを提供します」を合言葉に、これからも全社一丸となってチャレンジし続ける企業をめざしている。

((独)中小機構東北 新事業創出支援課チーフアドバイザー 伊藤秀則)

掲載:2010年12月号

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