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地域資源活用チャンネル


成果事例 メディアでの紹介

月刊「商工会」

葉脈に包まれた癒しの空間を作る企業

葉脈装飾板-「なだ万」にて

葉脈装飾板-「なだ万」にて

有限会社廣松突板(福岡県大川市)
住所:福岡県大川市三丸812-2
電話:0944-88-1700
FAX:0944-88-1701
設立:平成18年4月12日
代表者:廣松武友
資本金:300万円
年商:4,000万円
従業員:5名
■地域資源活用PG/認定事業名
葉脈を表面の凹凸がでない特殊製造技術で貼加工した製品の開発及び販売促進事業
■地域資源活用PG/認定日:平成21年10月22日

事業の概要

葉脈を特殊技術で凹凸なく貼り付けた天然木化粧合板を活用し、肌触りが良く、見た目の美しい仕上がりの製品を開発、販売促進を行う事業。インテリア製品や飲食店、美容室、エステ等の高付加価値のサービスを行う店舗の内装用建材市場を中心に、ヒーリングやネスティング等の癒しの空間やデザイン作りを重視する多岐にわたる分野のニーズへ対応する。

凹凸が出ない貼加工

葉脈。子供の頃に理科の実験で標本製作をされたことがある方もおられるかもしれない。有限会社廣松突板はこの葉脈を薄く引き延ばし、突板に貼り付け、その表面に凹凸が出ない加工方法を発明した企業である。

葉脈を板や陶器に貼り付け、居住空間にその自然の紋様を取り込む技法は、過去にも存在した。しかし、葉脈の貼り付け時に葉脈自体が曲がったり反ったりするために、また葉脈周辺部分の浮き上がりのために塗料層が定着しにくく、その自然な紋様を簡単な加工で活用することが難しいものであった。当社の技術はこの解決策として生まれたものである。

写真は、当社が今年2月に日本料理の「なだ万」へ展示した葉脈装飾板の額を含む風景である。和の料理に合わせた自然との調和をテーマとする葉脈装飾板は、関係者や来店客の高い評価を得て、プレゼンテーション用のパネルであるにもかかわらず、購入の申し入れが続いている。

大川木工技術の継承者

キティちゃんの置きパズル

キティちゃんの置きパズル

代表の廣松武友氏は、福岡県大川市の突板会社を父君から引き継いだ。「突板」とは、木材を薄くスライスしたもので、合板等に貼り付けることでその木目を活かすことができる。厚さは0.22ミリメートル、これは一般的なハガキと同じ厚みである。突板作りは、スライス加工による突板そのものの製造と、合板への貼り付け加工まで含めた広義の突板製造があり、一般に建材業者や家具業者等からのB to Bの受託製造が中心である。

大川市は人口約3万8000人、福岡県の地方都市である。家具関連産業を中心とした典型的な「産地型集積」を成している。平成21年度大川市統計年報によれば、家具・建具・合板を含めた家具関連産業の生産高は約553億円(平成20年)となっており、日本で最大の家具産地である。

ただ、その規模はこの10年で半減しており(平成11年は1134億円)、関連する合板市場も同様の市場縮小に見舞われている。

このような厳しい市場状況の中で、廣松氏は父君から引き継いだ設備だけでなく、持ち前の器用さと発想の柔軟さ、企画を得意とする企業との連携等を活かして、写真の「キティちゃんの置きパズル」をはじめ、他の事業者が手がけてこなかったニッチ商品の開発に余力を費やしていた。

B to BからB to Cへ

当社が地域資源活用プログラムへの取り組みとして中小機構のハンズオンを受け始めたのは、平成21年2月のこと。認定を受けた平成21年10月までの間、筆者は事業計画のブラッシュアップに努めてきた。事業名は「葉脈を表面の凹凸がでない特殊製造技術で貼加工した製品の開発及び販売促進事業」、ブラッシュアップのポイントは縮小局面にある産地内市場だけではなく、海外を含めた域外市場の獲得とB to Cに向けた自社商品の開発である。

自社商品の開発を事業計画に含めたのは、B to Bの技術力だけで域外へ市場拡大していくには、営業力を含めた内部資源の限界があったためである。B to Cの商品開発を事業計画に含めることで、商品でありながらサンプルでもある広告塔になりえると判断したのである。

命の玉手箱

命の玉手箱

写真は、地域資源活用プログラムの認定を受けた後に開発された「命の玉手箱」と、ノベルティにも使える「葉脈コースター」である。建築材や家具といった大きな居住空間作りだけではなく、小物から始める小さな癒し空間作りを提唱すべく、日夜拡販に励んでいる。

なお、「命の玉手箱」は保管に優れた桐箱に葉脈加工を加え、生まれてきた子供たち一人ひとりに、表彰状や卒業証書、大切な写真等、その一生涯の思い出をつめるためのものである。

フォローアップと事業の今後

葉脈コースター

葉脈コースター

認定後の昨年暮れから、筆者はフォローアップの対応を始めた。域内B to Bから域外のB to Bへ、またB to C市場へとターゲットをシフトするなかで、展示会への出展とアフターフォロー、市販品の開発とパンフレットの作成、展示場や売り場の選定、市販品バイヤーとの対応方法、販路構築と価格設定等について、助言・指導を行ってきた。今、当社には県外の家具メーカーや内装材メーカー、船舶メーカーや設計事務所などからも引き合いがくるようになっている。

しかし当社には、ホームページの再構築、営業体制の確立、フレキシブルな市販品生産体制の構築等、今後対応すべき課題も多い。前述の「命の玉手箱」は社長夫人の発案によるものである。一本気な技術者であり、また経営者でもある社長を、経理・総務・営業他の側面から支えている。

大川の一つの突板会社がこの産地の外に市場を形成し、その成果を地元に還元できる時まで、2人が手を取り合って企業を成長させていくことができるように期待しながら、今後のフォローアップに努めていきたい、と筆者は思う。

((独)中小機構九州 プロジェクトマネージャー 篠田昌人)

掲載:2010年9月号

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