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地域資源活用チャンネル


成果事例 メディアでの紹介

月刊「商工会」

「木頭ゆずの香りをそのままに」─あわせ酢シリーズの開発

豆腐専用あわせ酢

豆腐専用あわせ酢

有限会社柚冬庵(徳島県那賀郡)
住所:徳島県那賀郡那賀町木頭南宇字ナカバン26
電話:0884-68-2072
FAX:0884-68-2331
設立:平成2年4月1日
代表者:榊野瑞恵
資本金:550万円
年商:760万円
従業員:5名
■地域資源活用PG/認定事業名
木頭ゆずを使用した「ゆず果汁100%を主原料としたあわせ酢シリーズ」の開発・製造と販売
■地域資源活用PG/認定日:平成21年10月19日

事業の概要

地域の特産である「木頭ゆず」の消費拡大と農家女性の副収入を得ることを目的に昭和57年からの地域のゆず生産農家が取り組んだゆず加工品の製造販売に始まる組織で、平成2年に法人化した。平成18年度から代表者が女性となり、消費者ニーズを捉えた新商品の開発、インターネットでの販売など、新しい事業展開に取り組んでいる。

果実生産からの脱却

かきまぜ

かきまぜ

「木頭ゆずの香りや風味をそのままにお客様にお届けしたいんですよ」。有限会社柚冬庵の榊野社長は、手に持った自社商品をまるで子供を見るような目で見ながら語った。

柚冬庵は、徳島県の南部山間地に位置する那賀郡那賀町(旧木頭村)に所在するゆず農家自身が生産したゆずを活用して加工品を生産し、販売を行ってきた。メンバーは主にゆず農家の主婦で構成されている。

同地域では、昭和34年という早い時期からゆず栽培が開始され、年間を通じて寒暖の差が激しい気象条件により、品質の高いゆずが生産されていた。同地域で生産されるゆずは香りや酸味、ほのかな甘みがあると評価され、昭和52年に果樹としては初めて朝日農学賞を受賞し、名実ともに日本一のゆずとなった。

しかし、四国内での栽培地域の拡大と生産過剰により果実の値崩れが発生し、ブランド化された「木頭ゆず」でも、価格差が埋まりつつある状況である。また、地形の悪さからくる生産性の低さゆえに、急激な規模拡大は難しい。青果、果汁ともに付加価値を高め、販売高を上げることが望ましいが、現状での販売単価では、生産者がゆず専業農家として生活することは難しく、生産農家の高齢化と後継者不足という課題も発生している。

柚冬庵は、そのような状況を打開するために、独自でゆず加工品を販売すべく、農家の主婦をメーンメンバーとして昭和57年に設立された。

郷土料理が商品開発のヒントに

商品ラインアップ(前列のびん詰めが「かきまぜセット」、後列のびん詰めがあわせ酢シリーズ各種)

商品ラインアップ
(前列のびん詰めが「かきまぜセット」、
後列のびん詰めがあわせ酢シリーズ各種)

会社設立により、地元の郵便局や行政の事業を経路として、住民や地域出身者を主な顧客としてゆず加工品約20種の販売を行ってきた。しかし、既存の販売ルートでも一定の売上は確保できるが、売上向上までには至らなかった。そうした状況で、榊野氏やメンバーで開発を行ったのが「かきまぜセット」という新商品である。同地域に昔から伝わる郷土料理であり、ご飯に地域産の山菜や野菜と専用のゆずのあわせ酢を混ぜた、まぜご飯である。

この商品を既存直販ルートの顧客に紹介・販売したところ、「ゆず酢の風味がよい」「まぜご飯専用のゆず酢がおいしい」「食べ方がわかるのがよい」という好評価を受けた。首都圏で行われた販売会でも展示・試食販売を行い、同様の評価を受けることができた。市場での「木頭ゆず」の商品力の高さに自信を得られたことにより、地元の味をそのままに伝える=素材の風味をそのままに伝える、という榊野氏自身の中で商品開発の方向性が固まった。

「モノ」から「コト」への発想転換による商品開発

加工風景

加工風景

「かきまぜセット」の高評価により木頭ゆずに対する自信を再認識した同社は、新商品の開発にあたり、那賀町商工会・島本専門経営指導員、徳島県商工会連合会・妹尾経営指導員に相談を行った。新商品の開発を行うのであれば、「地域資源活用プログラム」を活用し、国の認定を取得することで商品開発力の推進を行うことを勧められ、柚冬庵、島本氏、妹尾氏、中小機構四国の四者で商品開発方向性のブラッシュアップが開始された。

「素材の風味を生かした商品」─言葉でいうのは簡単であるが、市場に対して独自性をいかに出すかが重要なポイントとなる。この独自性を出すためのヒントになったのが「かきまぜセット」の事例である。同商品は「専用のあわせ酢」を商品に組み込むことにより、購入顧客が使用目的を明確にでき、本来の味が手軽に味わえる。

商品を「モノ」ではなく使用目的別の「コト」に変えることにより、作り手側の本来の意図を消費者にシンプルに伝えることができる。同社の持つあわせ酢のこだわりの配合技術を生かした商品開発が可能となるのである。

競合商品が多いゆずポン酢としての市場参入ではなく、使用目的を明確にしたあわせ酢としての市場への参入─これが、柚冬庵の新商品の方向性となった。

風味を生かすという開発の方向性として必要不可欠なのが、生産時から消費者に届く時間である。通常のポン酢等の商品は、常温対応とするために製造工程での加熱処理が必要となる。加熱処理を行うことで商品の風味を損なう可能性があるが、この問題については、同社の事業形態であるインターネットでの通信販売であれば、生産から消費者までのタイムロスを極力少なくすることが可能となる。

商品計画においては料理専用のあわせ酢6種の商品開発、販売計画においてはインターネット通販をメーンとした顧客開発と販売という2つの戦略軸の事業計画を作成し、平成21年10月19日地域産業資源活用事業計画の認定を受けた。

まだスタートラインに立ったばかり

柚冬庵の皆さん(上段右端が榊野社長)

柚冬庵の皆さん(上段右端が榊野社長)

地域産業資源活用事業計画の認定を受け、目的別商品開発を地元商工会の支援を受けて実施。今年4月には「豆腐専用のあわせ酢」の商品開発に成功し、販売に向けてパッケージの開発等を行っている。今年度中の新商品の開発や風味を生かすために、冷凍技術を活用した商品開発も始まった。

また、今年3月には、「かきまぜセット」の販売や地域での活動を評価され、「第19回食アメニティコンテスト」で「農林水産省農村振興局長賞」を受賞した。

「いろんな方の協力によって、やっとスタートラインに立てた気持ちです。まだまだ解決しなければいけない課題は多数あるが、最初の想いを忘れずに事業展開をしていきたい」と榊野氏は語る。頑ななまでの「木頭ゆずの香りをそのままに」という想いを乗せた新事業が徳島県の山間部から、全国を目指して羽ばたこうとしている。

((独)中小機構四国 プロジェクトマネージャー(新事業創出支援担当) 豊田浩伸)

掲載:2010年8月号

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