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地域資源活用チャンネル


成果事例 メディアでの紹介

月刊「商工会」

石垣島のアーティストが挑むスパイスマーケット

地域色を活かした調味料商品

地域色を活かした調味料商品

ゴーヤカンパニー有限会社(沖縄県石垣市)
住所:沖縄県石垣市字新川433
電話:0980-83-5814
FAX:0980-87-0008
設立:平成17年4月15日
代表者:伊良皆誠
資本金:700万円
年商:6,000万円
従業員:9名
■地域資源活用PG/認定事業名
長期保存可能な多用途型生野菜調味料「ゴーヤペースト」と「もろみ(カシジェー)のドレッシング」の開発
■地域資源活用PG/認定日:平成20年3月12日

事業内容

改良後(左)、改良前(右)

改良後(左)、改良前(右)

沖縄の産地イメージが確立されているゴーヤの地域ブランド力を活かした、活用しやすい生野菜調味料を開発する。また、全国で流通している「もろみ酢」の原料(もろみ)が有する栄養成分(もろみ酢に加工される際に除去されている)と、琉球泡盛の認知性を活かした商品開発を行う。

アーティストから起業家に転身

中小機構沖縄事務所が支援する認定企業はとても魅力的な企業が多い。それは亜熱帯気候の地域資源素材そのものの特異性もあるが、起業する人物たちもまたユニークなのである。今回紹介するゴーヤカンパニー有限会社の社長、伊良皆誠氏の経歴は群を抜いて楽しい。

伊良皆社長は、故郷の石垣島で高校時代はバンド活動に明けくれ、1学年下の「ビギン」のメンバーとは音楽談義をして過ごしていたという。当時はスタジオがなく、豚小屋や農家の肥料置き場まで自転車で機材を運んで練習。たまにドラムのシンバルにハブがとぐろを巻いていたり、豚が騒音ストレスで死んだとの逸話もある。

石垣島では地元ライブハウスに出演、実力試しのためにソニーボーカルオーディションに応募。1万2千人の中から準グランプリを獲得し上京した。5年後、ソニーレコードからソロデビュー、桑田佳佑氏のボーカルサポートを務めるなどすべて順調であったが、父親の病気をきっかけに帰郷、16年の東京での音楽活動を終えた。

島に戻ってからは、石垣島本来の素材や文化を活かした根っこのあるお土産作りを目指して「ゴーヤカンパニー有限会社」を設立。沖縄独自の原材料探しを始め、「泡盛もろみ原液」に出会った。

泡盛の副産物もろみ原液を活用

泡盛を製造する過程で生じるもろみ原液(カシジェー)を精製した「もろみ酢」は、その有する豊富な成分、天然アミノ酸、クエン酸、ミネラル等の豊富さから「健康酢」として広く市場に受け入れられていた。

しかし、カシジェーが有する栄養成分は、「もろみ酢」になるまでの過程、ろ過で大半が産業廃棄物として廃棄されていた。そこで「もろみ酢」よりはるかに高い栄養素を残すカシジェーそのものを有効活用したドレッシングなどの調味料を開発したいと考えた伊良皆社長からの相談を受け、地域産業資源活用事業への取り組みがスタート、平成20年3月12日、事業計画の認定を受けることができた。

その結果、課題であった色みは、様々なスパイスや天然の色素を加えることで改善、「もろみ調味料シリーズ」や「激辛!金ハブ!」等のユニークな商品を発表するに至った。

石垣島の大自然が育んだ真摯な姿勢

伊良皆誠社長

伊良皆誠社長

「生まれた場所は選べないですが、僕は石垣島に生まれて幸せだと思います。豊かな島の環境に守られ育った少年時代があって、今の僕は成立します」と伊良皆社長は言う。その真摯な姿勢と起業家としての決断力の確かさを物語っているエピソードがある。

沖縄県商工会連合会が主催した商談会での話─「このドレッシングが売り場のどこの棚に陳列され、どういうお客様に買っていただき、食卓でどのように食べてもらうのかを想像しましたか?」と首都圏百貨店バイヤーから尋ねられた。味や表示の突っ込みがくると予測していた伊良皆社長は一瞬言葉を失った。

ボトルは小洒落たフォルムで、売り場で目立つし、素材にこだわり味もいい...「これは売れる」という自信があった。ところがボトルの高さは22cmもあり、売場の棚で一番目立つゴールデンゾーンに収まらない。このサイズなら棚の上段もしくは下段の目立たない場所が定位置となると指摘された。商品開発には、商品に込めた「情熱」プラス「出口」を想像することが必要と気づかされた。

改良を重ね、4カ月後の「沖縄の離島フェア」に高さ15cmの「もろみ黒胡麻」という商品で出品、見事「優良特産品特別賞」を受賞した。

離島県沖縄は、ビジネスに関する情報収集が簡単ではない地域である。ましてや離島である石垣島では商品ボトルひとつ選定するのにも時間と労力を費やす。そんな中で自信を持って選んだボトルに「?」がついた時、「マーケティングが足りない」と言われれば確かにその通り、しかしながらそれが離島の現状であり、いつも遠回りをさせられるのが常なのである。

ボトルの在庫もかなり抱えていたであろう、しかし流通バイヤーのアドバイスを真摯に受け止め、素早く決断した伊良皆社長の勇気には感心させられた。

石垣島の子どもたちに誇れる商品開発を

「これからも、もろみ原液を活用した商品開発や地元の素材を活かした産業を発展させ、石垣島の農業活性、雇用、地域内サイクルでの経済のシステムを作りたいと考えています。そのことによって、これから育つ子どもたちが、石垣島の商品に誇りを持ち、将来に夢を持ってくれたら、こんな幸せなことはありません」。こう楽しそうに話す伊良皆社長の顔は、飛びっきりの笑顔であった。

石垣島の素材に惚れ、アーティストから起業家に転身した伊良皆社長、「音楽の発信」と「商品の発信」─まったく異質の表現方法であるが、石垣島を心底愛し、軸足をしっかり島に置いた根っこは一緒であると感じた。

離島県のハンディを島のエネルギーと持ち前のユニークな発想や情熱で乗り越え、スパイスマーケットへ挑戦する石垣島のゴーヤカンパニー(有)に期待したい。

(独立行政法人中小企業基盤整備機構沖縄事務所 プロジェクトマネージャー池村博隆)

掲載:2010年5月号

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