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地域資源活用チャンネル


成果事例 メディアでの紹介

月刊「商工会」

九谷焼と江戸硝子の融合「九谷和グラス」の事業展開

自慢の「九谷和グラス」

自慢の「九谷和グラス」

清峰堂株式会社(石川県能美市)
住所:石川県能美市新保町ヲ48
電話:0761-57-2133
設立:1964年
代表:清水正徳
資本金:1,000万円
年商:約2億5,000万円(平成19年度推定)
従業員:13名
■地域資源活用PG/認定事業名
九谷焼と手作り吹き硝子の融合商品「九谷和グラス」の商品開発と販路拡大
■地域資源活用PG/認定日:平成20年3月26日

事業の概要

伝統技術で製造した「九谷和グラス」の台座部分

伝統技術で製造した「九谷和グラス」の
台座部分

同社は、九谷焼の産地問屋として、商品の企画をし、消費地問屋や小売店への各種商品の卸販売をする一方、自社ショールームやネット通販などを手がけてきた。主に、著名陶芸家の美術品、冠婚葬祭や企業パーティーの記念品などを中心としたギフト商品の販売を行ってきた。

バブル崩壊と共に市場の変化に対応し、消費者マインドに応じた商品開発を中心に営業を切り替えている。

事業化に至った経緯

バブル崩壊による産地の低迷を受けて、平成4年頃に、石川県立九谷焼技術研修所が中心となって金属(脚部)と陶磁器を接合するワイングラスが開発され、10年間で約30万個販売のヒット商品を生み出した。しかし、お客さまの声として、「中身が見えない」「九谷焼の特徴である上絵の美しさは堪能できるが、中のワインの色が楽しめず、九谷焼の色によっては、ワインの色を壊してしまう」という問題点もあった。

しかし、低落に歯止めがかからず、産地に新しい風を吹き込みたいと考えていた折に、ある取引先から清峰堂に「ガラス製の盾の周辺や左右両縁に九谷焼を接合できないだろうか」と相談を持ちかけられた。そのとき清水則徳専務に閃いたのがガラスと陶磁器の接合によるワイングラスで、大学時代には材料工学の研究もしていたから、そんなに難しいことはないであろうと引き受けた。

持ち前のチャレンジ精神でさっそく試作品を作ってみたが、失敗の連続で、うまく接合できない。所詮は夢物語に過ぎないのかと専務は心の中で呟き、むなしく7年間が経過しようとしていた。

不利が有利に通ず

清水則徳専務

清水則徳専務

神はその試練に打ち勝てるものだけに成功を授けるらしい。ガラスと九谷焼の接合の技術を売りたいという男が突然現れたのである。技術提供料は500万円だという。交渉の末に、当面の資金として必要だという80万円で技術供与を受け入れ、試作品を作ってみたが、数日後にはすぐに離脱してしまう。

騙されたと思うことと、80万円の損失が悔しさを増幅させた。しかし、冷静になると、材料工学を学んだ専務はこの技術は理論的に正しいと思い、「必ず成功させる」という情熱が炎のように湧きあがってきたのである。

それから約1年半の間、通常の仕事が終わった後、深夜までほぼ毎日のように研究に没頭したのである。そして、大きな夢は試行錯誤の結果、ついに実現した。平成14年があと数日で終わろうとしていた。

「九谷和グラス」の営業、しかし四面楚歌

異質の材質であるガラスと九谷焼を強度の高い接合技術により融合させるために、作業場の温度や湿度の適正化を図り、混ぜ合わせる溶剤の選択や配合率、特殊な間接材を入れ、接合させる新しい技術を改良した苦労などは、今は懐かしい思い出に変わりつつある。

約3年の試用期間を終えて、平成17年の末から自信をもって販売に臨んだ専務であったが、既存取引先は、この和グラスを商品として認めてくれなかった。

その理由は、パーティーなどで「乾杯した途端に接合部が離脱して苦情が発生するようなものを取り扱えるか」ということであった。強度に関するデータなど持ち合わせていない専務にとっては、反論する言葉もなく引き返すのみであった。

当時、同じようなワイングラスの類似品が市場に出回り始めており、それらは見た目としては人々を喜ばせたが、ガラスと磁器の接合部がすぐに離脱するという大きな苦情を生み出していたことを知らなかったのである。

取引先からは九谷焼としては認めてもらえず、ガラス業界からも「邪道」であると揶揄された。採用してもらったのはカタログギフト1社だけで、絶望感のみであり、ある意味で屈辱的でもあった。

救世主現る...「グッドデザイン賞」受賞

清峰堂の「九谷和グラス」を他社の類似品と大きく差別化できたのが、平成18年10月に受賞した(財)日本産業デザイン振興会のグッドデザイン賞である。この賞の認定申請を強く推したのが、九谷焼研修センター顧問の山村先生であった。この受賞を機に、素朴な感じの江戸吹きガラスのグラスに九谷焼の台座を付けた「九谷和グラス」というブランドが確立され、接合部が離脱しない安全安心のワイングラスとして認知され始めた(ちなみに、平成17、18年の2年間で販売した約1万個については、剥離による苦情はない)。透けて見えるさわやかさと重厚な華やかさが同居したワイングラスは、和洋テイストの香りが漂う質の高い商品となったのである。

前後して金沢の九谷焼販売の大手2社から取り扱いたいと申し出があり、本格的に販売が始まった。平成19年度には、年間約1万個の販売ができるヒット商品となったのである。

機が熟して、平成20年2月26日地域資源活用プログラムの認定事業となった。認定後は新聞記事になるなどのパブリシティ効果が得られ、展示会においても、安全・安心のうえにさらに大きな認定事業という無形財産が加わり、商談が相次ぐという忙しさになるのであった。

また、毎年フランスでの国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展している金沢市内の九谷焼販売店の企画にも協力し、再び世界へ「ジャパンクタニ」の名前を発信しようとしている。

今後の課題は生産体制の見直しである。年2万個までは生産できるが、それ以上になるとさらなる設備投資、社員教育・採用を必要とし、生産効率のアップを目指さねばならないのである。3年目の平成21年には設備投資をし、金融関係にも承諾を得ている。

失敗を恐れずやり遂げる決意が大事

モノづくりに対してこだわりを持ち、お客さまのほしがる付加価値のある商品を生み出していくことが大切であり、今後も引き続き商品開発をしていかねばならない。

清水専務は「失敗を恐れずに絶対にやり遂げるという決意が大切であり、機動力、スピード、やる気が重要です。すなわち、九谷焼の伝統を守ることは、革新し続けることが必要なのです。今後も上杉鷹山の辞世の句『なせばなる なさねばならぬ なにごとも ならぬはひとの なさぬなりけり』を肝に銘じ産地の改革者として頑張っていきます」と決意を披露している。

((独)中小機構北陸 地域活性化支援事務局 プロジェクトマネージャー 近藤 博)

掲載:2008年9月号

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