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地域資源活用チャンネル


成果事例 メディアでの紹介

月刊「商工会」

熊野筆の新たな挑戦~和洋の技術を良いとこ取り~

開発した商品

開発した商品

株式会社藤田画筆製作所(広島県安芸郡熊野町)
住所:広島県安芸郡熊野町柿迫17
電話:082-854-7035
FAX:082-854-9468
設立:平成6年8月23日
代表:藤田修司
資本金:1,000万円
年商:5,500万円
従業員:10人
■地域資源活用PG/認定事業名
熊野筆の穂先の技術と欧州の製毛技術を融合させた「和洋混合水彩絵筆」の開発事業
■地域資源活用PG/認定日:平成19年12月7日

事業の概要

開発イメージ図

開発イメージ図

・絵画で使用される「画筆」製造の専門事業者として、創業65年を誇る老舗メーカーである。
 ・学童用の画筆が中心の時期もあったが、外国製の安価な商品との差別化を図るため、近年は専門的な西洋画筆の製造にシフトしてきた。
 ・そうした取り組みの集大成として、「和洋混合水彩絵筆」の開発に取り組み、自社ブランドの確立を目指している。

画筆の老舗が自社ブランド目指す

熊野筆の産地である熊野町は、県庁所在地である広島市の東隣にあり、日本を代表する筆の産地として知られる。国内生産の八割を占める国内最大の産地であるとともに、1975年には国の「伝統的工芸品」に指定されており、高い技術を有することでも知られている。

熊野筆の歴史は、江戸時代末期にまで遡る。当時の領主である浅野藩の生産奨励により、全国的な産地へと発展した後、明治時代の書道教育の普及が飛躍へのきっかけとなった。

また、戦後になってから、書筆の製造技術を応用した画筆や化粧筆が生産されるようになり、特に化粧筆については、世界でも高い評価を受け、熊野筆が世界的な名声を獲得するきっかけとなった。

こうした経緯を経て、現在、熊野筆は「書筆」「画筆」「化粧筆」の3つのカテゴリーが主力として生産されている。その中でも、藤田画筆製作所は「画筆」を専門に65年間取り組んできた老舗の筆事業者である。

藤田画筆製作所は、約50年間の個人経営の後、平成7年に株式会社を設立し、主としてメーカーからの仕様に基づいた画筆をOEM生産してきた。

しかし、近年、海外からの安価な輸入品が急増し、業界全体で価格競争が発生したことから、取引価格の低下傾向が続き、多くの筆事業者が厳しい経営下に晒されることとなった。

原毛と製毛の技術を融合

藤田修司社長

藤田修司社長

こうした状況を打開するためには、他社と差別化でき、付加価値の高い自社ブランドを確立することが必要であると考え、熊野の筆の技術を活かした、新商品の開発に取り組むことにしたのである。

実は、画筆の業界でもっとも品質が良いといわれるのは欧州製の商品である。欧州製の製品は素材にこだわっているうえ、「製毛」という技術が日本とは異なり、弾力と強いコシがあることに特徴がみられる。そこで、藤田画筆製作所は欧州製の画筆を研究し、素材である原毛と製毛の技術を新商品に取り入れることにした。

熊野筆には欧州の筆にはない、穂先を揃える技術があり、繊細な書き味が特徴である。欧州と熊野、双方の技術を融合し、良いとこ取りの商品を開発しようと考えたのが、商品開発のポイントである。

試行錯誤の末、いままでの画筆とは異なる書き味を持った商品を開発することに成功したのである。

「中小企業地域資源活用促進法」については、商工会の指導員から情報を得た。すでに、地域資源の第1号として、熊野の筆事業者三社が法の認定を受けた後であり、先輩事業者の取り組みを聞くチャンスもあり、藤田社長自身もチャレンジしたいとの思いが強くなった。

不慣れな事業計画の策定には時間がかかり、苦労する場面もあったが、それだけに、認定を受けた時の喜びは格別であった。また、信念を持って取り組んできた取り組みが国に評価されたことは、事業展開を行ううえで大きな自信となっている。実際、新規に営業を行う際に、「国の認定事業」ということを説明すると、先方の関心度も高くなり、営業面で好影響が出ているようである。

画材専門店とネットでの販売始まる

いよいよ試作品が完成し、これから市場へと投入していく段階を迎えている。

ターゲットとしては、絵画の中級者以上を想定しているが、競合する商品と比較しても、品質・価格ともに高い競争力を有していると自負しており、認知度が高まることで十分売上の見込める商品であると考えている。

実際、既存の取引先メーカーからは、新商品についても、従来どおりのOEMでの引き合いが来ている状況であり、新商品の持つポテンシャルに自信を深めている。

既存の取引先メーカーに、そのまま商品を提供すれば、売上を上げることは難しいことではない。しかし、自社ブランドを立ち上げ、熊野の画筆の名声を高めるために取り組んだ事業であり、安易な道に流れるわけにはいかない。既存の取引先には、当社の考えをじっくりと説明し、理解を得ることに努めている。

努力の甲斐もあり、画材専門店での販売もようやくスタートした。今後は、インターネット上での販売にも着手し、より多くの人に利用してもらえる体制作りに取り組んでいるところである。

藤田画筆製作所の規模は決して大きくはないものの、内に秘めた志は高い。「中小企業地域資源活用促進法」はその名のとおり、中小企業のための法律であり、規模の大小を問わず、高い志を持つことで、チャンスは無限に広がっていく。

今回、地域活性化支援事務局としては、事業計画や認定申請書の策定等、事業者の方の苦手な部分について、きめ細かなサポートを行っており、今後も継続してフォローをしていく。藤田画筆製作所のような、志の高い事業者の方との出会いを我々支援事務局も楽しみにしており、窓口相談を随時受け付けているので、お気軽にお問い合わせいただきたい。

藤田画筆製作所が描く絵は、完成までには時間も手間もかかるであろう。しかし、だからこそ、人とは違うモノが生み出され、そこに価値が生まれる。

熊野の化粧筆が世界へ羽ばたいたように、熊野の画筆が世界の舞台に登場し、見る人を魅了する名画となる日が待ち遠しい。

((独)中小機構中国 中国地域活性化支援事務局 プロジェクトマネージャー 渡貫 久)

掲載:2008年8月号

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