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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

愛知県

アルミ鋳造品の廃材を効率よくリサイクル可能に

企業名 油圧機工業 三類型 鉱工業品 地域資源名 愛知の金属加工機械
アルミ鋳造品切断機

アルミ鋳造品切断機

エンジンや変速機など自動車部品に多く使われるアルミニウム鋳造品。アルミ鋳造は不良品や、溶解したアルミを流し込む際にできる湯口せきなどの廃材を再び溶解し、新品を生産できるリサイクル性の高さが特徴だ。アルミ鋳造のリサイクルを効率化したいという鋳造メーカーの要望に応えた製品が、油圧機工業(愛知県西尾市、奥谷保明社長)が2011年に開発したアルミ鋳造品用廃材自動切断機だ。

トヨタの相談がきっかけ

同機械は投入口にアルミ鋳造品の廃材を投入し、固定刃と油圧シリンダーで前後に動く刃で廃材を破砕する。破砕した廃材はバケットと呼ばれる専用の容器に入れ、アルミの溶解設備に投入する。

これまで廃材は人手で破砕したり、破砕せずそのまま溶解していた。同機械で破砕した廃材の大きさは約5ミリ×約1センチメートル角で、人手で破砕するより細かい。このため溶解スピードが速く、溶解時の燃料費を抑制できる。
 また、バケットに隙間なく廃材が入り、かさ比重は従来比で約6―7割減となる。一度に多くの廃材を運搬でき、作業効率が向上する。生産ラインに組み込むことも可能だ。同機械を導入したある鋳造工場では生産コストを約2割削減した。

同社は92年に銑鉄鋳物用連続湯道破砕機を発売し、19カ国で累計174台納入した。国内シェアは9割を超えている。アルミ鋳造品用廃材自動切断機は10年にトヨタ自動車から相談を持ちかけられ開発を始めた。銑鉄鋳物用破砕機の顧客であるトヨタは、銑鉄鋳物の廃材破砕技術を評価しており、アルミ鋳造品に同技術を応用してほしいとの依頼だった。
 油圧機工業は早速開発に取りかかったが、すぐにつまずいた。銑鉄鋳物は刃を押し当てれば割れやすく、容易に破砕できる。一方、アルミ鋳造品は銑鉄鋳物に比べ柔らかい性質で、刃先を押し当てても割れにくい。

「割る」から「切る」に転換

細かく破砕したアルミ鋳造品

細かく破砕したアルミ鋳造品

試行錯誤の末にたどり着いた答えは、従来の「割る」のではなく「切る」ことで廃材を細かくするという破砕手法の転換だった。「切る」ために刃先を従来の丸みを帯びた半円すい形から先端がとがった星形にし、さらに刃先全体が刃物のように鋭利になるような形状とした。廃材を切断しながら破砕するため、銑鉄鋳物と同様にアルミ鋳造品も細かくすることに成功した。

販路拡大に向けた取り組みも加速する。まず活用したのが地域資源。きっかけは愛知県信用保証協会の企業診断だった。診断時に中小企業診断士に同機械の普及策について相談したところ、診断士が同機械の独自性に着目し、地域資源の活用をすすめた。中小企業基盤整備機構の担当者からは申請方法や販売方法などで助言を得た。
 1月にはアルミ鋳造設備を扱う機械商社が同機械の販売をスタート。徐々に鋳造メーカーなどから引き合いが増加し、4台を受注した。今後は日本で受注実績を積み重ねたのち、海外での受注も視野に入れている。

【コメント】油圧機工業奥谷保明社長
厳しい状況を新製品で打開

油圧機工業・奥谷保明社長

油圧機工業・奥谷保明社長

これまで「挑戦」をモットーに、銑鉄鋳物用連続湯道破砕機など他社にない独自のモノづくりにまい進してきた。だがリーマン・ショック以降、日本経済の景気低迷に伴い、顧客は国内の設備投資を抑制し、受注環境は厳しい状況が続く。
 こうした状況を打破すべく開発したのがアルミ鋳造品用廃材自動切断機だ。軽量化のため自動車部品などでアルミ鋳造品の採用が増加しているのに加え、生産コストを削減できる同機械は需要がある。主力製品に育成するという新たな挑戦に向け、今後、鋳造メーカーへの提案活動を積極化したい。

会社概要

会社名:油圧機工業有限会社
住所:愛知県西尾市羽塚町坊山5-3
業種:鋳物関連の油圧応用機器製造
電話:0563-59-1133
URL:http://yuatsuki.com/home.htm