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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

宮崎県

地元建材をパッケージ化し韓国の伝統家屋向け輸出に進出

企業名 吉田産業 三類型 農林水産物、鉱工業品 地域資源名 スギ、ヒノキ製品

 宮崎県は建築材に使われるスギの素材生産量が日本一を誇る。中でも日南市は江戸時代からスギの植林が盛んな地。「飫肥(おび)杉」といわれる同市産のスギは軽量で粘り強く折れにくい。国内外で取引される人気の県特産品だ。吉田産業は、この豊かな林産資源を活用して付加価値の高い建築材を新たに開発、韓国での販路開拓を目指している。

 吉田産業は1952年(昭和27)設立の製材加工会社。2012年5月期の売上高は約16億円だ。地元同業者などとウッドエナジー協同組合(宮崎県日南市)を設立し、建築材に使う構造用集成材を生産販売している。内層部のスギを外層部のヒノキで挟んだ異樹種集成材で、曲がりにくく強度があるヒノキと、軽量で粘り強いスギの両方の特性を融合した。

工場で輸出向けにプレカット

韓国で需要が高まっている伝統木造家屋の韓屋

韓国で需要が高まっている伝統木造家屋の韓屋

 この集成材を工場でプレカットしてパッケージ化、韓国の伝統木造家屋である韓屋(はんおく)の壁を構成する軸組み構造材「韓屋キット」とする商品化を進めている。商品は鹿児島県志布志市の志布志港から輸出する考えだ。
 プレカットはランバー宮崎協同組合(宮崎市)で行い、製品試験は宮崎県木材利用技術センター(宮崎県都城市)などと連携して進める。すでに試作品は開発済み。吉田利生社長は「2013年度から韓国の販売代理店を通して本格的に販売に乗り出す」と意気込む。

 少子化の影響で、日本国内の新設住宅着工戸数は減少している。その一方で韓国では韓屋が見直されているという。韓国政府や各自治体が、公共施設や個人住宅を建築する際に補助金を出して韓屋化を後押しするほど。「今後需要増が見込まれる」(吉田社長)という分析から、この事業への取り組みを決めた。
 韓屋建築は平屋造り。伝統建築工法を習得した熟練技能者が建築する。約100平方メートル程度の一般的な一戸建て住宅の建築費用は、日本円で3000万円以上もする。手仕事で木材を現場で削り、組み合わせて建築するため工期は1年程度かかるという。

建築費の3割削減も可能に

プレカットした構造材を組んだ韓屋キットモデル

プレカットした構造材を組んだ韓屋キットモデル

 ただ今後、見込まれる需要増に対して韓国の熟練技能者は不足している。「ましてや韓国は構造材に適した木材の自給が難しい国。輸入に頼っているのが実情で、未乾燥材の変形によるトラブルが多い」(同)。そういった市場だからこそ「輸出であっても、当社製品の競争優位性が出てくる」と吉田社長は胸を張る。
 今のところ構造材をプレカットしたパッケージ商品は韓国にはない。「当社製品を使えば熟練技能者でなくても建築でき、一戸建て住宅の工期は約3カ月ですむ。建築費用は韓国の従来工法に比べて約3割削減できる」(同)と強調する。

 日本では一般的に集成材を構造材に使った木造建築よりも、一本の無垢(むく)材を使った建物が好まれる。韓国でもそれと同様の建物が好まれる傾向があるという。
 吉田社長は「販路開拓のカナメはいかに集成材の認知度を向上させ、消費者に安全で安い住宅を訴求できるかにある」と見ている。この事業で「5年後に売上高1億8000万円を目指す」と闘志を燃やしている。

【コメント】吉田産業・吉田利生社長
海外市場に力を注ぎたい

吉田産業・吉田利生社長

吉田産業・吉田利生社長

 宮崎県は国内で建築材に使われるスギ、ヒノキの素材生産地だけに、資源を無駄なく有効利用できる集成材の販路拡大は欠かせない。木材の出荷量が増えていけば林業が再び息を吹き返し、雇用も生まれ、地域産業の活性化につながる。今回の事業はまさにこういった考え方から着手した。
 韓屋についても軸組み用だけでなく、屋根を組む小屋組み用の構造材開発にもめどがついている。縮小する国内需要だけに目を向けるのではなく、今後とも拡大する海外市場の開拓にも力を注ぎたい。

会社概要

会社名:吉田産業合資会社
住所:宮崎県日南市南郷町榎原甲2091
電話:0987-74-1311
URL:http://www.yoshidasangyo.net/