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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

静岡県

小型焙煎機を開発、茶専門店の復権に一役

企業名 山益製作所 三類型 鉱工業品 地域資源名 製茶機械

ペットボトルに押される急須のお茶

小型焙煎機(電気式)

小型焙煎機(電気式)

 商店街を歩いているとお茶をいる香ばしい薫り、薫りに誘われて店ののれんをくぐりお茶葉を購入する客の姿―。日本一の茶産地、静岡県内の商店街には茶の専売店も多いが、ひと昔前は当たり前だった光景を見ることは今はほとんどない。客は少なく閑散とした状況だ。設備投資とランニングコストが高いため、焙煎(ばいせん)機を導入する茶専売店も減った。

 静岡県吉田町の製茶装置メーカー山益製作所が開発した「小型焙煎機」は外形寸法が幅390ミリ×高さ490ミリ×奥行き660ミリメートルで、机上に据え置ける。価格は20万円に抑えた。茶専売店に導入を促し、茶業界の活性化につなげる考えだ。

 ペットボトル入りのお茶に押され、急須で飲むお茶(煎茶)の国内需要は年々減少している。ただ、ペットボトルのお茶に使う茶葉は番茶と呼ばれる夏以降に収穫された比較的品質が悪い茶葉。お茶の旬は5月で、最もおいしいこの季節の茶葉で作るのが煎茶だ。しかしそんな声も、茶専売店に客が寄りつかない現状では消費者に届くことはない。コンビニエンスストアなど何処でも手に入り、フタをひねれば飲めるペットボトル飲料の手軽さに押される一方だ。

 「このまま茶専売店が淘汰(とうた)されてしまえば、煎茶の製造装置メーカーである当社の仕事も激減する」。益田隆久社長の危機感は大きかった。益田社長が着目したのはシャッター通り化が進む地方商店街でもクリーニング屋と弁当屋は生き残っていること。「小規模でも店内に加工設備を持ち、客の目前で加工することが客を離れ難くしている要因だ」(益田社長)と確信し、小型焙煎機の開発を始めた。

焙煎時の香りを届ける

小型焙煎機で焙煎した茶葉

小型焙煎機で焙煎した茶葉

 真ん中にある円柱形のガラス製ケースに一度に100―200グラムの茶葉を入れ、下から火や電熱線で加熱する。すると開け放しのケースの入り口から茶が焙煎される時の香りが周りに広がる仕組み。店頭に置いて「焙煎見本」として使用する。焙煎したお茶は袋詰めすれば商品として販売できる。加熱方式はカセットガスボンベ、都市ガス、電気の3機種をそろえた。

 小型焙煎機の開発を始めたのが2010年春。約1年半で3機種を試作し、11年10月から静岡県内の茶専売店8店舗で8台をモニタリングしている。同年12月まで3カ月間モニタリングし、成果を反映した製品を12年2月に正式発売する予定だ。目標販売台数は12年4月期が50台、13年4月期が600台。拡販に向けて12年3月には幕張メッセで開かれる食品・飲料の展示会「フーデックス」に出展する計画だ。

 同社の主力事業は煎茶工場で仕上げ工程に使われる大規模な装置の製造販売。11年4月期の会社全体の売上高は12億円(前期比70%増)。商店向けの小型機械を手がけるのは初めてで当面は売上高への貢献も小型焙煎機には期待できないが、業界全体を盛り上げて本業に波及させる考えだ。

山益製作所・益田隆久社長

山益製作所・益田隆久社長

【コメント】山益製作所・益田隆久社長
焙煎直後のお茶を提供

 大手飲料メーカーはペットボトルのお茶にオーストラリア産の茶葉を使い始めていることもあり、静岡県の茶業界は強い逆風にさらされています。現在の茶専門店はパック詰めした茶葉を店頭に並べるだけの所がほとんどで、これでは集客は難しいと考えます。全国6000社以上、静岡県内1200社以上と言われる茶専門店に対して小型焙煎機を提案し、お客さまに最もおいしい焙煎直後のお茶を提供してもらうことが、業界の活性化には欠かせません。

会社概要

会社名:株式会社山益製作所
住所:静岡県榛原郡吉田町神戸2849
電話:0548-32-0853
URL:http://www.yamamasu.jp/