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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

沖縄県

琉球王朝の鮮やかな色使いを再現

企業名 やふそ紅型工房 三類型 鉱工業品・技術 地域資源名 琉球紅型、琉球漆器、琉球ガラス
やふそ紅型工房・屋富祖幸子代表

やふそ紅型工房・屋富祖幸子代表

 15世紀に誕生した琉球王朝は、中国・明をはじめアジア各地と活発な交易を繰り広げた。交易のあったアジア各地と影響しあいながら、文化的にも花開いた時代である。現在、沖縄に受け継がれている伝統工芸の多くは琉球王朝時代に形づくられた。紅型(びんがた)と呼ばれる染色はその代表例。琉球舞踊の打掛けに見られる大胆な構図と鮮やかな色使いが紅型である。

色合いに魅せられて

 那覇の中心部にある「やふそ紅型工房」に屋富祖幸子代表を訪ねた。屋富祖さんは「もともと絵が好きだった」ので、県立首里高校の染織デザイン科で染色を学び、その後、デザインを独自に勉強。「沖縄の強烈な青空の下で映える紅型の色合いに魅せられて」紅型の世界に入った。

 伝統工芸は親から子へ受け継がれたり、師匠のもとで修行を積んだりというケースが多いが、「独自にやってきたので、いろいろなものにトライすることに抵抗がなかった」という。紅型のカルチャースクールを始めたのも最初だし、紅型の洋服にも挑戦した。そんな中で生まれたのが沖縄の伝統工芸のコラボレーションである。

伝統工芸のコラボ

 屋富祖さんは以前、普通の日傘に紅型を施した商品を開発したことがあるが、それを高級化しようと発想。沖縄には13もの伝統工芸があるが、それぞれの枠内で動いていた。違った伝統工芸が一緒になれば、いろいろな波及効果が出てくるのではないかと思い立ち、高級日傘でコラボに挑戦する。

琉球紅型、琉球漆器、琉球ガラスのコラボレーションによって生まれた日傘

琉球紅型、琉球漆器、琉球ガラスのコラボレーションによって生まれた日傘

 まず琉球漆器と琉球ガラスに声をかけた。伝統工芸の作者は自分の仕事にこだわりをもち、ほかの工芸とのコラボなどには踏み込もうとしない職人タイプの人が多い。だが納得してやり始めると努力を惜しまず、熱心に取り組んでくれた。

 傘の部分に紅型を施し、手元(持つ部分)には沖縄独自の漆塗り技法である堆錦(ついきん)を、留め具にガラスを使った日傘を完成した。堆錦は漆に顔料を混ぜて粘土状にし、薄く延ばして模様を切り取り漆器に貼り付ける技法。堆錦によって傘に施した紅型と同じ顔料を用い、傘と同じ模様を手元にも配する懲りようで、高級感漂う商品に仕上がった。

 沖縄の伝統工芸のコラボによる日傘は今までにはなかった商品として大手百貨店などから注目されている。「ウチにだけの限定品で売らせてくれ」という話もきているそうだ。しかし「いままではモノをつくるのに精一杯だった。販売面のコラボはこれから」と屋富祖さん。とりあえず4月から百貨店やセレクトショップで販売を始め、インターネットを使ったオーダーメード品の受注も計画している。

"伝統"が基本

 ブランドは本来の着物や帯、反物は「やふそ紅型工房」を使い、洋服やかりゆしウエア、日傘などそれ以外の商品は、手づくりで丁寧に一から染めるという意味の「一染」で統一している。別ブランドにしているのは、一染は産業ベースに乗せることを目指すものの、伝統工芸としての紅型はあくまでも伝統を守りながらやっていくという決意の現われだ。屋富祖さんは「伝統工芸の紅型があるから、いろいろなアイデアが生まれる。ごちゃ混ぜにすると基本が崩れてしまいますから」と言う。

膨らむアイデア

 日傘の価格は10万円前後になるため、今後は3万円前後の普及品も手がけていくそうだ。また沖縄の縫製品組合がサンゴの粉末を練りこんだ繊維を研究しており、これに紫外線カットの機能も入れ込んだ生地を日傘に使えないかと検討している。「サンゴのネーミングでストーリー性が増すと思います」と屋富祖さんのアイデアは膨らんでいる。

 さらに、琉球絣など沖縄の織物と紅型のコラボにも挑戦。織物の無地の部分に紅型を入れた作品を昨年、東京と京都で行った展示会に出し、好感触を得た。最近は木工職人と組み、琉球松でつくった枠に漆を塗って、紅型のカバーをかぶせたインテリア電気スタンドを開発など意欲的だ。「モノづくりは楽しんでやっているところがあるが、それを商売につなげていくのが難しい」と屋富祖さん。最大の課題は販売にありそうだ。

【コメント】やふそ紅型工房・屋富祖幸子代表

照明器具にも琉球紅型を取り入れている

照明器具にも琉球紅型を取り入れている

 琉球の古典舞踊で紅型の打掛けを着るが、一般の人はそれを遠くから眺める程度でした。伝統工芸品は鑑賞するものという感じだったが、そうではなくて、直に生活の中に入っていけるものでありたい。どこの家庭にもあって、身に着けて歩けるものにしたいと考えました。

 カルチャースクールでは生徒が自分で着るものを染めるのです。完成すると本人がモデルになってファッションショーをします。それを着て街を歩くと人目につきやすい。声をかけてもらうと「自分で染めたのよ」と言えてうれしいですよね。伝統工芸をこんなふうに身近なものにしたいと思います。

 日傘やインテリアの照明器具などいろいろトライしているのもそういう考えからです。紅型のかりゆしウエアもやっているのですが、紅型は微細な手作業の連続ですから値段が高くなります。今年の夏からはスクリーン印刷でプリントしたかりゆしウエアに手染めの紅型を加えた普及タイプを商品化しようと取り組んでいます。

会社概要

会社名:やふそ紅型工房
住所:沖縄県那覇市大道105
業種:紅型の衣類製造
電話:098-887-2065