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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

埼玉県

和同開珎発祥の歴史と地域性を伝える

企業名 和銅鉱泉旅館 三類型 観光資源 地域資源名 和同採掘遺跡
和銅鉱泉旅館・町田啓介社長

和銅鉱泉旅館・町田啓介社長

1300年の歴史と「これから」を見据える

 日本初の流通貨幣と言われる和同開珎が生まれたのは708年。武蔵国秩父郡から和銅(純度が高く精錬を要しない自然銅)が献上されたのを喜んだ朝廷は「和銅」に改元し、和同開珎を発行した。

 2008年に「和銅奉献1300年」を迎えるのを機に、2年前から秩父市和銅保勝会などを中心に記念事業が計画されている。4月1日に秩父鉄道黒谷駅は「和銅黒谷駅」に駅名変更し、プラットホームに和同開珎をかたどった大型モニュメントを設ける予定だ。4月13日には記念祝賀祭が開催される。目玉は「黒谷獅子舞・和銅奉献1300年記念大行列」。和銅献上を記念し朝廷が創建した「銭神様」とも呼ばれる聖神社まで、約1kmの道のりを獅子舞などが練り歩くというものだ。

 ただ和銅鉱泉旅館の町田啓介社長は、こうしたイベントはあくまできっかけと見ている。「ただ1300年というだけでは観光客は来ない」。「どのようにして観光客を呼び込むか、呼び込んだ客をどうするかを考え、地域の商品として何年も続くプロジェクトを研究開発しなければお金の無駄遣いになってしまう」と語る。

「銭神様」と呼ばれる聖神社。08年1月11日の「秩父和銅祭」で直径2mの「和同開珎大型模型」が展示された

「銭神様」と呼ばれる聖神社。08年1月11日の「秩父和銅祭」で直径2mの「和同開珎大型模型」が展示された

多様な旅行形態に対応できるミニツアー

 和銅の採掘跡が今も残る秩父市黒谷の和銅山を中心とした一帯は、和銅遺跡と呼ばれている。観光客誘致を考えるにあたり、「銭神様」にちなんで銭洗弁天を設けるなどの案もあったが、むやみに手を加えることには反対が強かった。「遺跡そのままの形をできるだけ保ったまま、観光地としての魅力を高めるにはどうすればよいか」。

 和銅鉱泉旅館が編み出したのは、芝桜や福寿草などの花見ツアーとハイキング、温泉などを組み合わせたミニツアーである。キーワードは「和銅の信話・銭神様のご利益」と「日本を知ろう!和同開珎を巡るロマンの旅」。多様な旅行形態に対応できる本物志向の魅力ある商品を構築し、秩父の銘菓などとも一緒に売り込みたいと考えている。お金に対する意識は時代によって大きく変わるものではなく、銭神様をクローズアップすれば観光客を引き付けられると考えた。和同開珎の成り立ちには遣唐使が関わっているとされる。銀ではなく銅を流通貨幣に用いたのには理由がある。和同開珎や和銅遺跡が、こうした日本の歴史や秩父地域全体に興味をもつ出発点になって欲しいとの思いを込めている。

 これらの事業の主なターゲットは中高年層だが、子ども向けにも、99年から発行されている和同開珎コイン地域通貨を活用したプログラムを開発中だ。カエデの植林やゴミ拾いなどのボランティアに参加した児童に、参加費と同額の和同開珎コイン地域通貨を支払う。歴史や地理を学べる仕組みも作る。教育効果とともに地域への経済効果が見込めるとして、PTAなどにアピールする予定だ。

 また「銭神様」にちなんだ財布や和同開珎を模したクッションなどのグッズ販売を計画している。質の低い商品の流通を防ぐため、当面は秩父市和銅保勝会・聖神社・和銅鉱泉旅館で管理する予定だという。目指すは「女性にかわいいと思ってもらえる、おしゃれでセンスがいいもの」。「とりあえず10品目は出したい」と町田社長は意気込む。

秩父市和銅保勝会発行の銅製メダル『和同開珎』

秩父市和銅保勝会発行の銅製メダル『和同開珎』

【コメント】町田啓介社長
自慢できる地域資源に育てる

 和銅遺跡の観光資源としての強みは、確かな歴史の重みがあり、駅にも近いことだと思う。ただ地元の人が地域のアイデンティティととらえ、自慢話にできるぐらいでなければ地域資源としては不十分。まだ認知度が高いとは言えない和銅遺跡を、地域の「誇り」のレベルにしたい。

 地域資源活用においては、取り組む人によって全然結果が違う。数字に強くネットワークが豊富で情熱をもっており、何といっても道徳と倫理観がある人。そのような人材を行政などがうまくピックアップすることが重要ではないか。

 地域おこしにあたって「国の認定を受けている」、「国のバックアップがある」という看板があれば、自治体や地域の団体に対してもアピールでき、駐車場不足問題などへの理解も得られやすくなる。こうしたバックアップを得るためには情報収集が必要だ。

会社概要

会社名:株式会社和銅鉱泉旅館
住所:埼玉県秩父市黒谷822‐1
業種:旅館業
電話:0494-23-3611
URL:http://www.wadoh.co.jp/(旅館「和どう」)