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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

鳥取県

個性的な梅酒で市場開拓

企業名 梅津酒造 三類型 鉱工業品 地域資源名 鳥取の日本酒

 1865年(慶応元年)創業の蔵元、梅津酒造は、「冨玲」など個性的な日本酒を手がける。その一方で鳥取県の名産である「砂丘長いも」を使った焼酎や蜂蜜酒など常に新しい酒造りに取り組んできた。小規模な蔵ながら数年前からすべて純米酒に変えるなど、こだわりを持ち続けている。09年9月には「良熟梅酒の販路拡大」で地域資源活用事業に認定され、梅酒を本格展開しようとしている。

珍しい梅に一目ぼれ

鳥取産の珍しい品種の梅を使用した梅酒「野花(のきょう)」。

鳥取産の珍しい品種の梅を使用した梅酒「野花(のきょう)」。

 99年に梅酒用の清酒「梅ちゃん」を売り出したのがそもそもの発端。当時は清酒に漬け込んだ梅酒は全国でもほとんどなく、「おいしい」という評判が広まっていった。5代目で杜氏(とうじ)でもある梅津雅典社長によると「最初は清酒だけだったが、そのうち梅もほしい、梅を漬け込んだ清酒もほしいとどんどん要求が広がっていった」という。そこで02年に新たに製造免許を取得し、本腰を入れ始めた。

 梅酒用の日本酒はアルコール度数がおおむね20度と高い。通常の醸造工程では引き上げるのが難しく一工夫必要だ。そして全国でも珍しい梅との出会いが新製品開発につながった。それが「野花(のきょう)豊後」でそのまま梅酒のブランドになっている。野花梅は鳥取県の中部、湯梨浜町野花地区だけで生産される珍しい品種。完熟すると直径5−6センチメートルにもなり果肉が厚く香りが良い。知人の紹介で存在を知った梅津社長は「こんな梅に出会ったのは初めて」と一目で惚れ込み、採用することにした。

“オール鳥取”に行き着く

“オール鳥取”の梅酒を生産する

“オール鳥取”の梅酒を生産する

 しかし野花梅は生産量も限られており年間30トンに満たない。しかも同社は一般的な梅酒が完熟前の青梅を使うのに対し完熟梅を使用している。完熟梅は傷つきやすく運搬も難しい。生産者にとって扱いにくい商品だ。この野花梅を2年以上も専用清酒に漬け込み熟成させた。「エキスの濃い梅だが熟成させ米のエキスとマッチ」させ、他に例のないユニークな梅酒ができ上がった。

 試行錯誤はあった。全国各地数カ所の梅を試してみたが、なかなか個性のある梅には出会えなかった。結局行き着いた野花梅の産地、湯梨浜町は梅津酒造の本社がある北栄町の隣町。もちろん酒米は県内産の山田錦なので“オール鳥取”の梅酒だ。ただ販売面では500ミリリットルで1500円と高価なので苦戦している。地域資源活用事業は梅酒ではなく蜂蜜酒について助成金はないかと県を通じて照会した。すると訪問した担当者が「野花」に注目し「あれよあれよと言う間に野花で申請することになった」と笑う。

欧州もターゲットに

 販路拡大の狙いは県外に打って出ることだが、梅津社長は「国内は飽和状態なので海外も狙っている」と挑戦している。まずは展示会で感触を探るため、パリとケルンの総合食品見本市に出展した。13年3月にはデュッセルドルフで開催される酒類の見本市にも出展する。欧州を中心視しているのは「リキュール文化があるし、じっくり育てる風土があるように感じる」からだ。フランスに出荷したほかオーストラリアにも実績がある。国内では「梅酒というと食前酒、といった固定概念がある。それを覆すのは大変だが一歩一歩歩みたい」と地道に販路拡大に取り組む。

【コメント】梅津酒造・梅津雅典社長
生産者との連携大切に

梅津酒造・梅津雅典社長

梅津酒造・梅津雅典社長

 希少な原料を使っているだけに、梅や米の生産者、JAなどとの連携を大切にしたい。地方の中小企業は、地域のメリットを最大限利用することが必要。地元の他の事業者などと協力して互いの良い点を引き出すことが中小企業の存在意義だと思う。日本酒市場が落ち込む中で比較的堅調だった梅酒市場も頭打ちになっている。自分の感触では「野花」は、他の梅酒とは違う、との評価を得ている。個性と価値を認めていただき、海外を含めた梅酒の新しい市場を開拓したい。 

会社概要

会社名:梅津酒造有限会社
住所:鳥取県北栄町大谷1350
業種:清酒、焼酎、リキュールの製造販売
電話:0858-37-2008
URL:http://umetsu-sake.jp/