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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

富山県

ゼンマイ式発電による音声ガイド装置の製造販売

企業名 東洋ゼンマイ 三類型 鉱工業品 地域資源名 ばね・ぜんまい製品

 山や海が近く自然に囲まれた富山県黒部市にある東洋ゼンマイは、1930年に創業した。薄い特殊鋼の帯を熱処理することで復元性を高めた腕時計や蓄音機などの精密機械向けゼンマイを、長らく製作してきた。ゼンマイの動力が安定しないと時間が狂ったり回転の速度が変化したりと、どちらも性能に大きく影響してしまう。そのため独自の熱処理技術を開発し、鋼材を調整するなどノウハウを蓄積してきた。

高いエネルギー効率に着目

新川牧場(富山県黒部市)MOOガーデンに設置したゼンマイ望遠鏡

新川牧場(富山県黒部市)MOOガーデンに設置したゼンマイ望遠鏡

 現在、同社のゼンマイは家庭電化製品のコードリールや車のシートベルト、住宅のロールスクリーンなどに使用されている。意外なところでは、金融機関で紙幣を数える機械に内蔵されたカウンターや大型クレーンのアームの上下運動にも使われている。特に玩具関連のゼンマイは、世界市場で約30%のシェアを持つ。

 そのゼンマイが持つ非常に高いエネルギー効率に目を付けたのが長谷川社長。例えば車の玩具は小さな力で数十センチメートル引っ張るだけで、数メートル走らせることができる。性能もほとんど変わることなく半永久的に保たれる。そこで開発したのがゼンマイ式発電装置による音声ガイド装置だ。手のひらほどの大きなゼンマイを使い、そのゼンマイの動力により発電させる。人が回して電気を起こすだけなので環境への負荷も少ない。

不得意な部分は他社に任せる

百貨店ではゼンマイ発電で音と光のクリスマス(玉川高島屋)

百貨店ではゼンマイ発電で音と光のクリスマス(玉川高島屋)

 本社のある黒部市は自然が豊富で有数の観光地でいろんな所に看板やモニュメントがある。山の中や海の近くで電源がないところでも「看板から音声を出して案内できるものがあればといい」(長谷川社長)と商品化に取り組んだ。当初は開発室に1人しか人員を配置できなかった。先行投資という意味でベンチャー系の展示会に出展しPRに努めた。そこでは共同開発の話が出でて徐々にネットワークが広がっていった。

 具体的な製品化にあたって、デザインを富山大学芸術文化学部教授武山良三氏に携わってもらった。半導体メモリーといった電子部品など「得意でないところは他社に任せた」(同)ことでより高度化を図る。多くの観光地は国際化に向け展開している。海外、特に中国や韓国からの観光客のために音声も日本語だけでなく英語、中国語や韓国語を備えた機種もそろえた。4カ国語に対応するLED照明付きが約100万円。来年度は50台の販売を目指す。

 高層ビルなどの展望台にある音声ガイド付き双眼鏡や街頭に設置する音声が出るポスター装置など種類も増えた。最近では大手アミューズメント機器メーカーからもゼンマイ式発電装置の共同開発を行う。納入実績は富山県内だけでなく北は北海道から中国地方まで伸びた。同社が開発した発電装置はゼンマイを回すことでバッテリーに電気をためるものではないため「寿命も長く環境にも優しい」(同)と新たな用途開発の挑戦は続く。

東洋ゼンマイ・長谷川光一社長

東洋ゼンマイ・長谷川光一社長

【コメント】東洋ゼンマイ・長谷川光一社長
震災時に対応できる手動エネルギー

 特に東日本大震災以降、自然災害の脅威を常に頭の中に入れておく必要が出てきた。災害時や非常時に化石燃料による電源が使えなくなり停電したときなど都市機能が成り立たなくなる。ゼンマイを活用した手動式発電機は人の力でゼンマイを回しエネルギーを作るもの。今後は広域避難所などに設置し、災害時に電源が無くてもラジオが聞けたりLEDなどの照明が使えたりする製品の開発を考えている。人の力を風力発電や太陽光発電といった自然エネルギーのひとつとして捉え、安心・安全を届けていきたい。

会社概要

会社名:東洋ゼンマイ株式会社
住所:富山県黒部市岡435
業種:ゼンマイ製造販売
電話:076-268-6424
URL:http://www.zenmai.co.jp/