HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

沖縄県

集落の古民家に泊まり、癒しの「島暮らし」を体験

企業名 福木島となき 三類型 観光資源 地域資源名 古民家、特産の農産・海産物など
福木島となき・南風原豊社長

福木島となき・南風原豊社長

古民家へ宿泊。着いた日から「島で暮らす人」に

 沖縄県の泊港から久米島行きのフェリーで約2時間。渡名喜島は、渡名喜島と入砂島(無人島)の2つの島からなる、ドラマのオープニングにも使われた美しい島だ。

 渡名喜村は沖縄県で人口が最も少ない村。現在は219世帯・464人(2005年度住民基本台帳より)が暮らす。島外からは、最も人が少ない島に行こう、という観光客がまれに訪れるくらい。株式会社福木島となきは、そんな渡名喜村の村おこし(観光ツアー)会社として2007(平成19)年に立ち上がったばかりだ。

外側はほぼそのままの状態。中は全面改装され心地よい空間に。

外側はほぼそのままの状態。中は全面改装され心地よい空間に。

 渡名喜島の港につくと、集落は目の前。赤い瓦の上にそれぞれ違う顔をしたシーサーが乗った、伝統的な古民家が並んでいる。「家がフクギに囲まれているのは、風から家を守るためです」と同社の岡留氏。家の敷地が一段下がっているのもそのためだ。このうちの1軒で、泊まるのではなく暮らす人になれる。それが、同社が提供しようとしている新しい観光プログラムだ。


とれたて食材の家庭料理で、夜を楽しむ

バッテリーカーで1時間も走れば、海、山、集落と島内をすべて回れてしまう。

バッテリーカーで1時間も走れば、海、山、集落と島内をすべて回れてしまう。

 島には観光用に1人乗りのバッテリーカーが用意されている。岡留氏の案内で海沿いの道から山に入り、美しい海岸線が見渡せる見晴らし台へ。濃い緑で覆われた山には、所々に階段状の土地がある。「段々畑の跡です。かつて人口が多かった時期には、この辺りも畑だったんです」遊休地ではない畑が見えてきたのは、山を下ってから。畑も白い砂地だが「かえって砂のほうが、特産の"島にんじん"や"もちきび"がよく育つようです」。

 夜になると、集落の真ん中にある同社の「ふくぎ食堂」で食事。食堂には地元の人も集まってくる。「今までは食堂がなかったので、観光に来た人にもかわいそうでした。昨年やっと3件できたんです」島の料理をさかなに泡盛を飲む。暖かな夜風が心地よい。


渡名喜の「価値観」を味わえるプランに

 同社のプランでは、観光に訪れた人は1組1軒の古民家に宿泊し、集落での暮らしを体験してもらう。「来た人が地域と一緒になれる観光を目指したい」と語るのは、渡名喜島出身の同社代表取締役、南風原 豊氏。沖縄や本土で土木関係の仕事をしていたが、常々気になっていた島の人口流出に歯止めをかけたい思いで、今回の事業化に踏み切った。

ほとんど観光地化されておらず、設備がない代わりに、ゴミもほとんどない。

ほとんど観光地化されておらず、設備がない代わりに、ゴミもほとんどない。

 “地域と一緒になれる観光”を願うのは、島の暮らしを守りたいという思いから。観光客が島の人の生活のペースを乱してしまわないよう、注意を払いたいという。島は携帯もインターネットも通じるが、明らかに都会とは“価値観”が違う。「だから、お客さんがこういうことをしたらみんなで注意するというように、島民に協力をお願いしています。子供らは純真で、知らない人にも気兼ねなく声をかける。だからお客さんにも、子供が毎朝掃除していてゴミを放っておかないような島であることを知ってもらいたい」ゆくゆくは「渡名喜憲章」を作って旅行者に配ることも検討している。「お金持ちだから、お金がないからじゃない。"田舎に来てください、田舎を理解してその自然や文化を満喫してください"、なんです」島の当たり前の生活を、あえてそのまま見せる観光スタイルをつくっていきたいと南風原氏はいう。

観光という新しい産業を、島でじっくり育てたい

 雇用も一気に増やすのではなく、一人一人若い人を育てていきたい考えだ。実は同社の岡留氏は、首都圏からのIターン。かつて訪れた渡名喜島へ、結婚した後に移り住んだ。しかし同社に勤めるまでは、仕事は不定期の土木作業員。「都会の人がIターンをしたいと言っても、本当に何もない島に来るのは難しい」と岡留氏。本当に限られたものと過ごす暮らしがどんなものか、それを受け入れる気持ちを持っている人にこそ来てほしいと願いっている。

 島の現状は厳しい。古民家は空家が増えており、空家になると建物の傷みは加速する。世帯の転居で子どもが減ると、学年を統合しなければならない。高齢化の問題もある。ゆったり時間が流れる島には似つかわしくないが、課題は差し迫っている。

 2000年に重要伝統的建造物郡保存地区に選定された貴重な集落の景観を守るためにも、産業の創出は必須。「案内役や、料理、サービス。各々の役割が果たせる人を育てたい」南風原氏は、急激に変化させるのではなく少しずつペースを作りながら、地域と一緒に“ 観光”という新しい産業をつくりたいと考えている。

【コメント】福木島となき・南風原豊社長
島の日常や自然を、島の人として体験してもらいたい

 渡名喜島では、島にんじんや薬草、畑のものも、すべてが無農薬。食の安心・安全が叫ばれる中で、これは大きなことだと思います。渡名喜に来ないと食べれないよと、多少出し惜しみしても大切にしたい。農業体験も考えています。自分で作ったものをお土産に持って帰ってもらうのがいいのかなと思います。

 集落を徒歩で回ると、夏場なら日差しや日蔭に暑さや涼しさを感じる。食堂に行けば、ほとんどみんな知り合いなので、老若男女関係なく合席。そういった所を体験してもらいたい。島の文化を理解して体験してみたいという人に、訪れてほしいと思っています。

会社概要

会社名:株式会社福木島となき
住所:沖縄県島渡名喜村1909
業種:民宿・食堂などの経営
電話:098-989-2990