HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

岐阜県

節水や洗浄効果を武器に自社製品売り込み

企業名 田中金属製作所 三類型 鉱工業品 地域資源名 美山の水栓バルブ

空気を利用した不思議なシャワー

自社開発したシャワーヘッドと水栓金具部品

自社開発したシャワーヘッドと水栓金具部品

 出る水の勢いは変わらないのに、実際に出ている水量は通常の3分の2から半分という不思議なシャワー。そのからくりは、水に空気を含ませながら吐水する特殊な内部構造を持ったシャワーヘッドにある。開発したのは、水栓バルブ発祥の地とされる岐阜県山県市美山地区で、水栓バルブ向けの金属部品を手がけてきた田中金属製作所だ。

 商品名は、空気混合式節水シャワーヘッド「アリアミスト」。高い節水性能と快適な使用感、既設のシャワーヘッドと簡単に付け替えられる手軽さが売りだ。水が本体内部の水量調節アダプターを通ってシャワーヘッドに流れてくる際、本体に空けた小さな穴から取り込んだ空気を含ませる仕組み。水と空気の力だけで水に空気を含ませながら水勢を維持するもので、電気などの力は一切借りない。

 開発は7年前。蛇口用節水器具として約10年前から節水コンサルタント事業者に販売していた自社製品を、シャワーヘッドに応用した。金属加工専業の同社は、樹脂製のシャワーヘッドの製作では、近所の樹脂加工メーカーの協力を得た。当初は大型雑貨店で扱ってもらったが「売り場で埋没してしまったのか、3年間売れなかった」(田中社長)という。

テレビ通販でブレイクするも

蛇口に取り付けるだけで微細な泡を含む水が出てくる

蛇口に取り付けるだけで微細な泡を含む水が出てくる

 販売に火がついたのは、テレビの通販専門チャンネルで放送されてから。通販会社からの声がけがきっかけだった。多い日で1日に1万5800本も売れたという。大きな反響を得ながらも、放送は1年で終了。新たな販売先開拓が課題となった矢先、長年の主要取引先だった地元水栓バルブメーカーが廃業した。美山地区の下請け各社は大打撃を受け、同社も売上高が10分の1に激減したという。田中社長は本格的に自活の道を探る必要に迫られた。

 販売戦略を温浴施設やホテル、レジャー施設など法人向けに的を絞った直販に改め、東京の展示会に出展しては、もらった名刺を頼りに営業担当者2人が北海道から沖縄まで全国を回った。高い節水効果が評価され、2年半で納入実績は約250社・団体に上った。

 法人向け販売が軌道に乗り、ガス会社経由で一般家庭向けの販売もスタート。節水が給湯に使うガスの節約にもつながると、ガス会社側の省エネ商品と組み合わせた提案が可能だったためだ。今ではガス会社の関連企業向けに、製品のOEM供給も行っている。

 「どんなヒット商品も10年たてば陳腐化する。次々に新しいことを考えないと」(同)。田中社長が次に着目したのは、微細な気泡が持つ除菌や洗浄の効果だ。11年夏に直径50マイクロメートル以下の泡“マイクロバブル”を発生する蛇口用器具「ミュージェット」を1年かけて完成した。本体内部で水を強く旋回させ、外から空気を取り込むことなく微細な泡を含む水に変える新構造だ。

 洗浄や除菌の効果は外部試験で確認済みで、農作物の成長を促すことも確認された。通常のマイクロバブル発生装置に比べ、取り付けが簡単で価格も7875円と手頃。台所の流しや洗濯機用蛇口などの家庭向けだけでなく、美容業界や農業分野などにも幅広く売り込んでいく考えだ。

田中金属製作所・田中和広社長

田中金属製作所・田中和広社長

【コメント】田中金属製作所・田中和広社長
下請けだけではつぶれていた

 当社は長年下請けをやってきましたが、取引先の廃業もあり、自社製品を造るのが生き残りの道と考えた。中小企業の弱さは内部留保が少ないこと。新製品開発では開発費を極力抑え、借金せず自前の資金でやりきりました。下請けだけを続けていたら、つぶれていたでしょう。「変わることは恐ろしいが、変わらないことはもっと恐ろしい」と思っています。

会社概要

会社名:株式会社田中金属製作所
住所:岐阜県山県市日永1095
電話:0581-53-2653
URL:http://www.tanakakinzoku.com/