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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

山形県

山形から仕掛けるフレッシュワイン・ブーム

企業名 タケダワイナリー 三類型 農林水産物 地域資源名 ぶどう
タケダワイナリー・岸平典子代表取締役社長

タケダワイナリー・岸平典子代表取締役社長

恩恵を受けたデラウェア種で地域をもう一度、元気に

 タケダワイナリーが山形で生食用ぶどうとワイン造りを始めたのは1920(大正9)年。代々の社長のワイン造りへの情熱によって、現在では日本のワイナリーの代表格へ成長した。現社長の岸平典子氏の父は、土壌改良によるシャルドネなどのヨーロッパ系ぶどうの育成、日本では稀少な100%自社栽培原料ワインの醸造、日本初の瓶内二次発酵本格スパークリング・ワインの製造を始めた人物だ。

 自社畑原料の他にも、県内農家からデラウェア種やマスカットベリーA 種を仕入れて醸造。カジュアルで個性的な味の県産ぶどうシリーズと、特別感のある自社畑ぶどうシリーズの2ラインを、愛好家にも一般にも選びやすいよう整備してきた。

 そんな岸平氏が今、気になっているのが、県内農業の元気のなさ。「山形県はデラウェアの生産量が全国一位ですが、年々消費が減って農家さんのモチベーションが上がらないのが現実です」かつての日本のぶどうの代表格デラウェアが、今は巨峰やマスカットなどの高級ぶどうに押され低迷している。

 代々お世話になり、今も良質のぶどうを提供してくれる農家に、恩返しをしたい。漠然と考えていた岸平氏だったが、地元の中小企業金融公庫の支店長に「地域資源活用事業」への認定申請を勧められたことをきっかけに、地域資源事業として新商品の開発を行うことを思い立った。

全国4,000名のファンが良質な情報を広げてくれる

[サン・スフル](亜硫酸を加えない)のコンセプトの通り、ラベルも自然な風合いの紙を使い、素朴にデザインしている

[サン・スフル] ( 亜硫酸を加えない) のコンセプトの通り、ラベルも自然な風合いの紙を使い、素朴にデザインしている

 フランスで学び、確かな醸造技術を持つ岸平氏。商品化の技術的障壁は大きくはなかった。瓶内一次発酵とは、ワインになる途中のものを瓶に詰め、瓶内で発酵を終了させる醸造方法。酵母がガスを生み微発泡となるもので、添加ではなくあくまで自然の泡が楽しめる。約3ヶ月で出荷が可能なので、キャッシュフローの面でも優等生だ。

 市場ニーズの把握のため2,000本を試験販売したところ、予約注文が殺到し1ヶ月で完売。「正直、驚きました」

 同社にはDM対象顧客という強力な支持者が存在する。「酒蔵としてはかなり早く、約30年前から始めました。DMの売上が落ち込んだ時期もあり、親しみやすくワイナリーに興味を持ってもらえる内容へと常に見直しをかけて作っています」購入 者、見学者を中心に住所を集め、現在は約4,000名。DM1回の返り注文率は8〜10%という高数字。「直接お伝えすることで情報は的確に伝わり、広まって行きます」商品への要望を寄せる顧客も多く、会社の重要な情報源ともなってい る。

取材で繰り返し伝えた「無料見学会、やってます」

 一方、新規販路確保に重要な役割を果たしているのが、雑誌や新聞などのメディアだ。今回も、発売前に新聞に取り上げられたことが大きな反響につながったという。

DMは年4 回送付。客観性確保のため執筆は外部ライターに依頼。DMをきっかけにホームページを見る人も多い

DMは年4 回送付。客観性確保のため執筆は外部ライターに依頼。DMをきっかけにホームページを見る人も多い

 タケダワイナリーは、自社畑のぶどう100% 使用という希少性や日本初という新規性、技術力の高さから、常々注目を浴びる存在であり、取材件数もかなり多い。しかし漫然と取材を受けるのではなく、そこで岸平氏は「“ 無料見学会やってます”と毎回、同じことを言いました」。記事を読んで商品に興味を持った人が、個人で見学にやってきて、小さな即売所で気に入ったワインを買って帰る。少人数ごとの対応には手間がかかるが、採算は充分という。「観光バスでの見学も、以前は受け入れていました。しかしバスは買う車と買わない車の差が激しいし、旅行会社を経由するとマージンが発生する。対応の手間を考えても、個人で興味があって来られた方は、ほぼ確実に買っていきますから」取材はどんなに多くても、特別なことがない限りすべて受けるという岸平氏。「メディアへの露出が、他メディアへの連鎖を生みだしてくれます」

新商品を「産地形成」という長い物語への第一歩に

 中小機構 東北地域支援事務局の伊東プロジェクトマネージャー(PM)は、売れる商品には共感性のある物語が存在するという。「岸平さんの地域への思いは、今、日本でどの地域にも共通している“泣かせる物語”です」岸平氏で5代目、技術面では日本のワイナリーのトップクラスだが、あくまでも地域発であることにこだわる。「山形県はぶどうの産地として非常に適しているのに認知度が低い。私どもの商品によって山形がワインやぶどうの産地として有名になれば、農家の方々のモチベーションも上がり、産地形成につながっていくのでは」県内に11社あるワイナリーとの連携や他県との情報交換にも熱心な岸平氏。今後のブランディングについても伊東PMらと議論を重ねている。「サン・スフル微発泡」がさらに多くの人の手に 届き、山形県産のワインやぶどうのおいしさを知らしめる日も近い。

発売以来、看板ブランドとして親しまれている「蔵王スターワイン」

発売以来、看板ブランドとして親しまれている「蔵王スターワイン」

【コメント】タケダワイナリー・岸平典子代表取締役社長
情報を直接発信することで、大きく広げる

 販路に関しては、現在、できるだけ中間業者が入らない販売体制の確立をやっている所です。理由のひとつは、品質維持のため。劣化のクレームは中間での長期ストックが原因であることが多く、むしろマージンを払った上でもお届けは直接させて頂くことにしています。もうひとつは、できるだけお客様に情報を提供するため。個人や酒販店へ直接情報を発信できると、結果的には広がり方が大きいのです。DMや見学会の個別対応には時間がかかりますが、わざわざ訪ねてくださる方は、ほぼ確実に購入して下さいます。

会社概要

会社名:有限会社タケダワイナリー
住所:山形県上山市四ツ谷2-6-1
業種:ワイン生産
電話:023-672-0040
URL:http://www.takeda-wine.co.jp/