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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

長野県

異素材を組み合わせた新たな価値の上田紬

企業名 高澤織物 三類型 鉱工業品 地域資源名 上田紬

紬(つむぎ)とは繭(まゆ)から作った真綿から手で引いた糸、およびその糸を使った織物のこと。着物など和装の素材に広く使われる。長野県上田市や長野市を中心に生産されている上田紬は、茨城の結城紬、鹿児島の大島紬と並ぶ三大紬の一つ。この上田紬という地域資源を活用してマフラーやストール(肩掛け)などの小ロット生産システムを構築したのが、1924年(大正13)創業の高澤織物だ。大量生産、低価格化が進むファッション業界の中で、新たな高付加価値ブランド化への取り組みとして注目されている。

ニューヨーク近代美術館で販売

米MoMA美術館内で販売されているストール

米MoMA美術館内で販売されているストール

高澤織物は「異番手異素材を活用した服飾雑貨の小ロット対応システムの確立とブランド化」で、2009年に経済産業省から地域産業資源活用事業計画の認定を受けた。高澤史納(ふみのり)氏は創業家の3代目。社長は妻の三枝子氏に任せ、自身はテキスタイルデザイナーという肩書きで現場を取り仕切る。2007年には経産大臣指定伝統的工芸品の信州紬で伝統工芸士の資格を取得した。これは経産省が指定する伝統工芸品の制作に12年以上携わった者が試験を受けて取得できる称号だ。


小ロットに対応した織機

小ロットに対応した織機

認定を受けた事業の「異番手異素材」の「番手」とは、織物に使う糸の太さのこと。通常は同じ素材の同じ太さの糸を使うが、「異なる素材や糸の太さを組み合わせることで、両方の素材のメリットが生きる」(高澤氏)という。例えば経(たて)糸に細い生糸、緯(よこ)糸に太いカシミヤ糸を使うと、絹のつやとカシミヤのやわらかさを兼ね備えた独特の風合いを持つストールができあがる。このストールは「FUMINORI TAKASAWA」の名前とともに、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のデザインストアで販売されているという。

百貨店で指名買いも

手作業でストールの房を仕上げる

手作業でストールの房を仕上げる

これまで手掛けたマフラーやストールなどの服飾雑貨は約100種類。通常の製品は100枚以上の大ロットで生産されるが、これらは30枚、50枚と小ロットで生産する。このため紡績や仕上げ加工など10社ほどの協力会社のネットワークも構築した。

マフラーやストールなどの商品に狙いを定めたのは「肌に直接触れて品質の良さを実感できるから」(高澤氏)という。皮膚の中で最も薄い部分の一つである首周りの服飾雑貨には、高いデザイン性も要求される。マフラーなどは単に防寒用ではなく、最近ではファッションの重要アイテムにもなってきている。「高澤織物」の自社ブランドで有名百貨店や通販会社を通じて販売。最近では指名買いの客が現れるほど商品の質の高さが浸透しているという。目指しているのは「ベビースキンの柔らかさ」。赤ちゃんの肌のような繊細できめ細かい感触の製品開発に向け、今後も取り組んでいく考えだ。

【コメント】高澤史納氏
環境・健康に配慮、復興支援も

高澤織物・高澤史納氏

高澤織物・高澤史納氏

現在取り組んでいるのは「オーガニック繊維」を使った商品の開発。まだ十分に認知されていないが、オーガニックと名乗れるのは食品も繊維もすべて専門機関による認証を受けた製品のみ。自己申告は許されていない。例えばコットン(綿)では、栽培に農薬や化学肥料を使用しないだけでなく、収穫後の紡績や染色、仕上げにも環境や健康に配慮した方法を取り入れている。さらに労働環境や取引の公正さまで確認する徹底した素材を使うことで社会貢献にもつながっている。
 一方、当社は「東北コットンプロジェクト」にも参加している。震災の津波被害で稲作が困難となった土地にコットン(綿)を植え、栽培したコットンを使ってストールやタオル、シャツやデニムを生産・販売して復興を支援する。農家やアパレルブランド、小売店などのプロジェクトメンバーと一体となった新事業として取り組んでいる。

会社概要

会社名:高澤織物株式会社
住所:長野県長野市篠ノ井会223
電話:026-292-0436
URL:http://takasawa-orimono.jp/