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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

北海道

ホタテ養殖発祥の地で煮汁を活用

企業名 しんや 三類型 農産水産物 地域資源名 ホタテガイ
しんや・新谷俊秀社長

しんや・新谷俊秀社長

ホタテの煮汁でブイヨンを開発

 オホーツク海とサロマ湖に面し、最近はカーリングでも知られる北海道・常呂町は、ホタテ養殖発祥の地である。日本初のホタテ稚貝からの増養殖は、当時しんやの社長だった新谷廣治氏と水産庁北海道試験場の木下虎一郎博士とが1934年に出会ったのがきっかけとされる。1961年に、同社の代表商品である「帆立燻油漬」を商品化。ホタテの貝柱を塩で茹でた後に燻製にして植物油に漬けたもので、テレビCMの効果もあり道内では認知度も高い。ただ、塩茹での際の煮汁は最近まで捨てていた。新谷俊秀社長は「煮詰めたら良いダシになると分かっていたが『大企業にまかせればいい』と思ってやらなかった」と振り返る。

 転機は、2006年に常呂町が北見市と合併したことだった。市から「煮汁を有効活用してみないか」と声がかかり、経済産業省からの助言もあって開発に着手。ホタテを炊く際には塩を何度も用いるが、可能な限り脱塩し貝柱から溶け出るエキスのみを残すことで、深いコクが生まれ栄養分を摂取しやすくなり、汎用性が高まる。

 また、これまで産業廃棄物としていた資源を有効活用することで、環境負荷低減につながる。機能性食品として販売することを目標に、道立食品加工研究センターやオホーツク圏地域食品加工技術センターなどと連携してブイヨンを開発した。

サロマ湖のほとりにある「ほたて養殖発祥の地」の石碑

サロマ湖のほとりにある「ほたて養殖発祥の地」の石碑

 「このままスープになる」と評判は上々だが、味を安定させることが今後の課題だ。一方で煮汁を粉末にすることにも成功しており、利便性を高めるため顆粒化を目指す。煮汁活用が成功すればホタテ自体の売上にもつながる、と新谷社長は期待する。すでに一部の飲食店が「ほたてブイヨン」を活用した焼きそばをメニュー化しており、たれメーカーからの引き合いもあるという。焼きそばやラーメンなどの試食会を見本市などのイベントで開催し、外食産業にアピールする考えだ。

成分分析を進める

 以前、干しホタテががんに効くという情報がテレビで取り上げられて売上が伸びたことがあった。「効能がはっきりすればもっと売れるはず」(新谷社長)。ホタテに含まれるミネラルやタウリンの効能などの成分分析を北見工業大学と連携して1〜2年のうちに進め、3〜4年のうちに業務用スープなど、その成果を活かした商品を売り出したいという。

 塩茹でにはミネラル分の多い赤穂の塩を使用している。水に関しても装置を工場内に設け、「いい水を使うことでこんなに違いがあると示したいが、データで実証できなければ意味がない」として、分析を三重県の企業に依頼。2009年にはおおよそのデータを揃える予定だ。

 課題は販路開拓。ホタテ入りマヨネーズなど好評の既存商品は多いが、「広がらないのが悩みだ」と新谷社長は語る。しかし、「小さな会社だからこそ小回りが利く」。すでに干しホタテを中国や香港に輸出し、高級中華料理のダシとして人気を博している。ホテルへの提案も積極的。「ホテルは完成品より素材ベースの方が受け入れてくれそう」という。百貨店で開催される物産展などにも積極的に参加し、レトルト商品の開発にも取り組む。ホタテのせんべい作りやブラックペッパーを使ったのしホタテなど、商品の構想は広がるばかりだ。新谷社長は「夢を持って取り組みたい」と笑顔で話す。

【コメント】しんや・新谷俊秀社長
地域で最後まで製造する

ホタテのエキスが染み出した煮汁

ホタテのエキスが染み出した煮汁

 北海道の海産物としてホタテは、カニやサケと並ぶブランドイメージがある。北海道は産地としては豊かだが、原料供給にとどまっているケースが多い。典型例が明太子。しんやのように原料を購入して加工し末端商品にしているのは珍しい。情報化が進んでいるからこそ、地域で最後まで製造して付加価値を高めて売る必要がある。

 HPでの商品販売も行っている。インターネットというと冷たいイメージがあるがそんなことはない。「おいしかった」、「常呂に一度行ってみたい」という感想がメールで寄せられる。そのまま食べられる商品であっても、買った人から調理のアイデアがもらえることもある。だから販売の輪を広げ、コミュニケーションを取って1人ひとりのお客さんがどう感じてくれているかを知ることが大事。人とのつながりを大切にしていいものをつくりたい。現在、マーケットとしては道内が主力だが、本州の人にもぜひ食べて欲しい。

会社概要

会社名:株式会社しんや
住所:北海道北見市常呂町字常呂45-6
業種:水産物製造業・加工・卸し
電話:0152-54-2181
URL:http://www.shinya.ne.jp/