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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

宮崎県

企業型農業経営を目指して

企業名 新福青果 三類型 農林水産物 地域資源名 大根、にんじん、さといも、ごぼう、じゃがいも
新福青果・新福秀秋社長

新福青果・新福秀秋社長

全国有数の農業生産法人

 新福青果は宮崎県と熊本県に90ヘクタールという広大な農地で根菜類や葉もの野菜を生産する。国内大手スーパーなどに納入するほか、輸出も手がけている。国内農業が総じて停滞気味の中、農業に企業的経営手法を導入し、規模を拡大。休日制度や社会保険など、ほかの産業と同様の制度を採り入れ、「若者に魅力ある農業」(新福秀秋社長)を目指してきた。

 宮崎県の面積は7735平方キロメートル。このうち約1割の709平方キロメートルが農地として利用されている。05年の農業産出額は3206億円で全国6位。特に新福青果が立地する都城市は畜産をはじめ、野菜の生産などが盛んな地域だ。

 新福青果は葉もの野菜の生産では全国有数の規模を誇る。だが、新福社長はずっと農業を行ってきたわけではない。むしろ高校生までは親が営む農業を嫌っていた。高校卒業後は生まれ育った宮崎県都城市に残らず、関東にある化学会社に就職、研究者として工業繊維の研究に携わった。嫌っていた農業だが、離れてみると思いが募っていく。1976年(昭51)に会社を辞め、故郷に戻った。

 当初は両親と3人で和牛の肥育を行い、その後、野菜生産を開始した。「天職と思い、会社を辞めて始めた農業だった」(同)が、理想と現実のギャップは大きかった。会社では当たり前の休日すら取れないし、けがをしても何の補償もない。旧態然の農業に当初の夢がぼやけた時期もあった。

 なぜ、農業は会社で当たり前のことができないか考え、出した答えが「規模の拡大だった」(同)。家族で行う農業では会社のような事業運営は無理。そこで87年に法人を設立し、企業的経営ができる農業を目指した。法人化当初の従業員数は12人。定期的に休日をとり、社会保険などにも加入した。生産面では有機栽培にこだわった野菜類を生産し、顔写真入りの販売など差別化を図り、納入先を拡大した。

 95年には新規就農者を社員として初めて採用したほか、都城地域では初の農業生産法人の認可を受けた。その後、事業は順調に成長し、03年には高齢者向けに新会社も設立。現在、2社合わせて約80人の従業員を雇用している。

農業行政を抜本的に見直す時期

労働時間や肥料代などをパソコンに記録し、1農地ごとに収支管理している

労働時間や肥料代などをパソコンに記録し、1農地ごとに収支管理している

 新福青果の事業は順調だが、国内農業の低迷は深刻さを増している。就農者の高齢化は進むばかりで、農地法による制約などもあり、国内の耕作放棄地は年々増加し、現在は全国に38万4800ヘクタール存在する。後継者難から、この数字は今後も増加していく見込みだ。

 新福社長は農業の現状をこう分析する。(1)就農者が高齢化し、同時に技術喪失が進んでいる(2)技術的なソフト・ハードのマニュアルが未整備な状況(3)規模が小さく所得も低いため後継者難になっている(4)農地法による所有権や利用権の制限−などが問題という。

 そこで農業の事業体別に技術データベースの構築やマニュアルの整備、スクラップアンドビルドによる一定の規模確保、社会保障の充実−などが必要と指摘する。

 食料自給の観点から農業の振興は国にとっての重要施策。国や自治体は手厚い農業行政を行ってきたが、結果だけを見れば失敗といわざるを得ない。一方で有力な農業生産法人は事業を拡大している。農業行政のあり方を大きく見直す時期に来ているのではないだろうか。

【コメント】新福秀秋社長
地域の特性を生かした振興策を

06年には野菜の加工工場も稼働した

06年には野菜の加工工場も稼働した

 耕作放棄による国土の荒廃が深刻だ。都城市にも多くの耕作放棄地が存在する。これまでのバラマキ型行政を早急に改める必要がある。国などは食料自給率の点から国内農業の保護を訴えるが、私は食料自給率と農家保護は別次元の話にしなければならないと考えている。企業型の農業経営が増えれば耕作地は増えるだろう。ほかの農業生産法人の経営者も耕作地を増やしたいと考えている人が多い。どの行政も「工場」の誘致のために工業団地は造るのに、「農業」を誘致する農業団地は開発しない。私は都城市長に農業を誘致するための施策を行うよう訴えている。地方には地方なりの振興策を考えなければ、一層過疎化が進んでしまう。そうなれば田舎から人はいなくなってしまう。

会社概要

会社名:有限会社新福青果
住所:宮崎県都城市梅北町2072
電話:0985-39-2397
URL:http://www.shinpukuseika.co.jp/