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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

福岡県

日本酒技術で蜂蜜を原料とする醸造酒「ミード」開発

企業名 篠崎 三類型 鉱工業品・技術 地域資源名 福岡の清酒

 福岡県は全国でも有数の酒どころだ。県内には現在でも70以上の蔵元がある。それぞれの蔵元では日本酒造りの伝統や技術が息づいており、さまざまなブランドの純米酒や吟醸酒、大吟醸酒が生まれている。篠崎の蔵元があるのは福岡県朝倉市。創業は江戸時代後期という。以来、日本酒、焼酎、甘酒など日本の食文化の原点である「こうじ」を使った製品造りを続けてきた。その篠崎がミードと呼ばれる蜂蜜を原料とする醸造酒の開発に取り組んだ。

若者、女性向けの核となる商品を

篠崎のミード(蜂蜜酒)「tasty Bun・Bun」(テイスティ ブン・ブン)

篠崎のミード(蜂蜜酒)「tasty Bun・Bun」(テイスティ ブン・ブン)

 ミードは蜂の巣にたまった雨水から偶然にできた、人類最古の酒といわれる。製造しやすく栄養価が高いので欧米では古くから飲み継がれてきた。古代ゲルマン民族の間では新婚夫婦が子宝に恵まれるよう1カ月の間ミードを飲み続けたことから「ハネムーン」の語源にもなったと伝えられている。

 そんなミードだが、日本ではあまりなじみが無い。こうした中で篠崎は新製品として国産ミードの開発にチャレンジした。
 背景にあるのは新市場の開拓だ。同社は焼酎や日本酒、甘酒メーカーとして知られており、ラインアップの比率は焼酎が60%、日本酒が10%、そして甘酒が30%。酒類の対象はどうしても男性に偏りがち。篠崎博之社長は「空白だったリキュール類の分野で若者や女性向けに核になる商品を立ち上げたかった」と話す。


長期低温発酵法を活用

篠ア伝統の日本酒製造技術を活用

篠ア伝統の日本酒製造技術を活用

 朝倉の地は筑後川を水系とする水田や豊かな自然が多く残る。養蜂場も点在しており、ミードの原料となる蜂蜜も地域資源の一つだ。今回、必要な蜂蜜は大手養蜂業者の藤井養蜂場(福岡県朝倉市)から調達した。ミード醸造の工程には篠崎伝統の長期低温発酵法を用いた。長期低温発酵法とは醸造の過程で、もろみを低温の状態で長期間発酵させる方法。時間をかけて発酵させることで香りや味わいが柔らかく上品に仕上がる日本酒独特の製造技術だ。

 しかし、国産ミードの開発は必ずしもスムーズには進まなかった。「最初は数週間たってもなかなか発酵しなかった」と篠崎社長は当時をふり返る。何度も研究を重ね、発酵の専門家である上岡龍一崇城大教授のアドバイスを受けた。やがて酒造用酵母ではなく蜂の巣の周りにある酵母を培養することで安定して発酵することに成功したという。

 こうして篠崎の国産ミードができ上がった。ブランド名は「tasty Bun・Bun」と名付けた。透明のボトルに黄色いラベル。パッケージングにもこだわった。蜂蜜は百花蜜、ボダイジュ、リンゴの3種類。微妙に異なる色と味と香りが楽しめる。京都のミード専門店にも足を運んだ。現在、日本国内に流通しているミードの多くは輸入品だ。国産ミードは希少価値が高い。味覚的にはワインや果実酒が競合商品になると想定している。消費者の健康志向が強まっているだけに、栄養価が高く元気なイメージのある蜂蜜を原料としているミードは、若者や女性を中心に徐々に広まっていきそうだ。

【コメント】篠崎・篠崎博之社長
商品も販売も熟成が必要

篠崎・篠崎博之社長

篠崎・篠崎博之社長

 ミードは急にヒットをする商品ではないと思う。何かきっかけでもあれば別だが。結婚式場などでお祝い事のプレゼント商品として利用してもらうといった展開で国産ミードの認知度アップと売り込みを検討している。いずれにしてもミードは時間がかかる。ミード自体の熟成も必要。今回製造したミードでもまだ3年しかたっていない。味はまだまだだと思う。少なくとも5年から10年熟成すればもっと口当たりがまろやかになるはずだ。おいしいミードに仕上がることを楽しみにしている。

会社概要

会社名:株式会社篠崎
住所:福岡県朝倉市比良松185
業種:焼酎・清酒・甘酒・リキュール・その他酒類製造業
電話:0946-52-0005
URL:http://www.shinozaki-shochu.co.jp/