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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

広島県

食品事業が8割占める“鉄工所”

企業名 瀬戸鉄工 三類型 鉱工業品 地域資源名 自動車部品

食品加工の原点は鉄のプレス加工

瞬間高温・高圧焼成装置

瞬間高温・高圧焼成装置

 社名が持つイメージとは全く異なり、瀬戸鉄工は全く鉄を扱っていない。食品事業が約8割を占め、残りは樹脂成形事業だ。もちろん“祖業”は鉄の加工業だが、時間をかけて業態を変え、第二の創業を果たした。鉄と食品は一見、関係なさそうだが「鉄工所だからこそ優れた装置を開発できた。その結果、差別化できた」(瀬戸勝尋社長)という。2009年2月に地域資源活用支援事業に認定されて以来、商品アイテムも増え、順調に売り上げを伸ばしている。

 1970年に瀬戸社長の父親らが創業した当時は、グレーチング(溝ぶた)などの加工を手がける文字通りの鉄工所だった。創業から数年後に、食品メーカー向けの容器の供給を手がけた。同社からほど近い呉市広地区には珍味(おつまみ)を手がける食品メーカーが多数立地している。これらの企業に容器を納入したのだ。  さらに容器から一歩踏み込んだのは先代社長のひらめきだった。駄菓子屋やコンビニでよく見かけるイカの姿フライ。当時は職人が手焼きで作っていたが、機械化に取り組み数年がかりで開発に成功。生産性を飛躍的に向上させた。それが同社の基盤技術である「瞬間高温・高圧焼成装置」だ。

機械を売らず、受託加工に参入

主力商品の焼きえびと焼きいりこ

主力商品の焼きえびと焼きいりこ

 事業化に際してはまず食品機械の販売を考えたが、顧客は限られる。そこで受託加工に特化することにし、食品製造業の認可も得た。1980年代後半のことだ。今もイカの姿フライは同社の大黒柱。「一種のOEM(相手先ブランド生産)なので当社の名前は表に出ないが、トップシェアだろう」(同)。この事業が軌道に乗ったのを契機に鉄の事業から撤退。携帯電話用の樹脂成形部品を手がけるほかはすべて食品事業だ。

 開発商品の第1号であるイリコ加工品を生みだしたのも先代のアイデアだった。「子供にカルシウムを摂ってほしい」との思いで自社装置を使ってせんべい状に加工し無償で配っていた。それが口コミで人気を呼び、商品化することにした。このイリコ加工の過程では破片が発生する。「廃棄するのはもったいない」とダシにすることも思いついた。これも今では立派な主力商品だ。

ノウハウ蓄積で広がる食材

 同社のコア技術である瞬間高温・高圧焼成装置は、短時間で食材をプレスして焼成するもの。1秒以内の短時間でプレスし加熱するので、ビタミンなどの栄養が破壊されにくく、風味を保持したまま加工できる。水分含有量は5%以下になるので長期保存にも適している。
 理屈は簡単だがノウハウの固まりのような装置だ。装置は今も外販していないが「他社がうちの機械を使っても同じものはできないだろう」と絶対の自信を持つ。食材によって加工手法が異なり最適条件を見いだすためには試行錯誤が必要。前処理も不可欠だ。連日、さまざまな食材の加工テストを行った。「データの蓄積はどこにも負けない」と胸を張る。

 当初は海産物がメーンだったが、野菜や果実、玄米など対象は広がった。商品群は100近くまで膨らみ、中にはバラの花びらを加工したビネガーといった変わり種もある。
 もちろん自社ブランド製品だけでなく、半製品を供給し顧客が最終製品に仕上げる場合もある。地域資源活用資源事業を活用することで「北は北海道から南は石垣島まで全国から試作依頼が来る」ほど知名度が向上した。フランス向けなど製品輸出の実績もあり、事業は売上げ、利益とも順調に拡大している。

【コメント】瀬戸鉄工・瀬戸勝尋社長
鉄工所だからできた

瀬戸鉄工・瀬戸勝尋社長

瀬戸鉄工・瀬戸勝尋社長

 この事業を立ち上げた当初は「鉄工所による食品事業」という目新しさばかりが注目されたが、今ではちゃんと技術を評価してもらえる。もちろん鉄工所だからできたという側面は無視できない。
 いずれにしても良い流れになってきた。これまで廃棄していた食材や未利用資源を活用できるので顧客には喜ばれる。それが当社の達成感にもつながっている。これからはもっと地域固有の食材に注目して、地域とウイン・ウインの関係を築きたい。食品事業が大半を占めるようになったが、プラスチック成形事業をやめる気はない。今があるのも成形事業のおかげだから。

会社概要

会社名:有限会社瀬戸鉄工
住所:広島県呉市川尻町上畑1068-4
業種:食品製造、樹脂成形
電話:0823-87-3592
URL:http://www.yakiiriko.com/