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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

山形県

特殊紡績糸の開発で世界ブランドに参入

企業名 佐藤繊維 三類型 鉱工業品又は鉱工業の生産に係る技術 地域資源名 ニット

オバマ夫人の着用で一躍有名に

束ねた綿(わた)を伸ばしながら糸にする工程

束ねた綿(わた)を伸ばしながら糸にする工程

 アメリカ大統領就任式でミシェル・オバマ夫人が着用していたカーディガン。このニットの糸を製造したのが佐藤繊維だ。個性豊かで品質の高いニット素材で、世界のアパレル業界から注目を集め、シャネルやニナ・リッチを始め有名ブランドにもニット素材を提供している。

 同社が世界から注目されるのは、独自のアイディアと技術で作り出した、「自分たちにしか作れない糸」にある。機械を改良し、新しい試みによって特殊な糸を次々に開発。現在、同社が生産している糸の種類は約1500種類。和紙の芯に綿(わた)を巻き付けた糸や、何色ものグラデーションに彩られた糸など、個性的な製品が揃う。和紙を芯にした糸は、軽さやハリといった和紙の特質と、綿のやわらかな風合いが相まって、型くずれの少ないしなやかなニットに編みあがる。

 また、モヘア糸はこれまで1グラムの綿から27メートルの長さを作るのが限界だったが、均等に糸を引っ張る技術を駆使して、52メートルの極細糸の製造に成功。繊細なモヘア糸は、高級メーカーのコレクションにさっそく採用された。

イタリアの職人から受けた衝撃

さまざまな色やテクスチャーの織り混ざったオリジナルのニット

さまざまな色やテクスチャーの織り混ざったオリジナルのニット

 1990年代、アジア諸国の安価な工賃によって窮地に追い込まれた繊維産業。この状況を何とか打開しようと、同社の佐藤正樹社長はイタリアを訪れ、テキスタイルの展示会と紡績工場を見学した。そこで、イタリアの糸づくりの現場を目の当たりにし、ものづくりに対する姿勢や誇りに圧倒されたという。

 紡績会社は発注元の指示通りに生産するものと認識していたが、イタリアの紡績会社はまったく違っていた。ものづくりへの誇りが高く、自らの仕事に情熱を注いでいた。こうした姿勢に触発され、「自分たちにしかできない糸づくり」の挑戦が始まった。新しい糸の開発は失敗の連続だったが、試行錯誤を繰り返し、その過程で多くの新しい糸が生まれた。

 2007年、かつて訪れたイタリアの展示会「ピッティフィラーティ展」に初出展。製品に自信はあったものの、バイヤーの目に留まるかは不安だった。「一軒でいいから、ヨーロッパのラグジュアリーブランドと契約したい」と期待したが、ブランドのバイヤーが次々とブースを訪れ、佐藤繊維の名前は世界のアパレル業界に広がった。最初にイタリアを訪れてから、約10年が経過していた。

 同社は、「自社の高品質で特殊な糸の良さを生かしきれていない」と、ニット製品の自社ブランドを立ち上げた。販路開拓や売上げに苦労するが、2001年に出展したニューヨークの展示会で評判を呼び、逆輸入のかたちで日本でも支持を集めるようになった。都内のセレクトショップやテレビの通販番組でファンを獲得し、2009年秋には都内百貨店に2店舗をオープン。
 今後も自分たちにしか作れない糸やニット製品を生産し、地方から世界にニットを送り出したいとしている。

【コメント】佐藤繊維・佐藤正樹社長
地方から世界に向けて

佐藤繊維・佐藤正樹社長

佐藤繊維・佐藤正樹社長

 ファッション業界は東京でないと通用しないと思われがちだが、地方の可能性は極めて大きいと考える。小ロットで高品質な製品づくりに特化することで、大量生産を行う大企業と差別化することができるし、日本の高い技術は、世界市場の中でも十分通用すると思う。
 ただ、技術やアイディアが優れていても、的確なPRや販売方法をとらなければ、高品質の製品も埋もれてしまう。そうならないよう、見せ方、売り方の研究は必要だろう。世界に向けて地場産業の底力をアピールし、地方発の元気企業が各国で活躍できればと思う。

会社概要

会社名:佐藤繊維株式会社
住所:山形県寒河江市元町1-19-1
業種:梳毛紡績糸、特殊紡績糸製造、販売
電話:0237-86-3134
URL:http://www.satoseni.com/