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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

長野県

食洗機対応の漆器開発

企業名 龍門堂 三類型 鉱工業品 地域資源名 木曽漆器

200種の試作品で実験

食洗機対応の漆器の飯わん

食洗機対応の漆器の飯わん

 木曽漆器は長野県木曽地域で約400年の歴史を持つ伝統工芸品。龍門堂(長野県塩尻市、手塚千吉郎社長、0264-34-3211)は、伝統ある漆器作りとともに、食器洗い機(食洗機)の使用に耐えられる漆器の開発に取り組んでいる。

 木曽地域の漆器作りは木曽ひのきなどの豊富な木材資源と、漆の下地塗りに必要な鉄分を多く含んだ「錆土(さびつち)」があることで栄えた。しかし、漆器の出荷額は年々落ち込み、職人の高齢化や後継者不足と相まって地域産業としての活性化策が急務となっている。

 食卓で使う飯わんは陶器が主流だが、「漆塗りの弁当箱で食べたごはんがおいしい」と聞いた手塚社長は「食洗機を使う老人介護施設や病院で、繰り返し使用できる機能的な漆器ができないか」と考え、2009年に食洗機対応の漆器の飯わん開発をスタートした。

 漆器は材料の木地に下地塗り、中塗り、上塗りと漆を重ねて塗った後、研いで磨き、仕上げる。漆塗りが製品保護の役割と、落ち着いた美しい模様と色合いを出す。食洗機対応の漆器は木地への影響を抑えるため、特殊な塗料を材料に塗った後、漆を重ね塗りする。食洗機では洗浄時に内部が60度Cになるが、長野県工業技術総合センターとの実験では100度Cの水につけた後、100度Cの温風で乾燥させ、その作業を約100回繰り返した。

 ひび割れなどを防ぐには木地への含水を低く抑えることがカギで、材料と塗料、漆の種類の組み合わせを変えて約200種類の試作品で実験を行った。また、漆塗りだけの飯わんに比べ、塗料を塗った食洗機対応の飯わんは見た目につやがありすぎる。「機能を備えながら、漆の風合いを残す加減に苦労した」(同)という。

ごはんが一番おいしく感じられる

漆塗り作業の様子

漆塗り作業の様子

 信州大学繊維学部とは感応試験を行った。漆器、陶器、プラスチック製、木くずを固めて成形した木質製など5種類の飯わんを使い、ごはんが一番おいしく感じるものを挙げる試験だ。学生を対象に実験を行ったところ、漆器が一番おいしく感じられるとの結果が出た。ひとつの実験だが、漆器は見た目の印象から、ごはんがおいしく感じられることを裏付けた。

 課題はコストダウンだ。特殊な塗料を使用して漆を重ねているため、ひとつの飯わんの小売価格は8000円になる。塗料や漆を工夫して、いったんは半額の4000円を目指し、ある程度の出荷量が見込めるようになれば、将来的に1000円台にしていきたい考えだ。

 開発のスタートから3年が経過、これからは病院などを対象に、実用化試験を行っていき、10月をめどに販売を開始する予定。販売にあたっては、サンプルを送ることや、ネットでの販売を考えている。今後は、食洗機だけでなく電子レンジ対応の漆器開発も視野に入れている。

【コメント】龍門堂・手塚千吉郎社長 
幅広い取り組みで伝統工芸を次世代に

龍門堂・手塚千吉郎社長

龍門堂・手塚千吉郎社長

 伝統工芸が減退しているひとつの原因は世間にモノがあふれていること。時代が移り変わり、生活様式も変わり、漆器がマッチする畳の部屋がなくなってきた。新しい漆器を発売しても個人に売ることはなかなか難しい時代だ。とはいえ、海外では漆器を使うという習慣がない。いかに国内の需要を掘り起こしていくかが課題となる。当社はホテルや旅館に漆器製品を実用品として販売・卸している。昔の古い習慣ばかりにこだわっていては生き残っていけない。機能的に優れた漆器の開発など、幅広い取り組みをすることで、伝統工芸を次世代に引き継いでいきたい。

会社概要

団体名:株式会社龍門堂
住所:長野県塩尻市大字贄川2400
業種:高級漆器・業務用漆器・高級家具・別注家具の製造及び販売
電話:0264-34-3211
URL:http://www.ryumondo.co.jp/