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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

秋田県

伝統技術を駆使した高齢者にも優しい曲げわっぱ

企業名 大館工芸社 三類型 鉱工業品 地域資源名 曲げわっぱ

高齢者に優しい弁当箱

株式会社大館工芸社・三ツ倉和雄社長

株式会社大館工芸社・三ツ倉和雄社長

 木肌の美しい曲げわっぱ。手に取ると驚くほど軽い。なめらかな表面が手に馴染み、使うほどに愛着がわいてくる。弾力性があり、薄さ3mmほどだが強度も強く、落としても割れないのが特長だ。秋田県大館市の曲げわっぱの歴史は古く、平安時代の遺跡から曲げわっぱの一部が発見された。郷土の工芸品として広く親しまれ、数々の賞も受賞している。
 曲げわっぱの製造・販売を行う大館工芸社は、近年、新たな層の顧客開拓や、新規のデザインに取り組んでいる。

 大館曲げわっぱは、樹齢200年になる秋田杉の天然木を使って作られる。100年以下のものや植林によるものでは、木に粘りがなく、曲げたときに折れてしまう。創業50年の大館工芸社は、貴重な天然の秋田杉を使って曲げわっぱを製造してきた。弁当箱、重箱、おひつ、盆など長く愛されてきた伝統的なものから、近年では、デザインに凝った花器やオブジェなどにも製品を展開している。

つかみやすい二段重ね弁当箱「波」(上)。持ちやすい弁当箱「雲」(下)。高齢者にやさしい形を実現した

つかみやすい二段重ね弁当箱「波」(上)。持ちやすい弁当箱「雲」(下)。高齢者にやさしい形を実現した

 今回、同社が取り組んだのは、高齢者向けの弁当箱。もともと曲げわっぱは軽い、手触りがよい、丈夫で長持ち、熱伝導が少ないため熱いものを入れても器が熱くならないといった特長がある。秋田名物のきりたんぽを食べるときも、曲げわっぱが使われることがよくある。

 こうした機能に加え、新しく開発した弁当箱は、外径が波打った形になっており、従来の小判型の弁当箱よりも、つかみやすくなっている。ほかにも、底板をひと周り大きくし、持ちやすい弁当箱も開発した。つかめたり、持ち上げやすくすることで、手の自由がきかなくなった人も使いやすい。

 この弁当箱が完成したのは、同社が開発した技術によるもの。これまで直径8cm以下の曲げ加工は難しかったが、新しい技術の開発によって、直径4cmまで曲げることが可能になった。この技術によって、複雑な形や手に収まる小さなものを作ることができるようになった。

 こうした技術開発と同時にデザイン面にも力を入れている。これまでの顧客に加え、若年者や男性に購買層を広げようと、洗練されたデザインや新規のアイテムに挑戦している。現在、インテリアショップで扱っているオリジナル商品は、価格帯が高めであるにも関わらず、こだわりを持った購買層を中心に順調に売上げを伸ばしている。高級旅館やレストランからのオーダーも多く、従来品と一線を画した新しい製品に取り組んでいる。

伝統工芸の継承

曲げ加工を施しているところ

曲げ加工を施しているところ

 こうした取り組みを行う同社が注力しているのが、若い職人の育成だ。10代の新入社員を積極的に採用し、技術の継承に力を入れている。

 また、地元の曲げわっぱ製造会社10社ほどが集まって、「大館曲げわっぱ協同組合」を設立。塗りや修繕など得意分野や規模はそれぞれ異なるが、曲げわっぱの広報活動を協力して行っている。なかでも地元の小学校で行う「弁当箱づくり体験」は好評だ。地元の子供たちに伝統工芸を知ってもらう機会として毎年開催している。

 同社は曲げわっぱの伝統や技術を守りながら、新規のデザインや製品を展開し、新しい分野への挑戦を続けていきたいとしている。

【コメント】三ツ倉和雄社長
新規購買層へもアプローチ

 曲げわっぱのファンに新しい動きが感じられる。以前は、伝統工芸を好む年齢の高い購買層が対象であり、販路もデパートなどが中心だった。このところ目立って増加しているのが、若年層の顧客。東京を中心にインテリアショップなどの専門店で製品の売上げが伸びている。若い層に曲げわっぱがじわじわと知られるようになったと、強い手応えを感じている。
 アイテムとしては、盆や徳利などにとくに人気があり、日用品であるサラダボールや椀物、鉢物などにもこれから挑戦していく。

会社概要

会社名:株式会社大館工芸社
住所:秋田県大館市釈迦内字家後29-15
業種:曲げわっぱの製造・販売
電話:0186-48-7700
URL:http://www.magewappa.co.jp/