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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

神奈川県

かわさきガラス活用のお墓づくり

企業名 冲セキ 三類型 鉱工業品 地域資源名 ガラス工芸品

きっかけは“偶然”

ガラスの墓石の試作品

ガラスの墓石の試作品

 神奈川県内の墓石の卸売業で一番の売り上げを誇るのが冲セキだ。同社は1991年に緑間浩市社長が創業し、中国から御影石や大理石などを輸入して土木・建設業界に卸す事業を展開した。しかし、バブル崩壊や公共事業の減少も相まって土木・建設業界は低迷し、同社も大きな影響を受けた。難局を打開しようと景気に左右されにくい石材ビジネスを模索し、墓石に活路を見いだす。そして03年から社業を墓石の卸売りに一本化させた結果、後発組にもかかわらず、短期間で頂上まで一気に駆け上った。

 ただ、緑間社長はこの現状に満足していない。「今後はお客さんのニーズ、条件をくみ取った墓石の開発を行うことができる会社が生き残るだろう」と考え、答えの一つとして、3年ほど前からガラスを用いた墓石の研究・開発を始めた。ヒントは欧州で出会った墓石だ。「ステンドグラスを使った墓石はデザインの観点から美しい。すぐに研究しよう思った」(緑間社長)と言う。

 しかし、同社にはガラスについての専門的な知識など全くなく、早くも壁に当たってしまう。そんな折、地元川崎市内に多くのガラス工芸家が工房を置いていることを知った。川崎市は07年度に「川崎市ガラス工芸振興事業検討懇親会」を立ち上げるなど、市を挙げてガラス工芸の振興に取り組んでいたのだ。緑間社長は「出会いは本当に偶然。川崎市がガラス工芸に力を入れていること自体知らなかった」と打ち明ける。

 早速、市の経済労働局に相談したところ、ガラス工房との連携を提案され、「かわさきガラス」のブランド化を視野に入れた活性化事業がスタートした。

12年6月に第1号製品を発表

自社開発した「silhouette(シルエット)」。「影をつくる墓石」がコンセプト。

自社開発した「silhouette(シルエット)」。「影をつくる墓石」がコンセプト。

 同社は11年1月に東京ガラス工芸研究所(川崎市川崎区、松尾敬子所長)、葛籠屋工房(同多摩区、加藤真理代表)などガラス工房5社、川崎市、川崎市産業振興財団と「メモリアルガラス研究会」を設立。2カ月に一度、研究会を開催し、情報収集やガラスのデザインなどについて協議を重ねてきた。ガラス工房は1社ごとに得意分野が異なることが幸いした。「デザイン出しや加工などの仕事が特定の工房に偏ることがなかったので、皆が積極的に参加できた」(緑間社長)と、連携に自信を深める。同研究会の取り組みは、12年2月に経済産業省の地域産業資源活用事業計画の認定を受けた。国のお墨付きを得て、いよいよ製品化に拍車がかかる。

 新製品の顧客標準は首都圏に住む50-70歳代。緑間社長は「その世代は『家の墓』ではなく、『個人の墓』を選ぶ傾向が徐々に出てきている」と分析、勝機ありと考えている。6月に第1弾製品の試作品を発表。今後、展示会への出展を積極的に行っていく方針だ。5年後には年間120基、6000万円の売り上げを見込んでいる。緑間社長は「認知度で言えば、広く一般で使用される和型三段墓には遠く及ばないが、一度見てもらえれば『こんなにきれいな墓石があるんだ』と良い印象を持ってくれるはず」と将来に期待を込める。

【コメント】冲セキ・緑間浩市社長

冲セキ・緑間浩市社長

冲セキ・緑間浩市社長

 ここ数年、価値観の多様化が顕著になり、墓石のデザインも個性的なものが増えている。顧客の選択肢の一つとして、ガラスを用いた墓石を売り出すこととなった。今回、各ガラス工房は墓石のガラス作りは未体験だった。それゆえ、「ガラスが風雨に耐えられるのか」といった問題を解決しなくてはならなかった。技術として「これが正解」というものはなく、今後も継続して研究を行っていく必要がある。せっかくの連携なので「『メードイン川崎』の製品だ」ということも全面に出していきたい。

会社概要

会社名:株式会社冲セキ
住所:神奈川県川崎市川崎区砂子1-10-2
業種:墓石の卸売業
電話:044-221-1114
URL:http://www.okiseki.com/