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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

宮崎県

「100%宮崎」へのこだわりが、隠れた才能に光を当てる

企業名 大山食品 三類型 農林水産物 地域資源名 焼酎
大山食品・大山憲一郎代表取締役

大山食品・大山憲一郎代表取締役

時代の変化で焼酎の「陰」となった粕(かす)

 宮崎県の中央部に位置する東諸県郡綾町は、冬でも濃い緑が印象的な農山村。サカキやカシ、シイなどの照葉樹林に覆われた豊かな環境が、名水百選にも選ばれた清涼な水を育む。

 創業者の孫にあたる現社長・大山憲一郎氏が焼酎の蔵元・川越酒造場と米焼酎の粕を使った商品の開発をスタートしたのは1999年。きっかけは蔵元からの相談だった。「焼酎は生産量の約1.5倍の焼酎粕(かす) が出るのです。川越さんの所だけでも米で80トン、芋ならもっと。業者に処理をお願いするとトンあたり1.5〜2万円もかかり、蔵元にとって事態は深刻です」栄養分の高い焼酎粕。以前は畜産飼料として争うように引き取られていたが、輸入の配合飼料に変わった頃から厄介者扱いに。「すぐ腐るので扱いが大変。配合飼料は比較的簡単に混合できて楽なんです」一方、大山氏は「昔から川越さんの焼酎をずっと飲み続けていて。蔵元も地元は川越さん一軒。なくなったら僕らの飲む焼酎がない」早速、米焼酎のもろみを県の食品開発センターに持ち込んで分析してみると、それまで酢の発酵助材として原料にしていた酒粕の2倍から3倍の数値の栄養を持つことが判明。「酒粕の代わりに利用できれば」と思い立った。

イレギュラーな使い道に、開発は進まず

しかしそこから商品化までは、スムーズではなかった。「焼酎を蒸留する時期は限られている。中小の醸造所はせいぜい年に2、3ヶ月」粕が入手できる期間が短く、試験がなかなか進まない。大手焼酎メーカーにも協力を求めたが、大手の場合は排出口までのパイプが長く、流れた瞬間にもう清浄なものは採取できない。「2000 年に県産業支援財団の紹介を受け、助成金やアドバイスによって特許を申請してやっと進み出しました」7年を経てようやく、必須アミノ酸9 種類が入ったドリンクとして販売されたのが[ アミノ黒酢]。試験販売では「スポーツをやる人、不規則な仕事の人、アルコールが好きな人などにすごく好評でした」。焼酎のもろみの味をあえて残すことにこだわり、甘みはシンプルなハチミツのみ。焼酎を割ってもおいしいという。今後は県産の野菜やフルーツを使ったバージョンも検討中だ。

米焼酎の粕を使った[アミノ黒酢]に続き、'08年2月には芋焼酎の粕を利用した酢を発表(写真は試作品)

米焼酎の粕を使った[アミノ黒酢]に続き、'08年2月には芋焼酎の粕を利用した酢を発表(写真は試作品)

ブームの「陰」を「光」に変える発想力

 酢だけでも多彩なラインアップをそろえている同社だが、開発に焼酎粕(かす)を使ったさまざまな健康飲料・食品「100%宮崎」へのこだわりが、隠れた才能に光を当てる焼酎の蔵元からの相談をきっかけに、焼酎粕に隠れていた有用な栄養価を発見。地球規模の広い視点と信念が、地域でできることを着実に形にしていく原動力に。はある一つの共通した視点がある。例えば30 年前から看板商品である[梅玄米酢] は「最初、ある女性の方が自宅で作っていたのですが、作業が大変だというので、作り方を教えてもらって販売したのです」口コミで広まり、今は主力商材に。“手間がかかる”というデメリットを引き受け、そして極めることで大きなメリットへ転換した。「焼酎粕を使うめどが立ったので、今年か来年には酒粕を全て焼酎粕に切り替えます」焼酎ブームに沸く蔵元では、それだけ粕が増量。その「陰」の部分は同社によって「光」に変わろうとしている。

 アジア地域への輸出を含めて同社の販路開拓を支援する中小機構 九州地域支援事務局の田中プロジェクトマネージャー(PM)も、大山氏の試みを高く評価する一人。「農産品を新しい視点で開発するのはどうしても時間がかかるが、彼は当たり前のことをきちんとやり結果を出す人。多くの若い経営者からも人望を集めるリーダー格」と、今後ますますの活躍を予測している。

今後の販路は通信販売をメインに。「商品の特性上、こだわりや成分数値などの情報を見せて違いを伝える必要があります」(写真は会報誌)

今後の販路は通信販売をメインに。「商品の特性上、こだわりや成分数値などの情報を見せて違いを伝える必要があります」(写真は会報誌)

広く深く、地球規模で地域をとらえる慮

 大山氏は大の日本酒好き。個人事業として計画したどぶろく特区の制度を利用したレストランも開業間近だ。「最終的には酢の事業との融合も。今もお酢の絞りかすは堆肥として使っています」二十歳の頃、日本酒の醸造技術の難しさと素晴しさに触れ、いつか挑戦したいという思いを温めてきた。他にも竹炭、循環農法の米、塩作りと「当時は何がやりたいのかよくわからんと言われてきましたが、僕の中では最終的には一緒」大山氏の思いが向かうのは、日本の食料事情だ。「これだけ外国から食料を輸入する状況は、永遠には続かない。最低でも自給自足が必要」そのためにも、再利用が普通の時代になると考えている。「厄介者扱いのものも、視点を変えるとものすごく利用価値が高い。人もそう。扱いにくいとか困った人は、接してみるとすごい才能を持っていたりする」今後は焼酎粕も「バイオエネルギー、食料、最後は堆肥。燃焼消滅か微生物分解か、エネルギーを使って消滅させるというのは、もうないと思いますね」宮崎の農産物に対しても、広くまた深い視点でとらえている。「宮崎は日本の食料発信基地にならないと。大きく考えるときこそ、足もとのこの場所で何ができるかを考えたい」これからの日本を元気にするのは、こうした“ 地域を越えた視点” で地域をとらえることのできる人物かも しれない。

米麹を玄米麹に変え、伝統のカメ仕込みで醸造される看板商品「黒玄米酢」

米麹を玄米麹に変え、伝統のカメ仕込みで醸造される看板商品「黒玄米酢」

【コメント】大山食品株式会社・大山憲一郎代表取締役
視点を変えれば、新たな価値が見えてくる

 お酢ブームは今、高止まりの状態。新規参入も増えています。当社は今後、販路を直販へシフトしていくにあたって、大学などと連携して根拠のある数値を出し、文章を商品と一緒に送るなど、商品の差別化を最大限に伝える売り方をしていきます。

 今は麹の技術を加えて焼酎粕を再発酵させ、プラスαの機能性ができないか模索中。宮崎大学の研究室との連携で、現在は分岐鎖アミノ酸の値が非常によいという結果が出たところです。焼酎粕の有効利用を通して、物事は見方によって価値が全く変わるということをものすごく感じました。今から10年後には、もう焼酎粕を捨てるということは考えられない時代になると思います。

会社概要

会社名:大山食品株式会社
住所:宮崎県東諸県郡綾町大字北俣4538
業種:焼酎・玄米酢醸造
電話:0985-75-2274
URL:http://www.ohyamafoods.co.jp/