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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

鹿児島県

「つくるものを最後まで」の精神でハイレベルな品質を実現

企業名 日本有機 三類型 農林水産物 地域資源名 さつまいも
日本有機・野口愛子社長

日本有機・野口愛子社長

有機肥料から鴨鍋セットまで、すべて自社開発

 宮崎県と鹿児島県の県境にある日本有機株式会社は、有機肥料の製造販売を目的に1977( 昭和52) 年に設立された会社。社屋の周りからは、音楽と鴨の合唱が聞こえてくる。「クラシック音楽を聞かせて育てているのです」と、代表取締役の野口 愛子氏。

 鹿児島大学からの技術移転を受け、同社が薩摩鴨の飼育を手がけるようになったのは12年前。合鴨はアヒルとカモの交雑種だが、薩摩鴨は中国在来種を品種改良したもので、合鴨より働き者なのだという。同社で孵化した雛は全国の水田へ貸し出され、2ヶ月ほどで戻ってくる。「首が長いので、置いておくと稲穂を食べちゃうんです。戻ったあとはクラシック音楽を聴いてのんびり育ち、3ヶ月したらおいしい鴨鍋セットになります」と、野口氏。

 野口氏は東京出身。友人の勧めで同社の株主になり、経理や営業を手伝ううち社長に。有機肥料の可能性は強く信じていたが、まさか鴨を育てることになろうとは。しかも薩摩鴨は水鳥で羽が食い込んでおり通常のと殺場ではさばけないため、必然的に自社で設備をつくり、鴨鍋への加工を行なうことに。「技術移転を受けたのも、合鴨農家に有機肥料を使ってもらうため」とはいえ今は、肉質にこだわった鴨を、京都の職人の指導をあおいだ本格的な味に調理して出荷。栄養豊富でおいしいと評判だ。

最後まで責任を持つ姿勢が、おいしい冷麺に結実

 つくるなら最後まで、鴨を食べるなら骨までと、次は鴨ガラを利用したラーメンを開発。「コンクールに出品した後、連絡があって“ いま開発している澱粉麺と、透明感のある鴨のスープは合いそうだ。商品化してくれませんか”と」以前は鹿児島では、澱粉といえばさつまいも。昨今は輸入品のじゃがいも澱粉に完全に押されており「さつまいも澱粉の火を消しちゃいけないと、県が開発していたのです」。盛岡冷麺がじゃがいも澱粉であることから、県ではさつまいもでも澱粉麺ができるはずだと予測。農産加工研究指導センターで開発がスタート。素材としては困難を極め「一度は諦めました。こんな事してたって商業ベースにはのらないって。ですが、その前に県から賞をいただいていまして」。賞を獲得したのは冷蔵品だが、常温品でないと量販は難しい。紆余曲折の末、ついに[さつまいも冷麺]が完成。知識ゼロから始め、やり遂げてしまったのだ。

産学官の力を借りて、薩摩の農文化を世界へ

 「新製品の開発には、情報や技術を取り入れなければ。大学は知恵の塊ですね」大学とは、有用微生物の有機資材への応用や、トルコギキョウを有機資材で栽培する技術、有機玄米などの材料を使った商品[くろず納豆]の機能性調査などで共同研究を行なっている。先進技術にも積極的な同社の経営理念は“薩摩の農文化を世界へ”。有機肥料の輸出はいち早く1979年からスタートしており、台湾の農業のレベルアップに貢献していると言われる。

 鴨を茶畑に放つ無農薬栽培を実験中の[曽於茶]は、経済産業省の『連携体構築支援事業』に鹿児島県初として採択された。タイプが違う商品ばかりで販路開拓も難しいかと思いきや、例えばくろず納豆の場合「お客様に、鹿児島県人会の方をご紹介頂いて」通信販売の顧客をそこから開拓。DMには別商品のチラシを同封するなど、品質や裏付けの確かさを常にPRした結果、他の商品購入にもつながっているという。

素直に「おいしい」と納得する味が、有機の入り口

水田の雑草取りの役目を終えた鴨は、広々とした飼育場でクラシックを聴きながら余生を過ごす

水田の雑草取りの役目を終えた鴨は、広々とした飼育場でクラシックを聴きながら余生を過ごす

 今回の地域資源認定を担当した中小機構九州地域支援事務局の坪根ジェネラルマネージャー(GM) は、同社の姿勢に特別な気概を感じている。「どこも引き受けないものを、一中小企業がリスクを背負ってチャレンジしているのがすごい。同社が有機をすすめる理由は、作物の品質向上。農家の喜び、地域の喜びに向かって進む姿勢は常に一貫している」様々な場面で苦労されたはずの野口氏だが、その語り口からは、広がる業務をとことん楽しんでいるようだ。

 冷麺はぷりぷりした食感が大好評。空港や百貨店のほか、県内のレストラン、東京の有名ホテルなどでも食べられる。「鹿児島のレストランで食べておいしかったからって、東京から引き合いが来るほど。さつまいもは低GI 食品で血糖化指数が低いので、糖尿病予防なんかにもなりますね」改良版として加わったラーメン風、スープやきそば、やきそば(ビーフン風) は大きく注目を集めており、展示会では試食待ちの人が切れない人気。これからも同社は、薩摩で育まれた農文化を「食のおいしさ、安心の嬉しさ」という素直な切り口から、全国へ伝えていくのだろう。

【コメント】野口愛子社長
産学官連携を軸に、安心できる本物の商品づくりを

'08年2月の展示会で「さつまいも麗麺」を発表。冷麺に加え温麺・焼麺などのラインナップがそろった

'08年2月の展示会で「さつまいも麗麺」を発表。冷麺に加え温麺・焼麺などのラインナップがそろった

 当社のものづくりには3つの柱があります。1つは、トレーサビリティ100%を実行し、心のこもった本物の製品づくりを行なうこと。2つめは、異業種交流やその他の勉強会に出席して“産”の人脈、“官”の情報・技術、“学”の知恵を活用し、地域資源の有効利用と顧客の視点に立った商品開発を行なうこと。3つめには、自社業務の内容やニーズを常に情報発信し、同時に官や学からの新事業、新製品等の提案をしっかり受けること。それがビジネスチャンスにつながっています。当社は事業も商品も、ほぼすべて産学官連携から生まれたもの。今後とも更なる地域資源の有効利用、そして顧客の視点に立った商品開発を目指していきたいと思います。

会社概要

会社名:日本有機株式会社
住所:鹿児島県曽於市末吉町諏訪方4122
電話:0986-76-10917
URL:http://www.nihonyuki.jp/