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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

愛知県

清酒の醸造技術を活用し甘酒を製造

企業名 中埜酒造 三類型 鉱工業品 地域資源名 愛知の清酒

米麹技術の応用で攻勢

2008年に発売した「酒蔵のあまざけ」。季節限定の新製品投入にも積極的だ

2008年に発売した「酒蔵のあまざけ」。季節限定の新製品投入にも積極的だ

 愛知県半田市で造り酒屋を営む中埜酒造の創業は1844年と古い。良質な米どころに近く、醸造に適した気候に恵まれた半田市では、江戸時代に尾張藩の奨励もあり、酒造りが盛んになった。目の前に海が広がる半田市で造られた酒は、当時廻船で江戸に運ばれ、人気を博していた。

 だが、近年は食の欧米化が進み、日本人が日本酒をあまり飲まなくなったという。その結果、日本酒市場はピーク時の3分の1程度まで落ち込んだ。「こうした状況を指をくわえて見ているわけにはいかない」(中埜昌美社長)と感じた同社は、160年以上をかけて培ってきた米麹技術を応用し、攻勢をかけることにした。それが2008年に本格発売した「酒蔵のあまざけ」だ。

 甘酒には、酒粕に砂糖で甘さを加える製法もあるが、同社は米麹と米だけを原料にし、添加物を加えない昔ながらの製法にこだわる。「素材の良さを引き出し、上品でこくのある甘さ」(同)が自慢だ。手間暇かけて作った甘酒だが、一つ問題があった。

 甘酒を通常の清涼飲料水に採用している方法で殺菌すると、成分中のアミノ酸と糖分が反応し、液が茶色く変色してしまう点だ。そこで新たに、従来よりも高温短時間で殺菌できる設備を導入した。短時間で殺菌するとアミノ酸と糖分の反応が進まず、変色しないという。さらに高温処理することで品質低下を招く恐れのある菌を殺菌し、通常3カ月が限度だった甘酒の未開封時の保存期間を、最長9カ月まで延長することに成功した。

一年を通して甘酒を

 この甘酒で同社が狙うのは新たな販路開拓。長期保存ができることは、小売業者にとっても扱いやすい商品になったということ。この長所を活かしてスーパーや量販店といった既存の流通経路に加え、新たに飲食店や半田市の観光施設などにも販路を拡大していく考えだ。

 現在、甘酒は冬場に多く飲まれ、体を温めるものというイメージが強い。しかし、ビタミンやアミノ酸を豊富に含んだ甘酒は、古くから夏バテ防止の栄養ドリンクとしても飲まれてきた。「いま一度、こうした飲み方を復活させ、甘酒を通年で楽しんでほしい」(同)と意気込む。

 そのための商品開発も怠らない。09年には、すっきりとした甘さの夏季限定の冷やして飲む商品を市場投入したほか、秋冬向けに焼きいも味の商品も発売した。どちらも評判は上々という。さらに甘酒に牛乳やココアを加えるといったメニュー提案もしている。「今後は甘酒の効果についての啓発活動を行っていくほか、ゴルフ場などさまざまなシーンでの飲用を促すための容器開発にも取り組みたい」(同)と語る。新製品の投入やユニークなメニュー提案で、お年寄りや子供など新たな顧客層を取り込みたい考えだ。

 多様化が進むアルコール飲料業界の中でも「特に若い人は甘い酒を好む傾向にある」と同社は分析する。甘酒は、そうした時代の変化に対応する狙いもある。「米麹原料の甘酒は大手の参入が難しい商品。甘酒を次世代の事業の柱として育て、同業他社と戦いたい」(同)と抱負を語る。創業200年を目指し、同社の挑戦は続く。

中埜酒造・中埜昌美社長

中埜酒造・中埜昌美社長

【コメント】中埜酒造・中埜昌美社長
新分野への挑戦と伝統技術の融合

 市場環境が大きく様変わりする中、時代に合った需要創造はメーカーの役割だという思いから開発に着手した。「酒蔵のあまざけ」には、当社が160年あまりに渡って引き継いできた発酵技術が生きている。新しい分野への挑戦と、伝統の技術との融合を是非一度味わってほしい。
 アルコール飲料業界を取り巻く市場環境は大変厳しい。しかし、多くの柱があれば大木も支えられるもの。今後も柱となる新たな事業開発に積極的に挑戦し、会社を長く大きく発展させていきたい。

会社概要

会社名:中埜酒造株式会社
住所:愛知県半田市東本町2-24
業種:醸造業
電話:0569-23-1231
URL:http://www.nakanoshuzou.jp/