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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

滋賀県

黒鉛技術で二次電池の導電性向上に寄与

企業名 日本黒鉛工業 三類型 鉱工業品 地域資源名 炭素・黒鉛製品
黒鉛の原料

黒鉛の原料

水溶性塗料で差別化

 日本黒鉛工業が認定を受けた「黒鉛導電性塗料を塗布したプライマーコート品」は、リン酸鉄リチウムイオン二次電池の正極材用に水溶性の黒鉛導電性塗料を塗布したアルミニウム製フィルムだ。塗料はマイクロメートル(マイクロは100万分の1)クラスの黒鉛微粒子を含み、均一に分散している。均一な微粒子の黒鉛によって電気が通りやすくなるため、同電池の機能や品質は高まる。国内外の主要な電池メーカーへ2009年にサンプル出荷を始めた。

 杉本久典取締役瀬田工場長は「当社は創業以来、黒鉛の専業メーカーとして高度な技術を蓄積してきた。自動車用をはじめ需要が拡大しているリチウムイオン二次電池にも固有の技術を生かし、成長につなげたい」と抱負を語る。同社はモーター部品のブラシ(刷子)やブレーキのパッド用をはじめ、通電や潤滑などの機能に優れた黒鉛をさまざまな工業製品の素材として供給している。モーターのブラシ用では国内シェアが50%超。電池にも強く、特に一次電池用の電極用塗料や導電助剤では、ほぼ100%のシェアを握る。

プライマーコート品

プライマーコート品

 1919年(大8)に神戸市生田区で設立した。当初から黒鉛の原料は輸入していたが、黒鉛を製品に加工するには、精錬の工程で大量の工業用水が必要になる。そこで、用水に恵まれた琵琶湖に面する大津市へ移転した。滋賀県では信楽焼や膳所焼といった窯業の伝統工芸技術も盛んだ。このように黒鉛の製造やモノづくりに恵まれた滋賀を拠点に、「初めは鉛筆用の黒鉛を主に手がけていた」(杉本工場長)。

 日本の製造業の成長とともに、同社も工場を増築して黒鉛製品の製造を拡大してきた。岩石のような黒鉛を粗く砕いた原料を主に中国やスリランカから輸入している。用途に応じ、注文によっては0.1マイクロメートルの微粉を加工できる設備と技術を有する。加えて、こうした粉末を均一に分散し塗料にする技術、さらに粉末をコーティングする技術などが独自の強みだ。

 しかし、国内市場の成熟化や円高、製造業のグローバル化などで、曲がり角を迎えている。例えば一次電池では国内メーカーが減ったほか、電池材の安い黒鉛では中国など海外製の採用が増えている。杉本工場長も「中国製とのコスト競争は厳しさを増している」と危機感を示す。黒鉛の市場をグローバルにみると、一次電池用をはじめ新興国を中心にさらに成長する見通しだが、低価格を強みとする海外メーカーの勢力拡大は必至だ。

健康被害や火災リスク回避

プライマーコート品のフィルム加工設備

プライマーコート品のフィルム加工設備

 そこで同社が目指すのは、プライマーコート品といった高付加価値な黒鉛での勝負だ。品質が求められる電極用の塗料や核材に混ぜる導電助剤では、黒鉛の純度に優れた日本製への信頼がまだ高いという。さらに、黒鉛導電性塗料は独自技術による水溶性のため低コストなほか、有機溶剤に比べ環境や作業者の健康への負担も少ない。リチウムが有機溶剤で火災を引き起こすおそれも回避できる。「水溶性塗料ができるのは当社だけで、リチウムイオン二次電池メーカーに強くアピールできる」(同)。

 プライマーコート品の受注を目指し、10年には最大幅550ミリメートル×最長3000メートルのフィルム加工ができる準量産用の設備を導入した。投資額は1億円。これにより、電池メーカーごとに異なる細かなニーズに対応したプライマーコート品のサンプルを、まとまった量で迅速に供給できる体制が整った。プライマーコート品は正極用のほか負極用や、蓄電装置であるキャパシタの電極用にも引き合いがあるという。杉本工場長は「認定をチャンスとして、本格的な受注に結びつけたい」と期待をふくらませている。

会社概要

会社名:日本黒鉛工業株式会社
住所:滋賀県大津市唐橋町9の22
業種:黒鉛粉末、黒鉛塗料、電子部品
電話:077-537-2098
URL:http://www.n-kokuen.com/