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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

福岡県

博多織の技術で、肌にやさしい絹のタオル

企業名 森博多織 三類型 鉱工業品 地域資源名 博多織

 絹織物の「博多織」は福岡県の伝統工芸品。着物の帯など和装具で知られる。洋装が一般化した現代ではネクタイなど洋服に合わせるアイテムも製品化しており、財布や名刺入れなどの小物もある。しかし、和装の衰退に伴って業界全般の受注環境は厳しい。対策の一つとして、多くの博多織メーカーが新たな製品開発に知恵を絞る。
 そうしたメーカーの一つである森博多織は、タオル生地に用いるパイル織りで絹を織ったタオルを開発した。2009年に地域資源活用支援事業の認定を受けた取り組みだ。製品は「博多つや肌」のブランド名でシリーズ化した洗顔用ミトン、タオル、ミニタオルの3種類。博多織メーカーがタオルを製品化するケースは珍しいという。

ターゲットは洗顔

「博多つや肌」の製品3種

「博多つや肌」の製品3種

 タオルを製品化したのは、絹の特性に着目したためだ。天然素材である絹が肌にやさしいことは広く知られている。また、博多織には「ふんどしや長じゅばんといった肌に直接触れる製品もあった」(森純一社長)という歴史から、肌に触れる製品の品質には自信を持っていた。
 用途としては女性の洗顔時の利用をターゲットにした。細い絹糸が、皮膚表面の余分な皮脂や角質、汚れなどの細かな異物まで落とす能力を持つと見込んだからだ。また、絹が美容に関する良いイメージを持つことも製品化の決断を後押しした。

 森博多織は、博多織業界では通常使わない糸など、さまざまな糸を使える技術の高さが特徴。その技術は新製品を織る工程で発揮した。元来、木綿糸などでタオルを作るパイル織用の織機は絹糸に適した仕様ではない。普通の絹糸を使うと糸が絡まってしまい、機械が止まりやすい。この問題は糸に特殊加工を施すことで解決した。
 また、機能性を高めるため、絹表面のセリシンと呼ばれる保湿成分を残したまま織物を製品化した。たんぱく質の一種で保護膜の役割をするセリシンは、絹糸にして加工する場合は落とすことが多いという。

支援事業で機能試験

博多つや肌の織機

博多つや肌の織機

 完成したタオルは「献上ボディタオル」「献上ミニタオル」と名付けた。「献上」は博多織が江戸幕府に献上されていたことにちなむ。現在でも「博多献上」や「献上柄」などの言葉があり、博多織にとって献上は“特別品”を表す言葉だ。
 加えて、タオルの端には博多織の伝統的な柄をあしらっている。「博多織を知ってもらい、少しでも消費につなげたい」(同)との思いを込めた。

 地域資源活用支援事業での補助金は特に機能試験に活用した。福岡県工業技術センター化学繊維研究所(福岡県筑紫野市)に、弾力性や保温性のほか、水分の吸湿性や放出性などの試験を依頼した。森社長は「通常なら中小企業では調べられなかった」と事業の有効性を振り返る。
 現在、「博多つや肌」を常時販売しているのは本社と福岡市内にある博多織の取扱店、福岡空港の土産物店など。購入するのは女性が中心で30歳代以上が多いという。本社では工場見学を受け入れており、生産工程をみせて製品をPRしている。

【コメント】森博多織・森純一社長
絹の良さを知ってもらいたい

森博多織・森純一社長

森博多織・森純一社長

 絹が持つ特徴は多い。そのうち保温性など単独では絹と同じ機能を持つ他の素材はあるが、多機能では絹にかなわないだろう。博多織を知らない人には、製品を使ってもらうことで、絹の良さ、博多織の良さに興味を持つきっかけになってほしい。
 一方で、製品によっては長所が欠点になってしまう場合もある。絹の細さや柔らかさと関係する“けば立ち”やすさは、爪が引っかかる可能性があるとも言える。しかし、対策としてガーゼで覆って解決できる。絹は製品化でも多くの可能性を秘める。

会社概要

会社名:森博多織株式会社
住所:福岡県糟屋郡宇美町桜原3-4-7
業種:織物製造
電話:092-932-0577
URL:http://www.hakataori.co.jp/