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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

広島県

熊野筆の自社ブランド確立と直販強化

企業名 瑞穂 三類型 鉱工業品 地域資源名 熊野筆

 広島市、呉市、東広島市の3市に囲まれた広島県熊野町は全国有数の筆づくりの産地として180年近くの歴史がある。江戸時代末期、農閑期に他地域から仕入れた筆などを売り始めたのがきっかけで職人が育っていた。もとより熊野町は筆の原料である動物の毛や軸などの産地ではなく、技術や技能だけで発展してきたともいえる。今では画筆、化粧筆などの全国シェアは80%以上にも達する。

 100社以上も筆の事業者がひしめく熊野町にあって、瑞穂は化粧筆を中心に穂首処理から加工、組み立て、検品に至る一貫体制を敷く数少ない企業だ。「コマ」と呼ばれる木型の製造も内製化している。最大のこだわりは毛先の処理で、逆毛などを丹念に取り除いて肌触りの良い状態に仕上げる。安価な汎用(はんよう)品は毛先をカットしておりメイクの仕上がりは一歩劣る。ただ「逆毛を取り除く工程はすべて手作業。熟練するまで10年かかる」(丸山長宏専務)という。

自社ブランド比率上がる

筆づくりの作業行程

筆づくりの作業行程

 職人仕事にこだわる一方、同社は公的な支援制度を活用してブランドを確立してきた。04年に熊野筆事業者の一員として「JAPANブランド事業」に参画したのがきっかけになった。その過程で地元商工会を通じて地域資源活用支援事業を知りさっそく応募。07年に認定された。狙いは「直販の強化と自社ブランドの確立」(同)。事業はアニバーサリー市場向けの化粧筆、環境配慮型のブラシ、歯科技工やネイルアーティスト向けのブラシ、それに国内外への販路拡大に大別される。
 それぞれが成果を上げており、事業認定前はOEMが85%を占めていたが、現在では70%まで比率が下がり、自社ブランド商品の比率が拡大。年間売り上げも06年6月期は3億円に満たなかったが12年6月期は3億5000万円まで伸長した。

世界に供給

歯科技工士用の筆のプロトタイプ

歯科技工士用の筆のプロトタイプ

 4事業の中で新規事業にあたる「歯科技工やネイルアーティスト向けブラシ」の開発も成果が具体化した。歯科技工士は義歯を作る工程でもっとも重要な「築盛」という作業で特殊な筆を使う。高級な画筆を使う技工士が多いが「どうもしっくりこない」と、同社に要望が寄せられた。歯科技工士は全国に3万人ほどいるとされ、市場があると判断した。

 開発に際しては県西部工業技術センターの協力を得た。「軸の形状など何度も試作品を作ることはできない」からだ。同センターの光造型機を活用し、瑞穂がデザインした二次元図面から三次元画像を作成。その画像から実物大の模型を製作した。手触りなど微妙な感触を実物で体感することにより最適な形状を決定できた。大小2タイプを製品化し10月から販売開始。直販と問屋経由の2ルートで世界を対象に供給する。「ニッチな市場だが当社の技術を発揮できる分野」と需要をにらみながら供給体制を整える。

 同事業によって目立った成果が表れているのが海外への販路拡大。海外の展示会出展など知名度の浸透につとめ、今期は大口の顧客を獲得した。これまで海外比率は5%程度だったが、今期は10%を超えそうだ。公的な制度を最大限生かすことで、自社にとどまらず産地のブランドイメージ向上にも貢献している。

【コメント】瑞穂・尺田泰史社長
大企業ともつながり

瑞穂・尺田泰史社長

瑞穂・尺田泰史社長

 地域資源活用事業のおかげで大きな展示会にも出展でき、自社単独では関係がつくれない大企業ともつながりができた。自社で持っていた数々のアイデアも実現できた。やはり5年間じっくり腰を据えて取り組めたのが大きい。すでに事業は終了したが世の中に認知してもらえたことが最大の成果だと思っている。開発の過程で工業技術センターなどとのつながりもできた。昔よりは減ったとはいえ、熊野町は何らかの形で筆にかかわっている人が多い。今以上に元気な産地にしていきたい。

会社概要

会社名:有限会社瑞穂
住所:広島県熊野町萩原2-7-35
業種:化粧筆、画筆などブラシ製造・販売
電話:082-854-0432
URL:http://mizuho-brush.com/