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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

大阪府

高密度・高機能性ステンレスフィルターの開発で用途拡大

企業名 マツバラ金網 三類型 鉱工業品 地域資源名 金網

金網の高付加価値化に活路

磁石を吸着する磁性ステンレスフィルター

磁石を吸着する磁性ステンレスフィルター

 マツバラ金網は全国でも有数の金網の産地、大阪府松原市に拠点を置く。もともと木綿業が盛んな地域だったが、明治時代に入ると外国綿の流入で需要が減少。そこで多くの業者が木綿の手織り技術を生かし、金網製造に転換した。現在は編み目が細かいハイメッシュのステンレス製金網が主力で、約50社が同市で操業を続けている。

 ただ、近年は金網でも輸入品との価格競争が激しい。国内の生産高は1996年をピークに右肩下がりの状況で、08年には4万8658トンと96年比で半減。同社の11年12月期売上高もリーマン・ショック前に比べ約2億円減少している。そこで同社は高付加価値製品の開発が急務と判断。10年から地域資源活用事業の支援を受けて研究開発に乗り出した。

 開発中の製品は二つ。一つは塩化物を含む高温高圧環境向けのステンレスフィルター。従来品に比べ塩化物への耐食性に優れ、強度が1.5倍の新素材を採用している。塩分を含む食品や医薬品の製造工程向けを想定。現状では平均1年に1回交換が必要だが、新製品では基本的に交換が不要になるという。新規用途として海水淡水化などの水処理装置、医療機器への採用も目指す。

 もう一つは磁性を有するステンレスフィルター。各種製品の製造工程で万が一金網の破片が混入しても磁石で選別できる。工業用フィルターの素材として一般的なオーステナイト系ステンレスではなく、フェライト系ステンレスを採用。フェライト系の弱点だった耐食性を克服した新素材が開発されたことで製品化に着手した。

14年度に2億円超の販売目指す

製網条件の最適化へ向け試行錯誤が続く(本社工場)

製網条件の最適化へ向け試行錯誤が続く(本社工場)

 開発の進ちょくは「耐塩素性フィルターが7割、磁性フィルターが9割」(東田龍一郎社長)。カギを握るのは素材の細線化と製網条件の最適化だ。素材の細線化の目標は耐塩素性が60マイクロメートル、磁性が30マイクロメートルに対し、それぞれ100マイクロメートル、80マイクロメートルに達している。細線化は伸線関連メーカーの協力を得て推進し、同社は新素材に適した製網条件の探索に力を入れている。開発は12年度中に終える予定。

 また、同社では発売を予定する13年度に向け、営業力の強化と生産性の向上も進めている。専門家の派遣を受け、営業にマーケティングの手法を取り入れ、製造では無形の生産技術のマニュアル化などに取り組んだ。その結果、「研修を通じて社員が自発的に動くようになった」(東田社長)という副次的効果を生んでいる。

 14年度の販売目標は耐塩素性フィルターが1億3000万円、磁性フィルターは1億円を掲げる。課題は新規用途、顧客への拡販。そのため既にサンプルの提供による新規顧客の開拓を始めている。12年度から水処理関連など新規開拓分野の展示会にも積極的に出展していく。

マツバラ金網・東田龍一郎社長

マツバラ金網・東田龍一郎社長

【コメント】マツバラ金網・東田龍一郎社長
新技術で地場産業の活性化に貢献

 新製品の普及には地域の金網関連企業全体の活性化が欠かせないと考えている。そのため地域資源活用事業で開発した技術はほかのメーカーにも公開するつもりだ。というのも松原市や近隣市域には金網メーカーが集積しているものの、得意分野によってすみ分けが進んでいる。当社は主に選別(ふるい分け)・分離(濾過)に用いられる工業用ステンレスフィルターを製造している。中でも厳しい品質管理が求められる食品・医薬品メーカー向けが多い。地域で一致団結し、関西の金網業界を盛り上げたい。今後も安価な輸入品との価格競争に巻き込まれずに済むよう、新製品の開発に力を入れていく。そうすることで社員に自信を付け、会社や仕事を好きになってもらいたい。

会社概要

会社名:マツバラ金網株式会社
住所:大阪府松原市岡6の1の25
電話:072-333-1121
URL:http://www.wire-mesh.co.jp/