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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

愛知県

独自の電鋳技術で優れた強度と軽量化を実現

企業名 江南特殊産業 三類型 鉱工業品 地域資源名 愛知の金型

精密を極める新しい電気鋳造技術

畳やコイン、縫い目をリアルに再現するポーラス電鋳

畳やコイン、縫い目をリアルに再現するポーラス電鋳

 愛知県江南市の金型製造会社、江南特殊産業。自動車のインストメンタルパネル(インパネ)やドアパネル、バンパーなどの金型を製造し、その精密さを追求した高い技術は、国内外の多くの自動車メーカーが認めている。これまで、トヨタ、ホンダ、日産、GM、フォード、クライスラーなど数多くのメーカーに製品を提供してきた。

 同社が多くのメーカーから支持される理由は、独自に開発した電鋳技術にある。1982年には「ポーラス電鋳」、1992年には「金網電鋳」と「パンチング電鋳」、1995年にはポーラス電鋳をさらに進化させた「スーパーポーラス電鋳」、2007年には「MPM工法」と、これまでにいくつもの電鋳技術を生み出してきた。

 とくに画期的な技術で、各自動車メーカーから注目を集めたのが、ポーラス電鋳だ。0.1〜0.2ミリの小さな穴がいくつもあいた金型を使った、従来の方法とまったく異なる工法だ。熱して柔らかくしたシート状の樹脂を、穴のあいた金型の上に乗せ、穴から空気を抜いて真空にすることで、シートを金型に引き寄せ密着させて型を取る。

 従来の金型成形は、型を約200度に熱する必要があり、冷却にも大量の水を要するというエネルギーを消費する方法を採用していた。また、型と型の間に溶かした樹脂をまんべんなく流し込むのは難しく、強力な圧力によって金型が劣化するという欠点もあった。

 しかし、このポーラス電鋳は、金型を高温に熱する必要がなく、製造に必要なエネルギーはこれまでの約14分の1になった。金型を温めないので、時間もコストも抑えられる。熱による金型の歪みやひび割れも軽減されるので、金型自体の寿命も伸びた。

 さらにポーラス電鋳の精密さは、本物と見分けがつかないほどである。指の指紋まで忠実に複製し、皮革の表面や木目など、素材の質感もリアルに再現。自動車の内装部品などは、樹脂でありながら革張りと遜色ない。縫い目も、糸の縒(よ)りや毛羽立ちまで再現しているので、まるで本物の糸でかがってあるように見える。

 この技術は、金型製造中に起こった失敗がきっかけだった。電解液の配合を誤り、泡が原型の表面に付着した。泡の部分にはめっきが乗らず、金型にポツポツと穴があいてしまった。野田社長は、この穴をコントロールできれば新しい金型の開発につながると考えた。会社の経営は苦しかったが、既存の技術だけに頼るよりも新しい技術の開発に投資し、1年かけて口径を0.1ミリにした。同時に、位置をコントロールする技術も完成させた。

軽量で高強度を極めた工法で新規分野に拡大

熟練工の手作業でさらに精度を極める

熟練工の手作業でさらに精度を極める

 現在、同社が取り組んでいるのが、MPM(Metaled Piping Mold)という新しい工法。金型の裏に配管を取り付け、温度調整が容易にできる画期的な方法だ。配管に加圧水蒸気や水を通して、急激に加熱したり冷却したりすることができる。

 この温度調整によって、成形する樹脂の注入が容易になり、さらに複雑な形状にも対応することができるようになった。薄肉加工が可能なため、コストを抑えることもできる。炭素繊維を混ぜて成形できるので、軽量化、高強度も実現。配管を金型に強固に固定するために、金網で補強しているのが特長で、この仕様は日本、アメリカ、ドイツの3カ国で特許を取得した。

 現在、金型を提供している自動車メーカーのほかにも、軽量、高強度のメリットを生かして、航空機や鉄道車両部品、電気機器、住宅などあらゆる分野への展開にも積極的に取り組んでいる。
 「軽くて丈夫な樹脂製品は、電気自動車や航空機分野に最適だと考える。先日は、ヘリコプターの製造メーカーが海外から見学に訪れた」と、同社の野田泰義社長は新規分野への進出に意欲的だ。

 「失敗など予期せぬ結果から、新しい製品に結び付く手掛かりを見つけることも少なくない。今後も柔軟な思考を持ち続け、新しい技術開発を継続していく」(野田社長)。
 小さな金型メーカーの新しい技術に、世界から熱い視線が集まる。

江南特殊産業株式会社・野田泰義社長

江南特殊産業株式会社・野田泰義社長

【コメント】江南特殊産業株式会社・野田泰義社長
環境に優しい工法

 強くて軽い製品を加工できるMPM工法は、これまで開発した独自の技術をさらに進化させた画期的な工法だと考える。薄くてコストも抑えられ、複雑な形や大きいものにも対応可能だ。金型の温度調整が柔軟に行えるので、エネルギーを大幅に削減し環境に配慮した工法といえる。
 現在、各国のプラスチック関連の展示会でPRを行っているが、メーカーの反響は大きく手応えも十分だ。自動車だけでなく、各方面に展開を広げたい。

会社概要

会社名:江南特殊産業株式会社
住所:愛知県江南市安良町地蔵51
業種:電鋳加工
電話:0587-54-5131
URL:http://www.ktx.co.jp/index.html