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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

北海道

生活に根ざした視点で地域資源の「使い道」を新発見

企業名 環境ダイゼン 三類型 鉱工業品・技術 地域資源名 牛尿
環境ダイゼン・窪之内覚社長

環境ダイゼン・窪之内覚社長

牛の尿なのに臭いがない。ということは…

 北海道北見市はオホーツク圏最大の都市。薄荷(ハッカ)の名産地で、戦前は世界の7割を担っていたことも。一級河川・常呂川の流域には豊富な森林資源があり、玉ねぎなどの畑作も盛んだ。

 しかし実は常呂川では、雄大な流れの恩恵を仇で返すように、長年の汚染が深刻化していた。原因のひとつが畜産排水。汚染は20年ほど前から続いており、1997年には畜産排水が原因と見られる有害な菌が検出されて大問題に。これを受けて1999 年には法律が施行。流入を規制すると共に『家畜排せつ物利用促進計画』が発表され、堆肥舍、液肥化施設、尿溜めなどの整備が促進された。道立農業・畜産試験場を中心に糞尿処理技術への取り組みが行われ、畜舎の近くで糞尿を液肥・堆肥にするシステムの導入も徐々に広まっていった。


常呂川の流路は120kmあまり。流域では特に農業用水としての利用が多く、河口部ではホタテの養殖が盛ん。サケ・マスも遡上する。

常呂川の流路は120kmあまり。流域では特に農業用水としての利用が多く、河口部ではホタテの養殖が盛ん。サケ・マスも遡上する。

 株式会社環境ダイゼンの社長、窪之内 覚氏は、その頃ホームセンターの店長だった。あるとき知り合いの畜産農家が、前述の処理システムで牛尿を無害化した「バイオ活性液」を液体肥料として売って欲しいと言ってきた。その液を見て、窪之内氏は「もとは牛の尿なのに、全く臭いがないのに驚きました」。

多くの人で実際に試し、高い効果を確信

 臭いがないことを“ 不思議”と思ったのが、窪之内氏のビジネスの始まりだった。「ひょっとしたら消臭剤として使えるのでは」ホームセンターでは様々な消臭剤を扱っているが、ヒット商品はなく“ 効果がない!”とクレームを受けることもしばしば。大手ホームセンターと差別化できる商品を置きたい、という会社事情もあって、社内に事業部を作り開発をスタート。さまざまな人に配って試してもらった所、絶賛の声が続々と集まった。

 生ゴミ、ペット小屋、浄化槽、汲取式トイレ。町なか近くに牛舎を持つ畜産農家にも喜ばれた。「お客様が、実にいろいろな使い方をしてくれました」花瓶に入れると花が長持ちする、という声もあった。尤も、もとは液肥用のもの。窪之内氏が自身の盆栽で試してみると追肥が要らず、土を良くする効果もわかった。


仕入れのルートが、そのまま販売ルートに

1999 年2 月に販売をスタート。消臭剤『きえーる』、土の連作障害の改善肥料『土いきかえる』に加え、厨房などに有効な浄化槽・配水管の消臭液がある。

1999 年2 月に販売をスタート。消臭剤『きえーる』、土の連作障害の改善肥料『土いきかえる』に加え、厨房などに有効な浄化槽・配水管の消臭液がある。

 発売するとホームセンターに出入りする問屋やメーカーからも注目され、競合店でも扱われることに。「思わぬルートで社外デビュー。私の立場は非常にラッキーでした」と窪之内氏。

 商品は順調に売れ行きを伸ばし、ホームセンターの売上に貢献していたが、残念なことに窪之内氏には定年の時が迫っていた。効果は口コミで広まってはいたが「自分が関わらなくなったら、よくわからない商品だと言われて消えてしまうだろう」。数限りない商品の衰退を見てきただけに、この商品を本物にしたいという気持ちがあり、ついに窪之内氏は会社を設立したのだ。

 今回の認定申請を支援した中小機構 北海道地域支援事務局の岡島プロジェクトマネージャー(PM) は、支援制度を活用して大学や試験場での研究を充実させることを提案。「素晴らしい素質を持っていると、用途も多方面に広がる。ただ“いろいろ便利”ではなく、用途別に強みを打ち出すことが商品としては大切」窪之内氏とは「今後の差別化のためにも時間をかけて実証しよう」と話し合っている。

介護、子育て、公共事業にも役立つ商品を

 帯広畜産大学による調査(バイオ活性水有害菌に対する抗菌試験)では、「乳酸菌や酵母菌などの有用微生物(バクテリア) のうち、あるものが共存すると、抗酸化酵素との相乗効果で有害菌を制圧する」まではわかっているが、効果の範囲や継続性は未解明。「確かなデータが得られたら、業務用の需要も開拓したい」と窪之内氏。現在はホームセンター時代の販路により日本各地に扱いが広まっているほか、大手中古車ディーラーが車に染み付いたタバコの臭いを消すための消臭剤として採用。業界内でも注目が集まっている。

 昔から接客好きで「困っていることを解決することに喜びを感じる」という窪之内氏。今後は介護や子育て、貯水池などの公共事業などにも役立つ商品を開発予定だ。「はじめはいつも“こうなったらいいなぁ”という思いつき。遊び感覚ですよ」根っからの助っ人・窪之内氏は、今後も牛尿の力を借りて、全国の悩みを解消していくつもりだ。

【コメント】環境ダイゼン・窪之内覚社長
「お困りごと」の解決が、大きなビジネスにつながる

 開発当初は「とにかく試してみよう」と、あらゆる知り合いに配りました。本当に皆さん、いろいろなものに使ってくれました。特に屋外の臭いには皆さん困っていたようです。幸いよい結果につながり、差別化のポイントも見えてきました。

 商品化にあたって安全性は確認しましたが、なぜここまで臭いが消えるのかはまだ未解明で、善玉菌と悪玉菌の仕事らしい、ということくらい。認定事業の支援制度を使って、裏付けとなる研究に力を入れたいと考えています。

 人が困っていることを解決すれば、それは大きなビジネスになる。今はそれを実感しています。

会社概要

会社名:環境ダイゼン
住所:北海道北見市端野3-438-7
業種:牛尿加工品の開発・販売
電話:0157-67-6788