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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

群馬県

特許を武器に脱下請け、独自のフリルでミセス層開拓

企業名 イヅハラ産業 三類型 鉱工業品 地域資源名 東毛地区の織物製品

新しいフリル

フリルごとに生地を代えた試作品

フリルごとに生地を代えた試作品

 ミセス層という新たな市場を開きたい―。イヅハラ産業(群馬県桐生市)の赤石使外雄(しげお)社長はそう話しながら、試作品を手に取る。試作品のスカートには襟や袖口などに付けるひだ状の飾り縁であるフリルが施されている。これは同社が開発した「フリル織」によるもので、生地製造の工程で2重に生地を織り、一部を切り取ることでフリルができる。

 従来の生地の製造後に縫製で加工するフリルは立体的な形状となるため、派手な印象を与え、若い女性が対象だった。新手法によるフリルは落ち着いた印象に仕上げられるうえ、フリルごとに生地を選べる。これにより高価格帯を受け入れられる年配の女性層、赤石社長のいうミセス層という新たな市場に、フリル製品を提案できるようになった。

 同手法の製造工程は機械化されているので、手作業が入る縫製と比べると品質も安定化する。フリル織は2010年5月に特許の早期審査を申請し、8月末に特許認定を受けた。そして同年末には、小売店に並ぶ婦人服の中に「フリティ」の名が記されたタグが吊るされた。フリティはフリル織の登録商標だ。

 吸汗に優れるスポーツウエアや保温性の高い機能性インナーなどには、大手繊維メーカーが開発した素材の登録商標が入記されたタグがぶら下がる。フリティの名が入ったタグは、これらと同様に素材自体が付加価値やブランド性を持つ。

「メイドイン桐生」のタグ付けが条件

社内の展示スペース

社内の展示スペース

 1933年創業のイヅハラ産業は主に婦人服用の生地・織物(テキスタイル)を製造してきた。長い間、生地の製造と縫製・加工は完全に分業しており、生地製造業といえば、織物を問屋に納めることまでが業務の範ちゅうだった。

 イヅハラ産業の転機は90年代末、スカートの形状をした織物を製造する技術の開発だった。徐々に最終製品を手がける方向に経営が向かっていった。既に自社ブランドのスカートを製造販売しており、地域資源活用支援事業の認定を受けられたのも、「自社製品の保有が有利に働いたのでは」と赤石社長は推測する。

 今回開発したフリル織はまだ生地の提供にとどまっているが、最終製品に吊るされるタグに同社の名が残る点が従来の“下請け”とは違う。
 「繊維産業は農業と比べて商慣行が遅れている」と赤石社長はつねづね感じている。スーパーに行けば、生産者の顔が載っている野菜を見ることがある。このように産地によるプレミアムは、繊維産業ではほとんど見られないというのだ。

 そんな中でイヅハラ産業はフリル織による生地を扱う取引先に対し、「IZUHARA」と「Made in KIRYU(桐生)」が記されたタグを商品に付けて販売することを契約条件とする。販売先にこのような姿勢を維持できるのも、フリル織が特許認定を受けているからだ。模倣されることによる価格下落やブランドイメージの毀損(きそん)も特許により防げる。

 「業界の考え方が変われば、日本、そして桐生市の繊維業界は生き残れるし、海外への輸出だって夢ではない」と赤石社長。その言葉には自社の生き残りだけでなく、かつて「東京のファッションは桐生から」と呼ばれた桐生市の繊維産業の復活を描いている。

【コメント】イヅハラ産業・赤石使外雄社長
カジュアル、フォーマル両展開

イヅハラ産業・赤石使外雄社長

イヅハラ産業・赤石使外雄社長

 2012年から当社の地域資源活用支援事業が本格化する。問屋と共同で試作品を開発し、テスト販売していく。もちろん開発には、桐生市周辺に集積する染色、縫製、デザイン会社などとの連携が欠かせない。
 商品のラインアップはシーズンごとに流行が変わるカジュアルと、流行の変化が小さいフォーマルの両面で展開する。価格は3万円以上の高級帯を念頭に置いている。  マフラーや、ソファなどのインテリアへの参入も検討している。新規参入の壁が立ちはだかるが、しがらみがないので問屋を介さずにメーカーとじかに交渉できるといったメリットもある。

会社概要

会社名:イヅハラ産業株式会社
住所:群馬県桐生市広沢町2-3033-2
電話:0277-52-8787
URL:http://izuharasangyo.com/