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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

奈良県

奈良の八重桜を活用した清酒

企業名 今西清兵衛商店 三類型 農林水産物、鉱工業品 地域資源名 奈良八重桜、日本酒

県花を活用するプロジェクト

奈良県の県花「奈良の八重桜」

奈良県の県花「奈良の八重桜」

 透き通った薄黄色の軟らかな液体。白ワインのような口当たりとフルーティーな後味が特徴の清酒「奈良の八重桜」。日本酒「春鹿」の蔵元である今西清兵衛商店と奈良女子大学との共同開発で、2009年にデビューした清酒だ。正倉紋様をモチーフとしたあでやかなパッケージは、まるで化粧品のよう。数量限定商品でお手ごろ価格という要素も加わり、これまで日本酒と縁遠かった20−40代の女性から支持を得ている。

 県花である「奈良の八重桜」を使ったお酒を造りたい−。09年に創立100周年を迎える奈良女子大の藤野千代特任準教授の発案で、06年にプロジェクトはスタートした。ちょうど、花から採取した「花酵母」の日本酒が各地で話題になっていたころ。話を持ち込まれた今西清兵衛商店の桜井大貴さんは、奈良の八重桜の花酵母での日本酒造りに"ダメもと"での挑戦を提案した。

清酒「奈良の八重桜」

清酒「奈良の八重桜」

 採取できる機会や採取量が少なく酵母探しは難航したが、08年に奈良県工業センターで分析した結果、一つの酵母を発見。日本酒造りにふさわしい酵母である確率は低いにもかかわらず、試験醸造で、一般的な酵母よりもコハク酸やリンゴ酸のうまみ成分が豊富な清酒が造れると判明した。新種の清酒酵母を入手し、さっそく09年1月に新酒の仕込みに入った。

 2月、もろみを清酒と酒かすに分ける初絞りの日には、奈良女子大の学長やテレビ局など多くの人が蔵に詰めかけた。普段なら杜氏(とうじ)が味を確かめてから振る舞うが、この日は来客者から先に振る舞った。初絞りまで味は分からない。桜井さんは「みんなが一斉に一口目を口にした瞬間、場の空気が止まった。一瞬ヒヤリとしたが、だれかの『おいしい』の一声が連鎖して広がっていった」。その光景を前に、杜氏と2人で達成感に酔いしれたという。パッケージデザインは奈良女子大が担当。商品名の意匠には、興福寺の多川俊映貫首が筆を執った。

平城遷都1300年祭に向けて

バーテンダー協会の協力で作った清酒「奈良の八重桜」カクテル

バーテンダー協会の協力で作った清酒「奈良の八重桜」カクテル

 5月1日、奈良女子大の創立記念日に発売した。同大の生協のほか、東京の奈良県アンテナショップ「奈良まほろば館」や正倉院展、興福寺の阿修羅展に合わせて博物館のおみやげ売り場にも並べた。白ワインに似た味わいから、フレンチやイタリアンのレストランからのオファーも多い。限られた販売チャンネルにもかかわらず、初回製造分の300ミリリットル入りで1万3000本分は、2カ月でほぼ売り切れた。

 2回目の仕込みには初回の4倍となる約5万本分を確保し12月に出荷した。クリスマス商戦や2010年に開かれる「平城遷都1300年祭」に向けて、新たに百貨店や従来の酒屋ルートにも展開する。開発から製品化までの理念を共有できる酒屋に売ってほしいと、説明会なども行う見込みだ。

 プロジェクトはまだ続く。日本酒としてのバリエーションを増やすため、奈良女子大では赤色のロゼ風清酒を、今西清兵衛商店では微発泡性の清酒を開発中だ。加えて、桜井さんは「『奈良の八重桜』の酒かすを使って、ひとひねりある製品を作りたい」と話す。ケーキやパンの食品をはじめとする関連商品開発の議論も始まった。「奈良の八重桜」は短命な桜の花とは違った、息の長い定番商品となりそうだ。

【コメント】今西清兵衛商店・桜井大貴さん
関連商品の開発を進めたい

今西清兵衛商店・桜井大貴さん

今西清兵衛商店・桜井大貴さん

 若者のアルコール離れが進む昨今、このプロジェクトのおかげで奈良女子大で日本酒ブームが起きた。参加した学生が出身地の地酒などにも関心を持つようになるなど、日本酒を見直す機会ができたのは非常にうれしい。業界の危機的状況で当初はわらにもすがる思いでチャレンジしたが、みんなで商品開発できてとても楽しかった。「奈良の八重桜」の販売はこれからだが、今回のプロジェクトを一つの成功例として、日本酒の消費拡大と関連商品の開発を進めていきたい。

会社概要

会社名:株式会社今西清兵衛商店
住所:奈良市福智院町24の1
電話:0742-23-2255
URL:http://www.harushika.com/