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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

島根県

古い電車が観光資源、体験運転の新しいプログラム

企業名 一畑電車 三類型 観光資源 地域資源名 一畑電車

「考えつくことは何でも…」

デハニ50形

デハニ50形

 映画「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」の舞台になったことでも知られる一畑電車は、山陰地域唯一の民営鉄道。松江市と、出雲大社、JR出雲駅を結ぶ典型的なローカル電車だ。他の地方民鉄と同様、過疎化や道路網の整備、個人消費の低迷などで苦戦を強いられている。そこで06年に一畑電気鉄道を持ち株会社に移行し、鉄道部門を分社化して再出発。自転車の車内持ち込み制度や電車アテンダントの乗務、社内での物産販売など、「考えつくことは何でもやってきた」(昌子修社長)。

 これらの新サービスに加え、11年7月から体験運転事業を開始した。使用する車両は、1928年(昭3)製造という国内最古級の「デハニ50形」というのがセールスポイントだ。「これほど古い車両がほぼ原形をとどめているのは珍しい」(同)という。しかも体験運転を事業として定期的に開催している例は少なく、商品としての競争力もある。一畑電車の本社がある雲州平田駅構内に150メートルの専用線を敷き、運転課の社員が交代で教官をつとめるという本格的な事業だ。

 開催日は毎週金、土、日曜日の3日間。講習を受けた上で約120メートルを2回運転する。参加者が利用しやすいように1日コース、2日間コースを設定し、2回目以上の参加者限定で講習を免除するマスターコースなど、各コースを設けた。また2泊3日で5回の運転を経験する快速プランなど工夫を凝らしたコース設定が特徴だ。系列の一畑トラベルサービスと共同で企画・運営し、これも系列のホテル一畑などとタイアップした宿泊プランも始めた。

イベントを起爆剤に

「あらゆる機会を捉えてアピールしていきたい」という昌子社長

「あらゆる機会を捉えてアピールしていきたい」という昌子社長

 ただ、関係者が地域資源として認識し始めたのは比較的最近のこと。「デハニ50形」が現役を引退したのは09年3月。「貴重な地域資源ではないか」との声が強まり、産学官の識者による活用検討協議会が組織された。同協議会の提言を受ける格好で、体験運転と車両の展示を実施することになった。それと「RAILWAYS」のロケ、映画の公開が重なり、一気に機運が盛り上がった。また展示についても出雲大社前駅構内の線路を延長し、常設の保存庫を建設する計画だ。

 体験運転事業は順調に推移しているが、課題もある。「鉄道マニアの方には非常に好評だが、家族の人たちなどを十分に巻き込めていない」ことだ。一畑電車の沿線、宍道湖北岸には出雲大社や松江城、一畑薬師などの豊富な観光資源がある。また、一畑口駅には全国的にも珍しい平地のスイッチバックもある。そこで、この2月に地域資源活用支援事業に認定されたのを機に、新たな観光プログラムを開発しようとしている。さらに、島根県では12年7月に「神話博しまね」が開催されるなどイベントがめじろ押し。「イベント効果を一過性のものに終わらせず、定着させる仕掛けを考えたい」と策を練っている。

【コメント】一畑電車・昌子修社長
観光客の呼び込みを

一畑電車・昌子修社長

一畑電車・昌子修社長

 一畑電車の輸送人員はかなり減ったとはいえ、年間140万人前後をキープしている。経営は厳しいが、何とか存続の道を探らねばならない。そのためには地域の交通インフラという観点だけではなく、観光資源の一つとして考えることが重要だ。そのためには通勤・通学の利用者を大事にしながら、観光客を巻き込む仕掛けがポイントになる。東日本からの観光客をもっと呼び込むことも必要だろう。幸い県や松江市、出雲市、商工会議所などの支援が手厚く、共同で知恵を絞りたい。今はインターネット中心のプロモーションだが、あらゆる機会をとらえてアピールしていきたい。

会社概要

会社名:一畑電車株式会社
住所:島根県出雲市平田町2226
業種:鉄道事業
電話:0853-62-3383
URL:http://www.ichibata.co.jp/railway/