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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

京都府

西陣織の最高級素材を世界へ

企業名 細尾 三類型 鉱工業品 地域資源名 西陣織
150cm幅の生地に対応した織機。既存の織機では織れない150cm幅の生地を織るため、新たに織機を開発した

150cm幅の生地に対応した織機。既存の織機では織れない150cm幅の生地を織るため、新たに織機を開発した

中国に製織会社つくり技術継承

 帯や着物などで知られる京都の代表的な伝統産業、西陣織は、工程ごとに分業し職人の技がそれぞれ受け継がれてきた。一方、生活様式の変化などで国内呉服市場の規模はピーク時の2兆円から2000億円に縮小。職人の後継者問題も深刻になった。そんな中、元禄時代に西陣地区で織物業から創業し、途中で卸売りに転換した細尾(京都市中京区)は、15年前に製造部門を創設。中国に単独出資で帯の製織会社を設立し、技術の継承に取り組んできた。

 2007年からは京都商工会議所の伝統産業支援事業で海外の見本市に出展。最初はまったく商談がなく、08年の出展時にほかのメーカー約300社を全部研究し、どの企業も手がけていない製品に取り組もうと決めた。ひとつは金箔や銀箔、漆を塗った和紙を裁断して糸と織り込むもの。独特の光沢や質感が出る。もうひとつは通常の30倍という強いよりをかけた糸にのり付けして織るもの。後で蒸気を当てると糸が縮んで凸凹になり、模様ができる。いずれも西陣織独自の技法だ。

一流ブランドに採用

 09年の米国ニューヨークでの展示会への出展が同社にとって大きな転機となる。ニューヨークの世界的な建築設計事務所から接触があったのだ。依頼は150センチメートル幅の生地。ある一流ブランドの店舗のインテリアに使うという。しかし、既存の機械では75センチメートル幅までしか織れず、職人と話し合いを重ねて織れる技術を確立。織機も開発した。

 織り込む箔がよれてしまうため、専用の糸巻き機を開発しボビンであらかじめ1回転よってまっすぐ引き出せるように工夫した。独自の画像処理ソフトウエアも開発。通常は紋紙に彩色するのに対し、顧客から届くデザイン画をもとに1700万色から4、5色まで色を減らす。従来1カ月を要していたデザインからサンプル提示までの期間を1週間に短縮。コストも10分の1に低減した。顧客からは「対応スピードが世界一早い」と評価と信頼を得た。少量生産にも対応し、次々と一流ブランドの旗艦店や高級ホテルの内装向けに注文が舞い込んでいる。

織物の「フェラーリ」をつくる

 12年からは上海で家具製造を手がけるファニチャーラボと組み、4月のミラノの見本市に共同出展するほか、6月には同社のブランドのショールームを細尾の工房内に開設する予定だ。服飾デザイナーも生地に着目し、世界的なファッションショーに出展。絶賛された。ファッション分野でも事業を強化するため工場を増設する計画で、12年中に織機の試作機を1台導入し今後6台まで増やす方針だ。

 「製造部門は潜在市場」(細尾社長)とさらなる展開に期待を寄せる同社。生地を手がけるファブリック事業で5年後の17年6月期に2億5000万円の売り上げを目指す計画が、3年で達成と見込む。細尾社長は「織物のフェラーリをつくる会社にしたい」とハイエンド向けに特化し世界で実績を積む考えだ。

【コメント】細尾・細尾真生社長
有形無形の資産を生かす

細尾・細尾真生社長

細尾・細尾真生社長

 他社との差別化が可能な独自の事業を構築するには、足元にある有形無形の資産を見つめ直し掘り下げて生かしていくことが重要。当社は最高級の西陣織の素材メーカーに徹する。

 自社の事業を社会の発展や幸福につなげていくことが使命であり、やるべきだと経営者が強く決心して取り組み続けていくことが責任だと考えている。15年前に業界が下降線をたどり、技術の継承が難しくなった。西陣織は工程ごとの分業でどの技術がなくなっても存続できない。当社ではすべての技術を自社に取り込もうと製造業を始めた。技術の継承や新規雇用の創出を目指している。

 当社が頑張り成功事例にして西陣地区の業者が追随することで、産地全体の復活につなげたい。

会社概要

会社名:株式会社細尾
住所:京都市中京区両替町三条上る
電話:075-221-0028
URL:http://www.hosoo.co.jp/