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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

高知

伝統和紙からハイテク最前線へ

企業名 廣瀬製紙 三類型 鉱工業品 地域資源名 不織布

ハイブリッドカーを支える

ナノファイバー複合不織布・平面(上)と断面(下) ナノファイバー複合不織布・平面(上)と断面(下)

ナノファイバー複合不織布・平面(上)と断面(下)

 土佐和紙は、1000年以上もの歴史を有し、国の伝統工芸品にも指定される高知県を代表する地場産業。廣瀬製紙の創業者で先代社長の廣瀬晋二氏は「土佐和紙にこだわっていると限界がある」と、1958年に同社を創業した。土佐和紙の製紙技術を生かしてビニロンやナイロンなど合成繊維を用いた湿式不織布を日本で初めて開発した。

 同社の不織布はアルカリ・マンガン電池のセパレーターとして世界中で使用されているが、近年ハイブリッド自動車などの普及によりリチウムイオン電池市場が拡大。こうした情勢を受けて、同社では2005年にリチウムイオン電池向けのセパレーターの開発を始めた。リチウムイオン電池のセパレーターは、繊維間の穴をナノ単位で極小にする必要があり、同社は合成湿式不織布を基材にして独自技術で溶液化した極細繊維(ナノファイバー)を吹き付ける方法の研究を進めた。

 サンプル製品を何度も作成し実証実験を重ねた結果、繊維間の穴を500ナノメートルまで小さくすることに成功。09年から量産機の開発に取り組んだ。従来はコンベヤー状に基材を動かし、その下部に大量に設置されたノズルからナノファイバー溶液を基材表面に噴射する手法だった。この方法ではノズルが大量に必要なため設備費用が掛かり、またノズルが詰まり均一に吹き付けることができなくなるなどコスト面・生産性に問題があった。同社は低価格で量産化を目指し、新しい製造手法の確立とそれを実現するための製造装置開発の研究に取り組んだ。

「泡」に活路

量産試作機

量産試作機

 同社が考えたのは「泡」を吹き付ける手法。このエレクトロバルブスピニング法は、ナノファイバー溶液を圧縮空気と高電圧によって連続的に泡状にして基材に吹き付ける。これにより従来法に比べてナノファイバー溶液あたりの吹きつけ面積が増えるため生産性が向上し、吹きつける厚みを均一化することができた。ノズルが不要なので設備コストの削減により低価格でナノファイバー不織布を提供できるとしている。さらに目詰まりの心配がないのでメンテナンスが容易にできるのも特徴だ。

 10年12月には国産自動車メーカーと電池自動車向けのリチウムイオン電池の開発を進めている産業技術総合研究所関西センターと本事業の共同開発に関する契約を締結。同センターはリチウムイオン電池の生産・評価設備を完備。岡田勝利社長は「レスポンスが非常に早い」と支援体制を評価する。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの補助金も受けて装置開発は最終段階。12年2月の実用化を目指しており、今後は展示会出展やマーケティング専門家と共同で行う市場調査などを通じて市場ニーズを把握し、さまざまな分野でナノファイバー不織布の活用法を提案していきたいとしている。

廣瀬製紙・岡田勝利社長

廣瀬製紙・岡田勝利社長

【コメント】廣瀬製紙・岡田勝利社長
用途は無限に広がる

 現在は、リチウムイオン電池用セパレーターなど各種市場に当社の不織布を基材として納入し、顧客側がそれに各種溶剤をコーティング加工して各種部材に使用している。本事業が実用化すれば当社で最終的な加工までが可能になる。またナノファイバー溶液の材料を変えることで使用用途は無限に広がると考えている。

 リチウムイオン電池の需要は今後ますます増えることが予想されるが、空気や水を濾過する高機能フィルターをはじめ、医療や化学分野の市場でもナノファイバー不織布の可能性を追求していきたい。

会社概要

会社名:廣瀬製紙株式会社
住所:高知県土佐市高岡町丙529
電話:088-852-2161
URL:http://www.hirose-paper-mfg.co.jp/