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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

沖縄県

沖縄県産紅イモを活用した焼酎作り

企業名 ヘリオス酒造 三類型 農林水産物 地域資源名 紅イモ

 那覇から高速道路で北へ1時間余、やんばるの玄関口・名護市許田に至る。許田インターを出て山側に細い道を走ると突然、大きな黒い酒蔵が目に飛び込んできた。ヘリオス酒造は、湿潤なやんばるの森の恵み、良質な水を贅沢に受けるこの地に本拠を構える。

その土地で穫れる作物でつくる

原料の紅イモ

原料の紅イモ

 創業者の松田正氏が「酒はその土地で穫れる作物でつくる」との信念から、沖縄のサトウキビを原料にラム酒の製造を始めたのが1961年。その後、50年足らずの間に同社は6つの製造免許を取得し、ラム、泡盛、リキュール、ウイスキー、ビール、発泡酒を手がける総合酒類メーカーに成長した。

 今回の紅イモ焼酎の開発はまさに創業の精神を受け継ぐものだ。沖縄産の紅イモは生での県外出荷が禁止されている。加工も菓子類に限定されており、紅イモを生かした新商品開発が望まれていた。「松田亮社長はかねがね紅イモ焼酎の構想を抱いていた」(照屋直ヘリオス事業協同組合事務局長)そうで、地域資源活用支援事業をきっかけにトップの「よし、やろう」の一声で焼酎づくりが始まった。

生産組合と二人三脚でイモ増産

 最初の問題は原料の紅イモの確保。紅イモの品質が高く焼酎に合っていること、年100t以上の生産が可能なところを調査し、沖縄本島南部の具志頭地区にたどり着く。具志頭地区からいろいろな種類の紅イモを同社の研究室に持ち込み、同地区のメーン品種が焼酎に向いていることを確認。

 原料が決まれば、6種類の酒をつくっているだけに焼酎づくりに大きな問題はなかった。これも沖縄に自生する黒麹(こうじ)で仕込み、商品開発に成功。「沖縄で初めての焼酎ということで、九州のイモ焼酎と本土で戦えるか心配はあった」(照屋氏)が、沖縄在住の本土の人たちに試飲してもらうと「クセがなく飲みやすい」と好評だった。本土の問屋からも「もっと出荷しろ」と催促された。

紅イモの受け入れ検査

紅イモの受け入れ検査

 2008年は紅イモ1t程度で試作の予定だったが、具志頭イモ生産組合に「どんどん回してくれと泣きついた」そうだ。具志頭地区はもともとサトウキビ農家が多かったが、組合長の安里美津男氏が紅イモに着目し、農家をまとめていた。安里氏は「イモを手がける農家は14〜15軒だったが、焼酎の話が出て30件程度に増え、作付面積も昨年から今年にかけ3倍に広がった」という。

 今期は50tを目標にしたが、旱魃(かんばつ)の影響で収量は40t程度の予定という。豊作なら100tも可能だそうだ。同社は「全国の市場に向けて突っ走るには原料の安定確保が課題」(照屋氏)と、生産組合と二人三脚で紅イモ増産に取り組んでいる。

ネーミングは傘下の代理店

 ヘリオス酒造は同社を中心にレストラン事業、設備製造・メンテナンス事業、広告代理店、運送会社、農業法人の6社でグループを構成。この6社でヘリオス事業協同組合を設け、各社間の連携などグループ全体の調整を図っている。紅イモ焼酎開発では原料生産農家との連携を組合が担当した。

 「紅一粋(べにいっすい)」の商品名はグループの広告代理店クリエイツ(那覇市)が中心になり、約200の候補を出して「全国的に通用する」ことを主眼に選定した。ラベルもクリエイツが作成したそうだ。

ヘリオス酒造は沖縄の泡盛メーカーとして最初に東京営業所を設けた。主力製品の泡盛古酒「くら」は全国で買えるほど。松田社長は1年の半分は東京に出向いてトップセールスをしており、消費者動向に対するアンテナも鋭い。「本土の流通ネットワークも把握、問屋などとの人間関係もできている」(照屋氏)。販売ルートに問題はないようだ。

コスト低減が課題

 今後は紅イモの安定的な確保を前提に、本格的な量産に入ることが課題だ。本土のイモ焼酎に比べ価格はまだ高めで、コスト低減が必要である。同社は紅イモ生産の機械化や天候に左右されない設備の整備、焼酎の量産設備などが揃えば、コスト低減も可能と考えている。イモ生産組合との一層の連携強化が「紅一粋」成功のカギと言えそうだ。

ヘリオス酒造株式会社・玉城英哉取締役製造本部長

ヘリオス酒造株式会社・玉城英哉取締役製造本部長

【コメント】玉城英哉取締役製造本部長
沖縄初のイモ焼酎として事業展開

 紅イモは沖縄の特産品であり、黒麹も沖縄に自生する。「紅一粋」はまさに地域資源活用商品として胸を張れるもの。イモ焼酎は原料由来の個性的な味が決め手になる。原料の量と品質をしっかりと確保していきたい。

 イモは土地に依存する作物。品種だけでなく土地によって違いが出る。具志頭地区は「島尻マージ」といわれるサンゴ由来のアルカリ性で、カルシウムをはじめとしてミネラル豊富な土壌で、イモの栽培に適している。産地に農業用水を整備することなどにより安定調達は可能だと思う。幸い、一生懸命に取り組んでいる農家のリーダーとして安里さんがいらっしゃるので安心している。

 本土での販売ルートは確保できているので、あとは焼酎の生産コストを下げていけば、沖縄初のイモ焼酎として十分に事業展開できると考えている。

会社概要

会社名:ヘリオス酒造株式会社
住所:沖縄県名護市字許田405
業種:種類および清涼飲料水の製造、販売
電話:0980-52-3372
URL:http://www.helios-syuzo.co.jp/index.html