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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

奈良県

葛根繊維を用いたタオル、ハンカチ、ショールの開発

企業名 阪奈産業 三類型 農林水産物、鉱工業品 地域資源名 葛(くず)、衣料縫製品

奈良らしさが残る商品を

葛根繊維を使った商品

葛根繊維を使った商品

 阪奈産業は、葛(くず)から、でんぷんを採取した後の葛根を加工・紡績した葛根繊維を活用しタオル、ハンカチ、ショールなどの生活雑貨、身の回り品を開発している。葛自体は吉野葛など食用だけでなく着物など昔から使われている。「葛根繊維にはまだ開発の余地がある」(松井克明社長)といい、奈良らしさが香る葛根を利用した商品開発に意欲的だ。

 でんぷんを取った後の、葛根の利用は、約10年前の奈良県繊維工業協同組合連合会による取り組みがきっかけ。活用されることが無かった葛根を再利用し、繊維として活用しようとする取り組みだった。新規の取り組みとして20社ほどが参加していたが、今では、葛根繊維を用い商品化している同社だけになった。

課題は販路拡大

でんぷんをとった後の葛根

でんぷんをとった後の葛根

 葛根を繊維製品に利用するには、まず、糸を作る必要がある。葛根は繊維が短く、ごわごわしており、糸を作るのが難しい。葛だけでは糸にするのは難しいため代表的な組み合わせとして綿50%、シルク30%、葛20%の糸を作製した。11年には、葛の割合を50%に高め、シルク20%、コットン30%の糸を作っている。葛根の糸は、天然繊維を扱う事で知られる、大正紡績(大阪府阪南市)の協力を得ている。「葛根繊維に関心を持ってくれ、熱心に取り組んでくれる」(同)という。

 現状ではタオル、ハンカチ、ストールなどを販売している。ハンカチ、タオルなどは、ギフト用などの需要がある。阪奈産業は服飾メーカーなので、葛根繊維の服への展開を考えたいところだが、まず、服にも使える糸の開発が必要という。
 今後の課題は、販売先の拡大。現状では、和食レストラン、和菓子店、陶器店などで販売している。「まだ量も少なく、全社売り上げの1割程度」(同)とはいうものの、販売先からはリピートの発注もあり一定の需要はある。

 葛根繊維製品のバリエーションとしては、綿やシルクなど他の素材との組み合わせ以外に、草木染がある。季節ごとに違う草木を使いバリエーションを出すことができる。草木染は同じ色を求められても再現性が難しい。ただ、草木染は、同じ色がないものと理解した上で購入してくれる顧客には問題ない。
 葛根繊維は開発当初から抗菌性が期待された。ただ、糸を作る段階で、抗菌性がある場合と無い場合があり、安定した効果が得られていない。一方、葛の葉で糸を染色すると、抗菌性が飛躍的に高まる結果は得られている。
 綿にもさまざまなランクがあり一概には言えないが、葛根の糸は、綿の数倍は価格が高くなるが。製品の販売が増えて量産できるようになれば価格も下げられる。葛根自体は、葛のメーカーから供給を受けているが、まだ葛の供給量は増やせる。

正倉院や法隆寺にも

 葛は、日本人にとってなじみ深い。葛の蔓(つる)を使った糸は、綿などと組み合わせて羽織など着物に使われてきた。正倉院や法隆寺の宝物にも葛の蔓で編み上げた篭が伝わっている。衣料に長く関わってきた松井社長ですら「10年前に事業に取り組むまで、知らなかった」と苦笑する。和菓子の葛きりなどはもちろんだが、風邪薬としての葛根湯もある。展示会では「葛根湯の葛根といえば反応があり、後の葛根繊維の説明も聞いてくれる」(松井社長)という。縁が遠くなった葛だが葛根繊維によって再び、日本でなじみ深い存在になるかもしれない。

【コメント】阪奈産業・松井克明社長
一つひとつクリア

阪奈産業・松井克明社長

阪奈産業・松井克明社長

 約10年前に組合の事業として開発に取り組んだ頃は、エコという言葉も無かった。当初参加していた企業は葛根繊維を使っても、思っていた商品のアピールには、つながらなかったり、不況もあったりで撤退していった。葛根繊維には開発、工夫の余地が多くあり、途中で止めたくはない。一つひとつクリアしていけば完成されたものになる。ある程度は売れているし、気にいってくれている人もいる。タオルやハンカチだけでなく、衣料、介護などの医療分野などに展開できればと考えている。

会社概要

会社名:阪奈産業株式会社
住所:奈良県生駒市辻町381-1
電話:0743-74-8465
URL:http://www.hannah.co.jp/