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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

長崎県

『祈りの島』の特徴を活かした五島八十八ヶ所霊場巡り

企業名 五島観光タクシー 三類型 観光資源 地域資源名 五島八十八ヶ所霊場
五島観光タクシー・辻 千穂子社長

五島観光タクシー・辻 千穂子社長

「霊場が観光資源になるとは・・・」

 九州最西端に位置し、福江、久賀、奈留、若松、中通の5つの大きな島を中心に、約140の島々からなる五島は、西海国立公園に指定され、豊かな自然に恵まれた風光明媚な景観に加えて、寺社や教会が数多く点在する「祈りの島」という側面がある。観光客はかつて年間100万人を超えたが、減少傾向にあるうえ、海水浴客が訪れる夏場に集中する季節的偏重が激しいため、年間を通じて安定した観光客の誘致につながる観光事業の開発が急務とされた。そこで五島観光タクシーが3年前に取り組み始めたのが「八十八ヶ所巡拝ツアー」だ。

 「お遍路さん」と言えば、四国霊場八十八ヶ所巡りが最も有名。しかし、五島も弘法大師・空海が遣唐使として立ち寄った最終寄港地であるとともに、唐から帰国した際、最初に上陸して真言密教を布教したことから、大師ゆかりの霊場八十八ヶ所がある。社長の辻千穂子さんも「最初はまさか霊場が観光資源になるとは思わなかった」と振り返る。しかし、友人と福岡県・篠栗(ささぐり)の霊場八十八ヶ所を巡拝したとき、そこが霊場でありながら観光地化されていることに気づいた。それを機に五島観光協会と協力、福江島に点在する霊場をつぶさに調べ上げて、巡拝ツアーを企画したのが始まり。

 観光協会がキャラバンで各地を訪問するときにPRしてもらったり、九州商船の東京事務所を通じて紹介に努めたりした結果、大手旅行会社から小規模ながらツアーを派遣してもらうまでに至った。年間巡拝者はまだ100人程度だが、寒行として冬場に行うことが尊ばれるとあって、巡拝者が増えれば、観光客の季節偏重を解消することも期待できる。

団塊世代の誘致に注力

 巡拝コースは五島の真言宗の本山である第一番札所の明星院に始まり、弘法大師が唐からの帰り、嵐に遭遇して漂着したとされる大宝の浜にある八十八番札所の大宝寺で終わる。各霊場で般若心経をあげ、ご本尊ごとに異なるご真言を唱えて回るため、先達として住職に案内してもらうことになる。朝から夕方までタクシーで移動しても最低3泊4日くらいが必要になるが、熱心なリピーターは毎年、巡拝しているという。

五島の真言宗の本山で第一番札所の明星院

五島の真言宗の本山で第一番札所の明星院

 八十八ヶ所のうち五十八カ所は無人の小さな地蔵堂や観音堂であり、一度に大勢でお参りできないため、グループはマイクロタクシーに乗車できる9人までに限られる。このほか、無人の霊場では鍵やご朱印の管理が難しいのが悩みの種。また今後、巡拝者が増えた場合、現在は住職にお願いしている先達が足りなくなることが予想されることから、先ごろタクシーの乗務員などを対象に、第1回の「先達養成講座」を開催して、案内できる先達を増やす試みに着手したばかり。

 事業拡大に向けては四国をはじめ、篠栗、小豆島、知多など他の八十八ヶ所の巡礼者に対して五島をPRするほか、団塊世代に向けた誘致策を検討している。また観光促進のための協議会がないため、辻社長は観光協会のほか、旅館・ホテル、飲食店、土産物屋、タクシー会社に呼びかけ、来年度の発足を目指している。そして認知度の低い八十八ヶ所霊場のような観光資源を島民に定着させることから始める構え。辻社長は「5年後の巡拝者を1,000人にすることが目標」と意気込んでいる。

辻千穂子社長コメント
「『先達』の養成が今後のカギ」

タクシーで巡拝者をご案内

タクシーで巡拝者をご案内

 「シスターに会ったかと思うと、次はお遍路さんに出会う。この島は不思議な島ですね」と福江島に来られた方からよく言われます。毎年続けて来てくださる方や来て良かったと言ってくださる方の喜びも声を聞くと、つくづく巡拝ツアーをやって良かったと感じます。巡拝ツアーの難しいところは、心の救いや癒しを求めてくる方の気持ちに沿って案内しなければならないため、単なるガイドではなく般若心経やご真言の心得がある先達が必要なことです。

 今後は観光客の誘致と平行して先達養成が重要だと考えています。霊場のほか、福江島にはキリシタンの香りも残っているため、教会をめぐる巡礼ツアーにも力を入れていきたいと思います。

会社概要

会社名:有限会社五島観光タクシー
住所:長崎県五島市幸町1-10
業種:一般旅客自動車運送事業 (乗用、乗合)
電話:0959-72-4151
URL:http://www.fctv-net.jp/~gotokanko/