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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

滋賀県

磁器のような欠けにくい信楽焼を開発

企業名 藤陶 三類型 鉱工業品 地域資源名 信楽焼

陶器の弱点をクリア

欠けにくい信楽焼の陶器。土の味わいは変わらない

欠けにくい信楽焼の陶器。土の味わいは変わらない

 1200年以上の歴史がある陶器の産地、信楽。狸の置物やガーデン用の鉢など大型のエクステリア用品を中心に栄えていたが、バブル期のピーク時以降は伸び悩む窯元も多く、食器の製造に乗り出すところが増加した。

 信楽焼は土の味わいに人気があり、高級料理店を始めとした飲食店から引き合いはあるものの、陶器本来の特質−欠けやすい、吸湿性が高くカビが生えやすい、臭いが付きやすい、洗いにくいなどの欠点があるため、一般の飲食店に受け入れられるのは難しいのが現状である。

 これらの問題をクリアし、欠けにくく扱いやすい陶器を開発したのが、信楽焼製品の卸と小売りを行う藤陶。同社は、飲食店向けに業務用食器を卸していたが、飲食店側から、「欠けにくい食器を作れないか」と持ちかけられ、新しい陶器の開発に着手した。

 「土の味わいや高級感から、信楽焼の器は飲食店で人気が高かったが、欠けやすく扱いにくいという欠点から、一度は使用してもリピーターが少ないという問題に頭を悩ませていた」と同社の藤田仁史社長。

陶器の味わいを損なわない工夫

藤陶本社のショールーム

藤陶本社のショールーム

 同社は窯元の菱三陶園とともに、陶器の強度や吸水性の改善に力を入れ、足掛け3年で欠けにくい陶器を完成させた。土の配合、焼く温度、焼き方など、何度も試行錯誤を繰り返した結果のことである。

 土にアルミナ(酸化アルミニウム)を独自の割合で配合し、ゆっくりと温度を上げ、通常よりも高い温度で焼き、ゆっくりと温度を下げることで、陶器の強度を高め、吸水性を抑えることに成功。完成した陶器は、一般的な信楽焼よりも1.5倍の衝撃強度があり、吸水率は0.13%とほとんど吸水しないという実験結果が出た。

 「開発当初は、土の味わいの無いつるりとした器ができあがったり、失敗も多かった」(藤田社長)と振り返る。土の配合や、温度、時間の調整を繰り返すことで、陶器の風合いを残しつつ、陶器の弱点を克服した器ができあがった。

 今後も菱三陶園や滋賀県立窯業試験場とともに、品質の改善を継続し、さらに強度を上げ軽量化を図っていく。滋賀県立大学とも連携し、商品デザインやネーミング、市場調査、販売戦略なども強化する。

 さらに、小ロットで個別の要望にも対応していく。価格は、通常の信楽焼の約2割増を予定。卸し先は、飲食店のほか、高齢者施設、病院向けの給食サービス業にもアプローチをかけていく。

【コメント】藤陶・藤田仁史社長
高齢者施設や病院でも使ってもらいたい

株式会社藤陶・藤田仁史社長

株式会社藤陶・藤田仁史社長

 高齢者施設や病院では、食事が楽しくなるような食器が使われていないのが現状。割れる危険性や手入れが面倒という理由からだが、プラスチックの食器では味気ない。わが社では、食事が楽しめるよう、欠けにくい陶器が作れないものかと長い間考えていた。
 このほど、窯元や試験場、大学などと協力して、欠けにくい信楽焼きの陶器が完成したが、これからも強度や軽さの改善を続け、陶器が使われない場所に採用されるよう改善を続けていく。
 品質向上と同時に、欠けにくい信楽焼を知ってもらうため、PRにも力を入れていく。食品やサービス関連の展示会などに積極的に出展し、多くの人に実際に手にとってもらいたいと考えている。写真だけでは分かりづらいので、ホームページに動画を載せたり、分かりやすいアプローチを展開していく。

会社概要

会社名:株式会社藤陶
住所:滋賀県甲賀市信楽町長野1485-68
業種:信楽焼製品の卸、小売
電話:0748-83-1177
URL:http://www.eonet.ne.jp/~fujito