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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

新潟県

震災体験から生まれた食事制限者向けの非常食

企業名 エコ・ライス新潟 三類型 農林水産物 地域資源名 新潟米

「オール新潟」の取り組み

 エコ・ライス新潟(新潟県長岡市)は、新潟県内で有機栽培や特別栽培を行う農家が集まり出来た会社で、それらの栽培法で育てた農作物、主としてコメを東京や大阪の個人客に販売している。2007年からは、地震などの災害発生時に、お湯を入れるだけで食べられる非常食「はんぶん米」の製造・販売も手がけ始めた。

 新潟県は言わずと知れたコメどころで、中でも「コシヒカリ」の知名度は抜群。ただ、エコ・ライス新潟の豊永有マネージャーは「コシヒカリといえども、だんだん売れなくなっている現実がある」と語る。

 そんな中、同社の阿部信行社長は、コシヒカリの次のコメとして「春陽」の生産を7、8年ほど前から始めていた。春陽は新潟県内の農業研究機関で開発された新しい品種のコメ。コメに含まれるタンパク質には、体に吸収されやすいものと、されにくいものがあるが、春陽は、体に吸収されやすいタンパク質の量が、ほかのコメに比べて約2分の1から3分の1という特徴を持っている。タンパク質の摂取が制限される人向けに、利用が期待されているコメでもある。

 その春陽に転機が訪れるきっかけとなったのが、04年10月に発生した新潟県中越地震だ。新潟県川口町は震度7、同社がある長岡市でも震度6弱を記録した。そこで同社が目の当たりにしたのが、避難所において高齢者や、腎不全患者、アレルギー疾患者などの食事制限者が食べる非常食がないという現実だった。「これからは、"量"の備蓄より、"質"の備蓄になると感じた」と豊永マネージャーは振り返る。そこで、同社では春陽を利用した食事制限者向けの非常食を作る取り組みに、地震後直ちに取りかかった。新潟生まれのコメを、新潟で生産し、加工も新潟で行うという「オール新潟」の取り組みだった。

災害時に避難所へ供給

お湯を入れるだけで食べられる非常食「はんぶん米」

お湯を入れるだけで食べられる非常食「はんぶん米」

 開発に当たっては、まずパッケージを重視した。誰が見ても分かりやすいように、そして覚えやすいように色はオレンジに、また、コメを半分だけ描いたデザインにした。食品の機能面では、炊きあがったコメからカリウムやリンを落とす方法について長岡工業高等専門学校からのアドバイスを得た。

 通常、非常食は段ボール箱に入れられて備蓄されるが、非常食が取り出された後は、その段ボールがゴミになってしまうという問題が出てくる。それではまずいと考えた同社は、同じく長岡市に本社を置く紙加工品メーカーの安達紙器工業に協力を要請し、新たな段ボール箱の開発も進めた。できあがった箱は、上部にふたを取り付けたもの。ふたは非常食持ち運び用のトレーとしても使え、また、箱の上に置けばテーブルとしても使える。さらに、使用後、空っぽになった箱に、そのふたをかぶせれば避難所で収納ボックスとしても利用できる。

 こうして07年に出来上がった「はんぶん米」は、東京都に08、09年に合わせて計6万食分が備蓄され、また、地元の長岡市とは09年、災害時にエコ・ライス新潟が避難所へ「はんぶん米」を供給することを定めた災害支援協定を締結するなどの動きを見せている。

 今後の抱負として豊永マネージャーは「現在、白米のみだが、さまざまな味付けをしたものを作っていきたい」と語る。今、想定しているのは、新潟県産のキノコや山菜を用いたもので「コメもそうだが、"新潟産"ということにこだわってやっていきたい」と豊永マネージャーは意気込む。

有限会社エコ・ライス新潟 阿部信行社長

有限会社エコ・ライス新潟 阿部信行社長

【アドバイス】エコ・ライス新潟 阿部信行社長
 震災の教訓活かし、安心安全な社会作りに貢献したい

 私たちの会社は、新潟県内の循環型農法を実践する農家が、こだわりのお米を生産者から消費者にダイレクトにお届けするために設立しました。
 しかし、近年の消費者の「新潟コシヒカリ離れ」を心配し始めたころに、新潟県中越地震を体験しました。被災地では、食事制限をしている方が大勢避難していましたが、食べられる非常食がありませんでした。その時、お米の生産者として、食べられない人が食べられるお米を栽培・加工することを思いつきました。

 少子高齢化社会では食事制限者が増加します。その方々が安心して食べられるお米を生産することこそ、私共生産者が集まった会社の社会使命と自負します。
 今後はアトピー・アレルギーの方が安心して食べられるお米・加工品を開発し、中越大震災の教訓を活かした安心安全な社会作りに貢献したいと思います。

会社概要

団体名:有限会社エコ・ライス新潟
住所:新潟県長岡市脇川新田町字前島970-100
業種:農業
電話:0258-66-0070
URL:http://www.eco-rice.jp/