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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

鹿児島県

「シラス」を使った遮熱・断熱塗料を開発

企業名 アース化研 三類型 鉱工業品 地域資源名 シラス(火山噴出物)

 鹿児島県などのシラス台地で知られる「シラス」は、火山からの火砕流堆積物だ。同県はシラスを生産財として位置付けており、県内の複数メーカーが建材や研磨材、洗顔料などさまざまな製品を開発、商品化している。その中の一社であるアース化研は、遮熱や断熱の機能を持つ建築物向け塗料を製品化している。

試行錯誤と試験施工の繰り返し

ホームセンターで販売されている遮熱断熱塗料

ホームセンターで販売されている遮熱断熱塗料

 1988年(昭和63)に脱サラして創業した松若社長は、塗料の販売からスタートしてメーカーに転換。91年にシラスを使った遮熱、断熱塗料の開発に着手した。将来の目標は壁材や屋根材の製品化だが、まずは開発や生産に必要な設備投資が比較的少なくて済むため塗料をテーマに取り組んだ。
 使用するシラスは焼成して内部に空洞を作った「シラスバルーン」。地域資源の活用を目的に国の研究機関などでは40年近く研究しており、建材などでも実績がある材料だ。太陽光線や熱を建物に伝わりにくくすることで温度の変化を防ぐ。厚めに塗ると吸音効果もあるという。

 松若社長の仕事が終わった後の夜中に開発に取り組んだ。試行錯誤と試験施工の繰り返し。試験は知り合いに頼み込み、自宅に使ってもらった。また開発に鹿児島県工業技術センターが協力。遮熱や断熱のメカニズム解明などの技術指導や支援を受けた。センターとの共同研究は継続しており、特性の向上などに取り組んでいる。
 一応の製品化後に苦労したのが、客先に機能を理解してもらうこと。松若社長は「開発するよりも大変だった」と振り返る。遮熱や断熱に関する温度測定の方法が複数あることも苦労の一因となった。「当初は効果に不安を残したまま採用を決めてくれた施主もいた」という。

輸出の可能性に着目

遮熱断熱塗料の施工例

遮熱断熱塗料の施工例

 松若社長は自ら論文を書いて建築関連の学会で発表したり、センターの温度測定データを示したりして少しずつ理解を広めていった。今や一戸建て住宅だけでなくビルや工場などの建築物でも使われている。ユニークな場所では工事用ヘルメットに塗装している。熱中症対策にも活躍の場を広げたことになる。
 2007年には大阪で開いた世界陸上競技選手権(世界陸上)のテントでも採用された。これを機に輸出の可能性に着目している。これまでに中国、韓国、台湾、インド、ベトナムや中東地域などの自動車メーカーやホテルなどから引き合いがあった。シラスの知名度が低い海外だが「ガラスが主成分であることを説明すると理解してもらえる」と輸出に自信をみせる。

 足元の需要は、事業所向けは設備投資意欲が冷え込んでいる。一方の海外向けは円高傾向で価格競争力が弱まっているのが実情。
 そこで力を入れているのが一般の戸建て向けだ。新築時の施工だけでなくリフォームも見込む。太陽光発電システム導入時に「省エネ対策として屋根に施工することも提案していく」(松若社長)考えだ。従来は建築資材関連の代理店向けの販売が多かったが、地元のホームセンターでも取り扱いを始めてもらったという。

【コメント】アース化研・松若譲二社長
何万年も前、火山から出てきた物にロマンを感じる

アース化研・松若譲二社長

アース化研・松若譲二社長

 幼いころ、夏に砂浜とシラスの上をはだしで歩いて感じる温度がまったく違っていた経験がある。シラスが遮熱や断熱の機能を持つという確信はその経験に基づいている。また何万年も前、火山から出てきた物で製品を作ることにロマンを感じている。  建築関連で起業したのは「ウサギ小屋」と言われた日本の住環境を改善するために品質が高く長持ちする建材を作りたいという思いがあったからだ。会社設立時からの目標であった建材の開発も続けている。

会社概要

会社名:アース化研株式会社
住所:鹿児島県薩摩川内市宮崎町2052
業種:水産食料品製造
電話:0996-20-5935
URL:http://earth-kaken.com/