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地域資源活用チャンネル

認定事業計画の事例

国の認定を受けた「地域産業資源活用事業計画」申請事業者の活気ある声をお届けします。

千葉県

低温スチーム加工で規格外の有機野菜をペースト状に

企業名 生産者連合デコポン 三類型 農林水産物、鉱工業品・技術 地域資源名 千葉のさつまいも、千葉のニンジン
株式会社生産者連合デコポン・井尻弘社長

株式会社生産者連合デコポン・井尻弘社長

風味や栄養価を損なわないスチーム加工

 食品の偽装問題が浮上し、安心・安全な食材への関心が高まっている。
  千葉県成田市の生産者連合デコポンは、地元千葉県の農家を中心に、約100人の生産者からなる組織。有機栽培(化学肥料や農薬などを使わず3年以上経過した土地で栽培)と、特別栽培(化学肥料や農薬を不使用、もしくは自治体の基準の5割以上減らして栽培)で生産した野菜や果物を生産、供給している。最近は日本国内だけでなく、海外からの発注も増えている。特に中国や香港に住む駐在員家庭で、「日本の安全な食品を食べたい」という需要が増えているという。

 こうした安全な野菜を求める声が増える一方で、生産側は規格外品の対応に苦しんでいた。サイズの小さなものやキズのある野菜は、品質は何ら変わらないが、出荷することができない。特に有機栽培は農薬を使わないため、虫食いなどの規格外品が発生する確率が高い。「一般の栽培では農薬や肥料を使うので、規格外品を約1割に抑えることができるが、有機栽培は3割ほどが規格外品となってしまう」と話すのは、同社の井尻弘社長。

ニンジンのペースト。自然のやさしい甘みがある

ニンジンのペースト。自然のやさしい甘みがある

 リスクの高い有機野菜の規格外品を有効に活かしたい。同社は、千葉県産のさつまいもやニンジンを使ってペーストに加工することを考えた。できるだけ味や栄養価を損なわないよう、「ソフトスチーム加工」という工法を採用した。通常、100℃の蒸気で蒸し上げるところを、45〜90℃の低い温度でゆっくりと時間をかけて蒸し上げる方法だ。野菜の細胞が壊れないので栄養価が損なわれず、野菜本来の味わいが引き出され、さらに灰汁が抜けるため甘みが増す。旬の時期に収穫し加工すれば、素材を最高な状態で保存することができる。

 また、冷凍保存することで、家庭で好きなときに有機野菜をとることができるし、ペースト状なので、手軽にいろいろな料理に利用できる。栄養価が高く消化が良いので、離乳食や野菜嫌いの子ども、高齢者にも最適だ。家庭だけでなく、飲食業界やホテル、病院などにも高い需要が見込まれる。

2次加工品の商品化に向けて

 現在、このペーストをさらに加工して商品化する計画を進めている。ドレッシング、菓子、土産品、ベビーフードなど多岐に渡る加工品を視野に入れている。ドレッシングはレシピ作りなど、すでに商品化が進んでおり、「野菜を野菜で食べるドレッシング」として近く売り出す予定だ。ベビーフードについても研究センターで滅菌法を研究中。安全で自然のうまみが生きた栄養価の高いペーストから、いろいろな利用法が生まれそうだ。

 「野菜の栽培だけでなく、産地で加工品を作る−。これからの農家はこうして付加価値を高めていかないと、経営は難しい」と井尻社長。出荷できない規格外品を加工したり、産地で自ら販路を開拓し、経営の安定を図っていくことが必要だという。生産農家自身も、市場をリサーチしたり異業種と手を組んだり、新規の取り組みを行うことが求められるのだ。

 「市場のニーズに合っていなかったり、独り善がりにならないために、外部の意見を聞くことも大事」と井尻社長。新たな可能性を求めて、海外まで足を伸ばし食品展を視察したり、サンプル配布で反響をリサーチしたり、市場のニーズを見極めることを怠らない。付加価値の高い製品を供給することで、生産農家の安定経営を実践していきたいとしている。

【コメント】生産者連合デコポン・井尻弘社長
収益のだせる生産農家に

契約農家のニンジン畑。土が付いたままでも食べられるほど、安全性が高い

契約農家のニンジン畑。土が付いたままでも食べられるほど、安全性が高い

 安全な野菜や果物を供給したいと、有機栽培に興味をもつ農家は多い。しかしながら、手間がかかり、利益の確保も難しいことから、手を出せないのが現実だ。また、日本人は、野菜や果物の外見を重視し、形やサイズのばらつき、虫食いなどを敬遠する傾向がある。こうした理由もあって、採算の取れない有機栽培に着手しようという農家がなかなか増えないのが現状だ。安全性や味を重視し、消費者が形や虫食いなどにもう少し寛容になってくれるとよいのだが。

 生産農家が安定した経営をするのは難しいが、収益を確保するために、産地で加工や販売を成功させる仕組みを作っていきたい。安全な食を提供し、農家が潤い、地域が活性化する−。こうした農業のあり方を模索しながら、今後も新しい取り組みに挑戦していく。

会社概要

会社名:株式会社 生産者連合デコポン
住所:千葉県成田市前林976-7
業種:農産物の卸し・販売、加工品の製造
電話:0476-49-0181
URL:http://www.decopon.co.jp