HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

沖縄リポート/観光客年1000万人へ−インフラ整備本格化

 沖縄で年間観光客1000万人に向けた動きがインフラ面で本格化している。1月には那覇空港の第2滑走路建設が着工。2月には新たな国際線旅客施設の運用が相次ぎ始まった。同時に宿泊施設やコンベンション施設も整備が進む。さらに那覇をハブ拠点とする航空貨物ネットワークも拡大。アジアの中心にある立地やリゾート感を生かすことで、貨物だけでなく旅客の増加にもつながる期待がある。(西部・三苫能徳)

 沖縄県は第5次観光振興基本計画で、2021年度の入域観光客1000万人(12年度は592万人)を目指している。うち外国人は200万人の目標で、12年度実績38万人の5倍以上にのぼる数字だ。

 海外旅客を迎える空港施設はすでに受け入れ態勢を整えている。2月中旬に稼働した国際線旅客ターミナルは、老朽化した旧施設から3倍以上の規模で新設。運営する那覇空港ビルディング(那覇市)は「以前のような目立った混雑はなく、免税品店やゲート内の飲食施設も好評」と手応えを感じている。

 ANAホールディングスが運営する格安航空会社(LCC)専用ターミナルも国際線施設を2月に増設。ピーチ・アビエーション(大阪府泉佐野市)が関西空港に次ぐ拠点とするなど、路線拡大のハブとなる。

 宿泊施設もこの状況を好感。12年に開業したザ・リッツ・カールトン沖縄(名護市)は、ゴルフ場に隣接するほかエステ施設に力を入れる。海外客比率は約15%で、直行便が飛ぶアジアが中心。一方で「今後の直行便開設により、欧州などからも来てほしい」(営業担当者)と期待を寄せる。

 宿泊施設は00年の673軒から12年は1411軒に倍増。収容人数は約1・5倍の約9万9000人になった。14年9月には「ヒルトン沖縄北谷」が北谷町に開業するなど増加傾向は続く。地場寝具業者のファーストライン(那覇市)は「ホテル間の差別化策の一つとして商品提案していく」と狙いを定めており、関連業者は商機に活発な動きをみせる。

 一方で、那覇空港はアジアの中心にある立地を強みに航空貨物のハブ拠点となった。沖縄県と全日本空輸(ANA)が連携、さらにヤマト運輸の「国際宅急便」により、小口貨物や生鮮品の海外翌日配送が実現した。このハブ拠点化は旅客増につながる潜在性も持つ。

 沖縄県と経済団体の沖縄懇話会(那覇市)はハブ拠点事業を活用して、全国の食品サプライヤーと海外バイヤーを招く大型商談会「沖縄大交易会」を11月に開催する。安里昌利沖縄懇話会事務局長は「多くのバイヤーに会える場所を構築、定着させたい」とし、食品以外への拡大も視野に入れる。この商談会ビジネスが定着すれば集客装置となる可能性がある。

 リゾート地の沖縄は出張先としても魅力的。ビジネス客の滞在や、会合や商談後に観光するアフターコンベンションの効果は大きい。沖縄観光コンベンションビューロー(那覇市)は、インセンティブツアーなども含めた「MICE」による集客を、リゾートウエディングや修学旅行などと並んで集客の柱に据える。

 ただ、現状のコンベンション施設は手狭感もあるため、沖縄県は14年度予算案に「大型MICE受入環境整備事業」として調査経費3090万円を計上。大型競技場の整備計画も進行中だ。

 1月に着工した滑走路増設工事は19年度に完了予定。発着容量は現状の13.5万回から18.5万回に増える。クルーズ船の受け入れ増に向けた港湾整備も進んでおり、南の玄関口は“間口”がさらに広がっていく。


【2014年3月31日 日刊工業新聞社】