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東日本大震災3年/宮城県「南三陸さんさん商店街」−“福興”へよみがえる

 東日本大震災で壊滅した宮城県南三陸町で、小さな商店街がよみがえった。「南三陸さんさん商店街」。鉄道会社や旅行代理店と協力して「被災地視察ツアー」も企画しており、大型連休時に約10万人以上を呼び込んだほどの集客力を誇る。街の“福興”に向けて走り続けている。(仙台・千田恒弥)

【毎月恒例の「市」】

 2月23日、毎月恒例の「福興市」が開かれた。32回目となる今回は「志津川湾春つげ牡蠣(かき)まつり」と題し、カキ汁や焼がき、カキフライなどを格安で提供。この日は約1万5000人が舌鼓を打った。

 商店街の目玉は四季折々の海産物。すし屋などの各店舗が腕を振るってつくる「南三陸キラキラ丼」は新名物になっている。現在のテーマはシラスやホタテ、カキ、ワカメなどの春の魚介類と春野菜を使った「春つげ丼」で、4月30日まで提供する。週末になると、この丼を目当てに県内外から観光客が足を運ぶ。 実行委員長の山内正文さんは「商店街は町の顔。震災で大変な目にあったが、町の人たちが買い物できる場所、外から人を呼べる場所を復活させようと商店街の仲間たちとがんばっている」と笑顔をみせる。

【強まる連帯感】

 さんさん商店街は南三陸町志津川地区の海沿いのおさかな通り商店街の40軒のうち30軒が協力し、2012年2月に立ち上げた。このような仮設店舗・工場は、中小企業基盤整備機構が被災地の商業復興に向けて岩手、宮城、福島の被災3県の518カ所に整備している。

 仮設店舗は通常、2階建てプレハブが縦列に並んでいる。しかし、縦列ではお客さんが滞留しないと考えて店舗を円形に配置した。お客さんが回遊し、向き合っている店舗同士の連帯感も強まった。

 さんさん商店街を陰で支えたのが、神戸市長田区の大正筋商店街理事長の伊東正和さんだ。山内さんと伊東さんは02年の全国商店街サミットで知り合った。伊東さんは「私も阪神・淡路大震災の被災者。被災者にしかわからない経験を、南三陸のみんなに伝えたかった」と強調する。

【希望の光に】

大正筋商店街は約100軒が焼失し、現在は高層ビルの1階部分のテナントで75軒が商売を続けている。ただ、ビルに転居したら、仮設店舗時代のつながりが途絶えてしまった。活気のあった町は生気を失った。それだけに、伊東さんは「南三陸は商店街の力で住民が戻りたくなる町にしてほしい」とエールを送る。

 一方、山内さんも「町の顔である商店街が元気になってこそ、町が良くなる」と言い切る。また、理事の三浦洋昭さんも「お店があって初めて地域経済が成り立つ。それがなければ復興はない」と同感する。

 さんさん商店街の挑戦は、被災地の復興だけではなく、少子高齢化や過疎化などの問題を抱える全国の商店街を活性化する解のひとつ。希望の光でもある。


【2014年3月12日 日刊工業新聞社】